僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

【あなたとトクサツ。-特別篇-】ニュージェネ世代の息子、『シン・ウルトラマン』を語る。

 

 「あなたとトクサツ。」今回は『シン・ウルトラマン』の公開を記念した特別篇でお送りします。

 

●「あなたとトクサツ。」とは?

「あなたとトクサツ。」は、読者の「特撮と人生」にスポットライトを当てる企画です。

人生で最初にハマった特撮作品、好きだった特撮を「卒業」または「復帰」することになったきっかけや時期、特撮のおかげでこんなに良い思い / 悪い思いをした等々、「特撮と人生」にまつわるお話をたっぷりと語っていただき、インタビューを通して更に深堀していきます。

 

 今回のゲストはズバリ、息子(小2)です。

 2017年の『ウルトラマンジード』以降、ニュージェネレーションシリーズを中心にがっつりウルトラマンを楽しんできた息子が、庵野秀明&樋口真嗣の名コンビによる『シン・ウルトラマン』をどう見たか――。鑑賞後に「あなたとトクサツ。特別篇」としてインタビューを敢行し、たっぷりと語ってもらいました。

 

※以下、重大なネタバレを含む箇所があります。

 時は『シン・ウルトラマン』の公開約1ヶ月前。

 この頃から、僕と息子で毎日のように盛り上がっていたトピックが「『シン・ウルトラマン』のラスボス怪獣は何が来る?」でした。

 息子は現在ツブイマで絶賛配信中の『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズが大好きで。

 中でも、そのラスボス的存在であるアブソリュートタルタロスには子供ながらに共振する個性を感じているのか、この間買ったばかりのソフビがもう色が落ちてボロボロになっています。

 だから作り手の諸々を知っている大人の僕が、「庵野・樋口コンビの『シン・ウルトラマン』にタルタロスは出んやろ」と彼にツッコミを入れる……なんていうのは野暮だなと思いましてね。

 3歳の頃からウルトラシリーズに触れてきた彼にとって、『シン・ウルトラマン』も『ウルトラギャラクシーファイト』も、あくまで同じ地平にある作品なんです。

 更に、『シン―』の劇中ではザラブとメフィラスが「マルチバース」の存在に触れていました。それを見たときに、「実はタルタロスがラスボス」という線も案外馬鹿に出来ないのではと思えてきたところがあって。これも立派な「空想と浪漫」じゃないか、と。

www.bokuboku12.net

 上の記事にもある通り、1度目の鑑賞では冒頭の30分を見ることが叶わなかった息子も、後日、IMAXの超大画面で「シン・ゴジラ」のロゴが赤く引き裂かれる例のオープニングから『シン・ウルトラマン』をしっかりと目撃いたしました。

 冒頭から早いテンポで繰り広げられる “シン・ウルトラQ” に興奮しつつ、オリジナルからかけ離れたデザインの「シン・パゴス」に「パパ、あれはパゴスちゃうで」と冷静にツッコミを入れることも忘れない。怪獣に特段こだわりを持つ君と一緒にこの映画が見られて、パパは心底嬉しいぜ。

 それでは、「あなたとトクサツ。」特別篇。ニュージェネ世代の息子による『シン・ウルトラマン』所感です。

 

 

 

 

子、『シン・ウルトラマン』を語る。


※このインタビューは、映画鑑賞後の息子との会話とブログ用に改めて行った質疑応答の内容を、作品の流れに沿うように編集したものです。会話をそのまま文字に起こしているのでバリバリ関西弁です。あしからず。

 

特別篇:息子(小2)

 

―それでは、今日は色々聞かせてもらいます。よろしくお願いします。早速だけど、『シン・ウルトラマン』どうだった?

めっちゃ楽しかった。ヤバかった。テンション爆上がり!!!

 

―テンション爆上がりか(笑)。一番「テンション爆上がり」したのはどのシーンだった?

ウルトラマンとにせウルトラマンの夜の街での戦い!夜のウルトラマンがかっこ良かったし、ウルトラマンに攻撃されてにせウルトラマンがザラブ星人に戻っちゃうところが良かった。「ウルトラマンが勝った!」って気がして。あと、ザラブ星人がペラペラで「え?」って思った(笑)。

 

 

―ザラブ戦は特に初代の『ウルトラマン』の雰囲気があって良かったよね。『ウルトラマン』はツブイマで見られるけど、実際に見た中で好きな回はある?

