僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな7歳の息子とのウルトラ備忘録です。

【あなたとトクサツ。-第1回-】「コミュニケーションのコア」としての特撮が彩るもの

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 先日告知させていただきました募集型企画「あなたとトクサツ。」

 おかげさまで、各方面から非常にポジティブな反応を多数いただきまして、企画を立ち上げた人間としてほっと胸を撫でおろしているところです。

 早速第1回目といたしまして、Twiter/スペース/ブログとインターネットの海で大変仲良くさせていただいている木本仮名太さん(id:kimotokanata)にお話を伺いました。

kimotokanata.hatenablog.com

 木本さんと僕はほぼ同世代ということで、Twitterのスペース機能でもピチピチの若人たちに交じってその場に「昭和の残り香」を漂わせるバランサーとしての役割を密かに担っています(笑)。

 やはり同世代の方との「あの頃のウルトラマン、ゴジラ、戦隊はああだったよね…」という思い出の共有はとても盛り上がると同時に、下の世代の方たちに向けて肩を組んで自己紹介…という側面もあり、そういう意味で木本さんの存在は僕にとって非常に心強いものとなっています。

 ブログ「カナタガタリ」でも、読み手に自然と情景を浮かばせる奥行きのある文章をいつも書かれていて、僕も同じブロガーとして勉強させてもらっています。昨年誕生した娘さんに関する記事でも、木本さんご自身が本当に前のめりになって育児に取り組まれている様子が伝わってきますね。僕なんか、息子が同じくらいの頃はなんにもしてなかったのでお恥ずかしい限り…。

 今回送っていただいた文章も、まさに「こういうお話が聞きたかったんです…!」と思わず膝を打ってしまう内容でした。

 それでは、読者の方の「特撮と人生」を覗き見する企画「あなたとトクサツ。」記念すべき第1回です。

 

 

 

 

「特撮熱」が復活するまでの道程

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第1回:木本仮名太さん

 

 自分が一番最初に「ハマった」と言える特撮作品は『忍者戦隊カクレンジャー』です。

 

 リアルタイムに視聴していて、当時は幼稚園生でした。『忍たま乱太郎』や『ニンジャタートルズ』などもやっていて、子どもながら忍者への免疫? が出来ていたこともあり(『忍空』なども同時期にありましたね)夢中になりました。主人公たちのキャラクター性はもちろん、先日逝去された三遊亭円丈師匠の妖怪解説も異彩を放ちながらも惹きつけられ、敵方の妖怪たちにもどこか親しみを持っていたことを思い出します。

 

 後年『地獄先生ぬ~べ~』や『ゲゲゲの鬼太郎』、その後京極夏彦先生の『百鬼夜行シリーズ』から民俗学へ……と趣味の一つの方向性を決定づけてくれた、という意味でも思い出深い作品です。

 

 「ニチアサ」という呼び方が定着して久しいテレビ朝日の特撮ですが、当時はまだ夕方の放送で、近所の幼稚園から響く5時のチャイムに合わせて家に帰る道中の薄暮の妖しさがまた作品、そして(よく言われることですが全然本編にリンクしていない歌詞の(笑))OPによく反映されていて没入感を高めてくれたのではないか、と今では思います。 おもちゃはロボットは買ってもらえず、なりきりおもちゃメインでした。父親になった今思えば、丁度次弟がなんでも口に入れる時期でしたから小さい部品のある合体ロボットがNGだったのかもしれませんね。そのためか、クリスマスプレゼントは合体しない独立の「ニンジャマン」だったことは覚えています。

 

 その後も末弟と7つ離れていることもあって、「つまみ食い」みたいな感じで特撮とはずいぶん長い間付き合ってきましたが、少しずつフェードアウトしていきました。 その中でもウルトラマンシリーズは特に早かったというか、一番明確に「あ、これはもう自分は対象年齢から外れてしまったのだな」と感じた覚えがあります。家族で今はなき「ウルトラマンランド」に行き、ショーを見た時に、未就学児の末弟のあまりに正しい「ウルトラマンショーを見る子ども」ぶりに圧倒されてしまったからです。

 

 もちろんショー自体はとても素晴らしいものだったのですが、末弟のリアクションの方が新鮮で見応えがあり、「いや、これはなんか不健全だな」とガキながら思ったのでした。 いわゆる「ニチアサ」については年齢を重ねるにつれ、部活などの都合もあり自然に見なくなりましたが、インターネットと親しむようになったこともあり、なんとなーく知っているような状況でした。卒業というよりは、休眠状態という方が正しいかもしれません。

