僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな7歳の息子とのウルトラ備忘録です。

「効率化の時代」に光った麗しきワインドアップ / 能見篤史投手引退によせて

 

 約3年ぶりのプロ野球観戦は、オリックス・バファローズ能見篤史投手の引退試合でした。

 

 ノウミサン。阪神時代からもうずっと、一番好きな選手です。

 

 僕がまだ大学生の頃……あれは2010年くらいだったでしょうか。ぼーっと見ていたいつものプロ野球中継に、えっらい投げ方のかっこいいサウスポーがいて、それが阪神の能見篤史という選手でした。

 投げる前に一度グラブを天高く突き上げて振りかぶる、いわゆるワインドアップ投法。あまりの美しさに、一目惚れだったのかもしれません。気がついたら応援用のユニフォームが縦じまの14番になっていました。

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くしてはいけないもの

 今や高校野球のピッチャーにも球数制限のルールが取り入れられる時代。

 プロ野球にも当時から、特に体力の消耗が激しいピッチャーには「いかに無駄な動きをなくすか」を追求する時代がやって来ていました。出来るだけ少ない動作で投球を完了したい。つまり、「大きく振りかぶらない」ピッチャーが増えていたのです。

 そんな「効率化の時代」にあって、頑なに振りかぶって投げ続ける能見さんのピッチングフォームには何か「失くしてはいけない特別なもの」を見ているような感覚を覚えたものです。まるで絶滅寸前の野鳥を見守るような……。

 なんでもかんでも効率重視じゃつまらない。一見無駄に思える動きが、次第にその選手の個性になっていく。やるかやられるかの世界で生きる選手たちの、素人には理解し難いこだわりを垣間見れるのがプロ野球の醍醐味のひとつでもあります。

 特に能見さんの場合は、その長い手足と体の柔らかさが、大きく振りかぶるワインドアップ投法の唯一無二の美しさをより際立たせていました。あれを「無駄な動き」とは誰にも言わせたくない。とにかくしなやかで、華麗で、芸術的でした。

 

 ほら、『シン・ウルトラマン』でも長澤まさみ演じる浅見弘子が、ウルトラマンを見上げて思わず「きれい……」ってつぶやいてたでしょ。

 実は僕、近所のショッピングモールで本物の能見さんを見かけたことがあるんですけどね。顔がちっちゃくて、スタイル抜群でモデルみたいで、もうあの時の浅見弘子と全く同じリアクションしちゃいましたもんね。「あれが能見さん……きれい……」ってなもんで。ただただ見とれるばかりで、その場を動けなかったことを覚えています。

ャッチボールで「なりきる」

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 息子とキャッチボールをするときに、僕も能見さんになりきって、振りかぶって投げたりね。やっぱり、いくつになってもしちゃいますね。

 そんな僕を見て、息子はケラケラ笑ってます。確かに僕の体型じゃ、能見さんみたいにかっこ良くはならない。

 でもいいんです。こういうのはいかに本気で「なりきれるか」が大切ですから。今も僕に隠れてこっそりウルトラマンになりきっている息子よ、笑っているが、君が一番よく分かっているだろう。

 

 息子が1歳とかそこらの頃は、僕も今ほど特撮にはハマっておらず、どちらかと言うと阪神の試合や応援番組を優先して見る生活でした。それこそ赤ちゃんの息子を抱っこして、「この人が能見さんやで~、この人がマートンっていうんやで~」とか言って、「虎の英才教育」を施しにかかりながら(笑)。

 ちなみに息子は今空手を習っていますが、小学校に上がるタイミングで少年野球に行く選択肢もあったようです。僕がもっと本腰入れて阪神ファンにでもさせていたらどうなっていただろうと、ふと考えることがありますね。息子が大きく振りかぶってマウンドで投げる姿も、それはそれで見たかったかも。

 

 

 

 

1球の記憶

 能見さんの思い出で言うと、息子が産まれる何ヶ月か前に、どうしても能見さんの投げる試合を生で見たくて、関西からナゴヤドームまで近鉄特急で突撃したことがありましたねえ。チケットも持たないまま、その日の昼に「行ってくる!」って。あんなの嫁さん、よく許してくれたなあ。

 あとは2014年のクライマックスシリーズですね。満塁のピンチで広島のキャッチャー會澤から見逃し三振を奪ったシーンは未だに当時の録画を消去出来ずにいます。あれはもう、かっこいいなんてもんじゃなかった。何回も繰り返し見て、一球一球の結果とボールカウントの推移まで記憶しています。2014年10月12日。忘れられない日付です。

 

 能見さんが阪神を退団してオリックスへ移籍することになったときも、全然ショックとかはなくて。ユニフォームや背番号に関係なく、能見さんには1年でも長くマウンドに立てる環境に居てほしい。本人が納得いくまでやりきってもらいたい。そういう気持ちでした。

 だから今日、オリックスで素敵な引退試合を用意してもらえたことで、長年応援してきた僕もホッとしたというか。やりきった姿をこの目で見届けられて良かったな、と。

 能見さんの公式戦最後のマウンドは、打者1人に対して4球、すべてワインドアップで三振でした。これがプロ通算1517個目の奪三振。18年の現役生活、本当にお疲れさまでした。


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 僕、正直に言うと、能見さんと同じレベルで応援できる選手が今のプロ野球にはいなくってちょっと困ってます。このままじゃ来年以降のプロ野球を観るモチベーションが保てない……!

 出来れば能見さんと同じ縦じまのユニフォームで、そういう選手を見つけられるといいのですが。是非、いい選手がいたら僕に教えてください。