ネロンガの回かなあ。ネロンガは『Z』にも出てきたし、めっちゃ好き。

 

―『シン・ウルトラマン』のネロンガはどうやった?

ネロンガはすぐやられちゃったのが嫌やった。もうちょっと出てて欲しかった。でもネロンガを倒したときのウルトラマンのスペシウム光線の出し方がめーっちゃかっこ良かった!(右腕を垂直に立ててから左腕を巻き込む感じでクロスさせる)

 

―確かに、いつものスペシウム光線と違ってたよね。君が早速真似したくなるのも分かるわ。

映画の最初、ぐるぐる回ったやつが「シン・ゴジラ」っていう文字になって、そこからバーンって「シン・ウルトラマン」の文字が出てきたとこ、画面めっちゃ指差してたけどやっぱり凄かった?

あれもめっちゃびっくりした。あれって最初のウルトラマンと同じやつやろ?

 

―そうやで。でも文字は「シン・ゴジラ」じゃなくて元々は「ウルトラQ」やってん。

『ウルトラQ』は白黒やから怖いねんな~。

 

―ゴメスとかペギラとか、『ウルトラQ』の怪獣が一気に出てきたところはどうやった?

ゴメスめっちゃかっこ良かったし、ペギラも好きやけど、パゴスはあれパゴスちゃうで。ガボラの回転するやつ取っただけやん?あれは絶対パゴスちゃう。

 

―『ウルトラマントリガー エピソードZ』に出てきたパゴスとは確かに全然違ったな(笑)。じゃあ『シン・ウルトラマン』の中で一番好きな怪獣はどれ?

ガボラ!頭がドリルになった形がサザエみたいで好き過ぎる。お人形欲しい。

 

 

―お人形はお小遣い貯めて自分で買ってや(笑)。

『シン・ウルトラマン』の中で一番好きなシーンはどこ?

メフィラス星人が工場でウルトラマンと戦うとこ。メフィラス星人強かったし、ウルトラスラッシュが工場をめっちゃ切っていくとこも凄かった。音楽もかっこ良かった。ゾフィも出てきたし。

 

―メフィラス強かったなあ。メフィラスは最後ウルトラマンと決着付かずに終わったけど、どう思った?

あのまま戦ってたらメフィラスが勝ってたんかな?もっとあの戦いを見たかったな〜。

 

―まあ、メフィラスは元々紳士的な宇宙人やからね。またツブイマで初代ウルトラマンのメフィラスが出てくる回を一緒に見ような。あのメフィラスが何を考えているかは分かった?

全然、分からんけどなんか怖かったな。

 

 

―ところで、あのでっかい女の人(巨大・浅見弘子)が出てきたところ、君はそんなに反応してなかったけど…

いやあれはデカ過ぎ。びっくりした。もうちょっと街を壊してほしかった。

 

―あれも初代ウルトラマンのメフィラスの回で同じようなシーンがあるから、楽しみにしててな(笑)。

禍特対のメンバーでは誰が一番好きやった?

そりゃ神永しかおらんやろ〜。森で走りながら変身するところめっちゃ良かったよ。パパ、ベーターカプセルどうせ買うんやろ?買ったら貸してな。

 

―よし分かった(笑)。映画館の売店で売ってたらすぐに買ってその場で変身したかったよね。またプレミアムバンダイで出るんやろうな。絶対買うわ。

ラスボスについては映画が始まる前に2人で散々予想し合ってきたけど、タルタロスは出んかったね。

 

そんなん出るわけないやん!!

 

(いや、あんた「タルタロスが出る」って言ってたやん…)

―結局ラスボスはゼットンやったわけやけど、あのゼットンはかっこ良かった?

デカさが良かった。(怪獣図鑑のパワードゼットンを指差して)これやろ?これめっちゃ、『シン・ウルトラマン』 のゼットンに似てへん?