 

 「復帰」したのは大学生時代、『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』を当時親しくしていた先輩に誘われて劇場で観たのがきっかけでした。単純に話として面白く、暇な大学生の特権を生かして過去との空白を埋めるために様々な作品を観ましたし、なけなしのバイト代を財団Bに搾取されたりもしました(笑)。

 

 自然、TwitterのTLも特撮勢とでも呼ぶべき方々が増え、さまざま情報が集まるようになりましたが社会人になってからはやはりリアルタイムで視聴することは減ってしまいました。 しかし昨年からTwitterの機能「スペース」で特撮勢の皆様とお話しさせていただくことも増え、鑑賞会をしたり、布教頂いた作品を観たり、また10年ぶりに特撮映画を観に劇場へ足を運んだり、ニチアサを初回から視聴したりなど…にわかに特撮熱が復活してまいりました。

 

 自分にとって特撮はそれ単体ではなく、そこを起点としたコミュニケーションのコアとしてあるものなのかな、というのが最近思うところです。 

「トクサツ」の魂百まで

―「あなたとトクサツ。」記念すべき第1回の投稿者として手を挙げてくださった木本さんに、早速お話を伺っていこうと思います。よろしくお願いします。

まず、最初にハマった特撮が『カクレンジャー』とのことで、同世代の僕も大好きな作品だったのでとても共感しました。カクレンの中では誰がお好きでしたか?

 よろしくお願いします。

 戦隊ではブラックが好きでしたね…! 色だったり、割と最初の方に父の敵との因縁話があったりで感情移入しやすかったのかな…あと幼稚園ではみんなレッドをやりたがるのでかぶらないから希望が通るという狡猾なガキでした(笑)。

 あとはシンボルマークが五角形なのも当時「カッコいい!」と思った覚えがあります。 後半から出てきたニンジャマンも好きでした。変身するサムライマンよりもニンジャマンのほうが好きでしたね。

 ニンジャマン、丸っこいフォルムが可愛くて僕も大好きでした…!

 

―ごっこ遊びでどの色を担当するか問題は、割とその子の個性が出ますよね。僕も本当はレッドがいいけど、変な目立ち方でもいいから存在感欲しさにイエロー役を買って出たりとかしてました。 ニンジャマン、今や定番化している6人目の戦士としても結構異色の存在でしたよね。単体で独立しているが故にメインのロボットは買ってもらえずニンジャマンだけ、というのも自分が親になって初めて分かる買い与え方というか(笑)。

ちなみに、カクレンでもそれ以外でもいいのですが、その頃に見た特撮で所謂トラウマになっている回などはありますか?

 色々ありますが一つとなると『ダイレンジャー』の「鍵道化師」回(第3話、第4話)ですね…!

 序盤だから足並み揃ってないメンバーにイライラしたり、怪人の造形(ダイレンジャーの怪人は目がギョロギョロしてて不気味でした…!)ムヒョヒョヒョョ…という口癖、「鍵を開けて魂を取り出す」という方法のエグさとそれで意識を失う子ども…今もちょっとイヤですね(笑)。

 

―「鍵道化師」でググッてみたら、第二検索ワードにやはり「トラウマ」と…(笑)。勉強不足で存じ上げなかったのですが、確かに怪人の造形を見ると妙なリアルさが不気味ですね…。

7歳下の弟さんのお話、凄く興味深かったです。「『ウルトラマンショーを見る子ども』ぶり」というのは、ステージ上のウルトラマンに声援を送る姿…というようなことですか?

 そうですね、ステージ上のウルトラマンを全力で応援して…終わったあとの質問コーナーみたいなのも全力で「はい!はい!はい!」みたいな感じで……それでお姉さんに当ててもらえたんですよね。

 それでお姉さんが「君は将来なんになりたいのかな?」 ってきいたら変身ポーズとって、

「ウルトラマン、ガイアッ!!」 

とくるもんですから……他のお客さんから拍手をもらったりとかして…(笑)。指人形をプレゼントしてもらったのかな? 完全に「こいつが主役や!」 と思いましたね。

 

―7歳下となると、その状況を目の当たりにした自分は当事者というより保護者に近い感覚になってしまいますよね…。でもなんか、光景がはっきりと目に浮かぶというか、木本さんご兄弟のコントラストが浮かび上がるエピソードで素敵です。上から目線で大変失礼ですが、弟さんの存在が木本さんご自身の「客観的に物を見る目」を育てていたのかもしれませんね。

 そうですね~私は3人兄弟の長兄なんですが、次弟末弟がブンドド遊びをしてるのを「おう、やっておるな」みたいな(笑)。年齢の割に貴重な体験をさせてもらったかもしれません。 

 

―2人の弟さんは、今も特撮をご覧になっていますか?また、ご兄弟でそういった思い出話に花が咲く…といったことは今でもあったりしますでしょうか?

