僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

史上最強の猛虎に酔いしれる夜を / 阪神タイガース日本一によせて

 

 

 阪神タイガースが38年ぶりに日本一になった。

 

 

 まさか、まさか自分が生きている間にこの瞬間に立ち会えるとは……!

 これ、大げさでもなんでもなく、約20年もの間阪神タイガースを見続けてきた人間の心の底からの本音。

 あり得ないこと、不可能なことを例えることわざに「あひるの木登り」というのがあるそうですが、僕の中では「虎の日本一」も全く同じ意味のことわざになりかけていました。でも今年の虎は違いましたねえ、嬉しいです。

 

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 5年前に書いたこちらの記事。この頃は、テレビで阪神戦を見ている僕に息子(当時4歳)が「阪神弱いなー」とポツリとつぶやいてくるのが我が家の定番のやり取りになっていました。そう、この頃の阪神は確かに弱かった。

 しかし今年。近本、中野、森下、大山、佐藤輝……普段そこまで積極的にプロ野球を見ていない息子ですらなんとなく覚え始めた阪神タイガースのスターティングラインナップ。11連勝でリーグ優勝を決めた9月の怒涛の快進撃に酔いしれるトラキチの僕に、息子(8歳)のかけてくる言葉はあの頃からまるっきり変化していました。

 

 「阪神、『さいっっっきょう』やなあ!」

 

 そう、今年の虎は「さいっっっきょう」なのだ。

 オリックスとの日本シリーズ第7戦。中盤に阪神が6点をリードしまさかの一方的な展開。「本当に、本当にあの阪神が日本一になるのか……?!」という信じられない気持ちと、これまで鬱積していた悔しい思い出を頭の中で駆け巡らせながら、左翼手のノイジーがウイニングボールを掴むまでの5イニングはとてもとても長かった。なんてったって38年ぶりですから。前回の日本一のとき、僕生まれてません。生まれる前から、ずっとこの日を待っていた。

 

 

 

 

 阪神が優勝すると、関西の街が途端に色めき立つ。

 それは滅多に優勝しないことの裏返しからくる現象なのか、はたまた関西人の気質から来るものなのか。いずれにしても、この誰が言い出しっぺか分からないうちにいつの間にか街が黄色く染まっていく景色が僕はたまらなく好きです。

 リーグ優勝翌日の阪神甲子園駅。看板には既に優勝のエンブレム。仕事が早い。

 

 大阪梅田の紀伊國屋書店。スポーツ総合誌「Number」の歴代の阪神特集号の表紙がズラリ。江夏豊、ランディ・バース、新庄剛志、井川慶、赤星憲広、藤川球児。今年の優勝によって過去の名選手たちの活躍がより一層輝かしいものに感じられるのもまた嬉しい。

 

 とにかくあっちゃこっちゃに「阪神おめでとう」の看板。いやぁ、めでたい!

 

 こちらは日本一セール開催中の阪神百貨店で購入したモロゾフのプリン。蓋が日本一仕様なだけで中身はいつものモロゾフのプリンでしたが、食べる前の気持ちが違いますから。そりゃあもう美味しかったです。虎のマークに「NIPPON CHAMPIONS」の文字。このエンブレムをどれほど待ちわびたことか……!

 

 ちなみに今年の2月には初めて沖縄の宜野座キャンプを見に行ったりもしていまして。結果的に日本一になった年のキャンプが見られて良い思い出になりました。この時はまさかノイジーが日本一の使者になるなんて思ってなかった。

 

 

 スタメンに生え抜き野手が鳥谷しかいなかった時代とかも知っているので、1番から9番まで阪神で育った選手たちが揃い、そして掴み取ったこの日本一の称号にはとてつもなく大きな価値があると思います。それにこれだけ自前の選手が揃うとやはり毎日試合を観るのが楽しい。勝っても楽しい、負けてもまあまあ楽しい。岡田監督のチームづくりが上手くハマりましたね。

 僕が特に印象に残っている選手は、1年間4番の座を守った大山悠輔選手。入団してからずっと応援している選手です。

 6月に観に行った甲子園のロッテ戦で打った逆転3ラン、あまりの打球の迫力にレフトスタンドで「おおやまぁー!」と絶叫した良き思い出。実はね、一緒に行った嫁さんと試合前から言ってたんです。「今日大山がホームラン打ったらユニフォーム買うで」って。冗談のつもりだったのに本当に打ってくれて、もう嬉しくってねえ。

 リーグ優勝も日本一も、どちらの瞬間も家でテレビを見ながら僕はその時に買った背番号3のユニフォームを着ていました。ユニフォームはプロ野球ファンにとって戦闘服ですから、家でも着ないとね。息子にも「ほれ、お前もこれ着ろ!」って無理やり着せて(笑)。彼がまだ赤ちゃんのときに買ってその時はブカブカだった130cm用のユニフォームがもうピッタリサイズになっていました。虎を通じて感じさせられる時の流れ。

 

 さあ、今年の圧倒的な強さと、まだまだ伸びしろのある若い選手が多いことからマスコミでは早くも阪神の「連覇」を期待する声があがっています。いやいやしかし、僕は「まだそんな贅沢を言っちゃいかん」と思っておるところで。

 もちろん連覇してくれたらそれが一番嬉しいですし最高なんですけど。でも考えてみてください。今年の日本一になるまでのあの緊張感、心臓バクバクをもう一度味わえますか?僕はまだ、その勇気を持てそうにありません。お気楽に野球を見ていた期間があまりにも長すぎたのでね。

 だから来年の話をする前にもう少し、もう少しだけこの猛虎に酔いしれていたいなあと、そう思うわけです。2023年、阪神タイガース日本一。史上最強の猛虎、ここにあり。