 

―うん似てるね。パワードゼットンはパパが君くらいのときに出てきた怪獣で、普通のゼットンと雰囲気が違っててびっくりした覚えがあるわ。今回のゼットンもお人形が欲しいな。

欲しいけど立たへんよ、あのゼットンのお人形が出ても。

 

―そうやね(笑)。

あと今回のゼットンはゾーフィが連れてきたってことやったよね。それはどう思った?パパは最初ちょっと飲み込むのに時間がかかったんやけど。

ゾフィがゼットン持ってきたとか嘘やん?あれはメフィラスがこっそり持ってきたんやと思うで。ゾフィがゼットン持ってるわけないし。

 

―あれはウルトラ兄弟のゾフィとは違う人なのかもしれへんね。

君が普段見ている『トリガー』とか『Z』とかのウルトラマンに比べて、『シン・ウルトラマン』は面白かった?

うん、めちゃくちゃ面白かったよ。ウルトラマンはみんなかっこいいし、シン・ウルトラマンもかっこ良かった。カラータイマーが無かったから全然やられずにずっと戦えるねんで。ヤバいよ。

 

 

ほら見て!マインクラフトでシン・ウルトラマンの脚作ってみてん。これもかっこいいやろ?

 

―え、これ自分で作ったん?確かに凄いなあ、ちゃんと左右対称に作ってて偉い。胸から上の、ウルトラマンの一番かっこいいところもまた今度作ったってな(笑)。

そしたら最後に、『シン・ウルトラマン』あと何回見に行きたいか教えてくれる?

 

うーん……最低5回!

 

―「最低」って何やねん(笑)。また今度はママも連れて一緒に見に行こうな。今日は色々と話してくれてありがとう!

 

 

 

 

親の僕が感じたこと

 

 普段の息子との会話を文字に起こすとこんな感じになるんだなあ……恐縮です。

 

 『シン・ウルトラマン』。

 僕は既に3回見に行っているのですが、映画として楽しいのとは別に、鑑賞後に映画館を出ていくときの周りの人たちの感想にこっそり聞き耳を立てる……そういう、メフィラスが言うところの「変態的」な楽しみ方もしています。

 すると、やはり興奮気味に話す子供の感想が甲高い声でよく聞こえてくる。親子連れで、多分お父さんもそれなりに特撮に明るい方なのでしょう。子供がぴょんぴょん飛び跳ねて「あれが良かった、これが良かった」と話しているのに耳を貸しつつ、「昔のゾフィはな、命を2つ持ってきたんやで」と親が子にいわゆる “ドヤ顔” でウルトラの知識を分け与えている場面に遭遇しました。

 いい光景に出会えた充実感と、冷静さを装いつつも話したいことがまだまだいっぱいありそうなお父さんの落ち着かない感じまでこちらに伝わってきて。同じ「特撮オタク兼父」である僕としても、「とてもよく分かります」の心境でした。

 ウルトラマンが世間一般に「ヒーローもの」として認知されていることの良い面が如実に表れているなあ、と。

 同じ「シン」シリーズでも、僕は『シン・ゴジラ』でそういう場面を目にすることはありませんでした。親子で見て、語り合う。そんな光景をあちこちで目撃できる国産のSF映画として、『シン・ウルトラマン』は既に一定の成功を収めていると言っていいと思います。実際、観客動員数も好調のようですしね。

 

 息子に『シン・ウルトラマン』の話を訊くと、「びっくり」というワードがかなり頻繁に飛び出してくる。

 物心がついた頃からニュージェネシリーズはもちろん、ウルトラマン以外の娯楽にも沢山触れてきた息子をここまで「びっくり」させた『シン・ウルトラマン』の凄さですよ。

 彼は予告編のリデザインされたネロンガやガボラを見て、『シン・ウルトラマン』に登場するであろう他の怪獣たちは一体どんな姿をしているのか凄く楽しみにしていました。

 だからこそ、3月の『ウルトラマントリガー エピソードZ』にも登場したパゴスの、オリジナルとあまりにかけ離れたビジュアルが自分の期待していたものと明確に違い落胆してしまった。「あれはちゃう」って、死んだ魚の目をして全否定してましたからね(笑)。

 超現実的な存在感がより強調された不気味なウルトラマン、地球人にわざわざ名刺をよこして暗躍するメフィラスなど、『シン・ウルトラマン』は子供にとって「よく分からないけどなんか凄いぞ」という、あの辺りの見せ方も絶妙な塩梅だったので、父親としては小学2年生の息子に今見せて良かったと思っています。

 願わくば、彼が大人になってから、「あの頃『シン・ウルトラマン』に植え付けられたもの」を僕に聞かせてくれるといいのですが。

 センス・オブ・ワンダー、ですね。私の好きな言葉です。