 弟2人につきましては現在はいわゆる「ニチアサ」系には親しんでいない……「卒業」したのかなと思います。

 弟は2人とも中学校から剣道部で、とにかく朝が早く、我が家は末弟がレゴを詰め込んで以来ビデオデッキも壊れていたので(笑)。録画することもなく、物理的に触れることがなくなって自然と卒業……というパターンだと思います。小学校の頃は一緒に風呂に入って、戦隊の主題歌を合唱したりしていたんですけどね。

 弟、トクサツ、風呂と言えば、『仮面ライダークウガ』の最終回は、親と末弟がまだ寝ている中、次弟と2人で見たんですよね。見終わって、おもちゃのCMに「五代雄介と一条刑事をいつまでもわすれないでね。」というテロップが出て……2人とも、ずっと無言(笑)。

 いつも弟はクウガに合わせてはしゃぎまわるので汗まみれになって、日曜は朝風呂に入ることにしてたので、身じろぎもせず見ていたその日もルーティンとして2人で朝風呂に入ったんですけど、その時も無言で……。幼いなりに2人して何かを受け止めようとしていたのかな、と思います。忘れられない思い出ですね。 

 私が就職したときにお祝いとして次弟がどこからか「S.H.フィギュアーツ 仮面ライダースカルクリスタル」を調達してくれて来たときはうれしかったですね~オンライン限定商品だったはずなので……現行に詳しくないなりに兄の嗜好を考えてくれたんだなと。末弟は誕生日にガンプラを贈ってくれたことがあります。不肖の兄が母の腹に置いてきた気遣いをしっかり拾って生まれてきた自慢の弟たちです(笑)。

 次弟はパートナーがディズニーファン、末弟はパートナーがコナン女子……ということで最近はそれぞれそちらの造詣が深くなっているようです。成人してからの趣味嗜好は長く時間を過ごす相手にも結構左右されるのかな?と思わされます。私も妻の趣味に合わせて視野が広がる体験をさせてもらっていてありがたいですね。妻は『マジレンジャー』でもうこれ以上面白いものはないだろう……と「自主退学」したクチだと言っていました。

 「トクサツ」の話に限って盛り上がる……ということは余りないのですが、ふとした会話に自然と染みこんでいる……という感じですね。次弟が緑の服を着て帰省したときとかは、「やっぱ緑は、お前の色やな~」と言ったりとか(『重甲ビーファイター』のジースタッグが大好きだった次弟はその影響で緑が「持ち色」みたいになってます)。末弟になんか言ったら「鍛えてますから!」(響鬼の真似)だったりとか。「トクサツ」の魂百まで……というやつでしょうか。

 2人ともまだ子どもはいない(末弟は未婚)のですが、子どもが生まれた時彼らが「復帰」するのか……というのはちょっと楽しみです。 

 

―弟さんとの「クウガ」の思い出…素敵です。上のご兄弟お二人で心底楽しまれていたことが伝わってきますね。それぞれ大人になられて、別々に暮らすようになってからも節目のプレゼントや何気ない会話に「特撮」がスッと入り込んでくるのは、やはりそれが素敵な思い出としての残り続けているからなのだと思います。

ちなみに休眠状態から復帰されたきっかけが『仮面ライダーW』の映画とのことですが、財団Bに搾取(笑)されたのもダブル関連のフィギュアだったり…?

 そう、まさに仮面ライダーWの映画のグッズを買ったのが自分のプレバン初体験ですね…! その後S先輩の就職祝いを買って以来暫く忘れ去っていたんですが、結婚して最初のクリスマスプレゼントに妻がファンの「刀剣乱舞」のプレバン限定グッズを買ったらたいそう喜んでもらいまして、その時は財団Bに感謝しました(笑)。

 

―「初めてのプレバン」はまさに「復帰」を実感するポイントの一つですよね(笑)。奥さまとのエピソードも微笑ましく、まさに木本さんの人生において特撮というジャンルがコミュニケーションの起点となっていることが伝わってきます。

スペースでは、僕も木本さんには大変お世話になっております。特撮熱の復活…というところですと、最近ご覧になった作品で特にこれは!というものはありますでしょうか?

 スペースではやはりほかの方々の何かしらのフレーズで記憶の扉がバーンと開く感じが愉快ですね。世代のずれ、リアルタイムかどうかで受け止め方が違ったり、または世代を超えて響きあったり……。

 ゴジラの『VSシリーズ』を見返したり、『ウルトラマントリガー』を追いかけてみたり、『仮面ライダーリバイス』を初回から追ってみたり、今更ながら『ゼンカイジャー』に途中乗車したりと……。やはりわくわくを感じる出来事でした。 

 なかでも久しぶりに劇場で鑑賞した『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』は創作者の端くれとして思い出深い作品ですね。言いたいことも沢山ありますが……。スペースがなければ絶対に見ていないと思うので感謝したいと思います。

 本当に直近では、作品自体はクラシックなのですが、4Kリマスターされた『ウルトラセブン』第47話「あなたはだあれ?」を2/20にテレビで見まして。ウルトラQ的な背骨に現代でも通じるテーマが展開されていく様に見入ってしまいました。

 時代を越えて愛される『ウルトラセブン』の凄さ…!娘さんのトクサツ原体験が『セブン』になるのかも…と僕も木本さんのツイートをドキドキしながら見守っています。

 

―それでは最後に、「あなたの『特撮と人生』を覗き見する企画」らしく(笑)、木本さんの人生における「特撮」を一言で表すとすれば、一体どんな言葉になるか教えていただけますでしょうか…!

 おお、最後に色紙にバーンって書くやつですね(笑)。

 私の人生にとって特撮とは「悪友」ですかね。黒歴史も沢山ありますが、かけがえのない思い出も沢山ある、こいつがいないと人生だいぶつまらなかっただろうな、と思います。

 

―長時間のインタビューお疲れさまでした。丁寧に回答していただき感謝です。ありがとうございました!

話を伺って感じたこと 

 最初にも書いた通り僕は木本さんとほぼ同世代で、お話をさせていただく中でも「あの頃にこれを見た」という共通項が本当に沢山ありました。

 ただこれは企画の趣旨にも直結することなのですが、「いつ見たか」は共通していても「誰とどこで見たか」は例え世代が近くても人によって様々で、そこに付随する記憶や思い出も当然ながら全く異なるということです。そのことで作品への印象にもはっきりとした違いが生まれ、木本さんのように「平成ウルトラマン直撃世代の弟さんが心底楽しむ姿を見て自然と自分は一歩引いた目で見る」というようなことは、弟のいない僕にはとても新鮮なお話でした。

 そう言えば僕も、2歳下の妹と小学校高学年の頃に『ギンガマン』や『ゴーゴーファイブ』といったスーパー戦隊を日曜の朝に一緒に見ていたな、と。今思えば、あの時間は年頃の兄妹間の貴重なコミュニケーションの場になっていたのだと思います。僕が中学生に上がるタイミングで、やはり部活等で忙しくなり一緒に見る機会は自然と無くなってしまいましたが…。

 しかし、特撮を「卒業」された弟さんがオンライン限定の商品を兄の就職祝いにプレゼントだなんて、これはまさしく「あなたとトクサツ。」事案だなと(笑)。長い時間が経っても、あの頃の記憶がきちんとご兄弟の中でいい思い出として共有されていることは本当に素敵だと思いました。

 また、木本さんの奥様は『マジレンジャー』推しとのことで、たまたま偶然僕の嫁さんもマジレン推し(その中でも麗ちゃん推し)なので、2人の「マジレン女子トーク」を外野から盗み聞きしてみたいな…なんてことも思ったり(笑)。奥様の「自主退学」という表現には何か非常に信頼できるものを感じた次第です。

 木本さんからお送りいただいた文章、「本当に僕のブログにお借りしていいのですか…」という密度で大変興味深く読まさせてもらいました。僕の未熟なインタビュアーぶりにも丁寧に回答してくださり感謝しております。改めまして、今回は貴重なお話をありがとうございました!

 

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