僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

世間から10年ほど遅れて米津玄師にハマっている話

 

 米津玄師はいい。いいぞ……!

 

 当方、世間から10年(?)ほど遅れて、米津玄師というシンガーソングライターの魅力に気づいてしまいました。

 いや遅すぎますよね、ほんとに(笑)。でも、聴く曲、聴く曲、全部本気でいいから困っています。今、失われた時間を必死に取り戻しているところです。

M八七

M八七

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 きっかけは、やっぱり『シン・ウルトラマン』。

 

 この映画の主題歌「M八七」を何度も聴き返すうちに、「世の中にはこんなにくっきりとした解像度で物事を音楽にできる人がいるのか」と驚くと同時に、特撮オタクとしては何かジェラシーに近いような感情まで抱いてしまって。

君が望むなら それは強く応えてくれるのだ
今は全てに恐れるな 痛みを知る ただい一人であれ

 米津玄師は、散々ウルトラマンを見てきた自分なんかよりもよっぽどウルトラマンの本質を理解している。米津玄師がウルトラマンオタクだという話は聞いたことがありませんが、「M八七」の中で唄われている未知なるものへの憧れや物語は、まさにカラータイマーや背びれのないあのウルトラマンのように無駄がなく美しい。「ウルトラマン」という言葉を使わずしてこうもウルトラマンを力強く表現できるものか。音楽の力って凄いです。

 それ以来、僕はもうすっかり「米津玄師」という人の奥ゆかしさに迫りたい一心で曲を聴き漁っています。こりゃあ流行るわけだ(だから遅いっちゅーの)。

 

 

 

 

入観は悪

 僕、元々音楽に関しては、「流行っている」というその事実だけで意味もなく敬遠してしまう超・天邪鬼な野郎でしてね。

 だから「M八七」をリリースする前の米津玄師についても、「いつも前髪で顔の半分を隠しているいけ好かない歌手」っていうイメージしかなかったんです、恥ずかしながら。

 30も中盤になって流行りの歌手にこんな先入観を持ってちゃ駄目ですよねえ……ダサい。深く深く、反省しておるところです。

 音楽を楽しむ入り口として、とっても親切なサブスクサービス。

 僕は月額980円のApple Musicに加入しているんですけど、「さあ米津の他の曲も聴くぞ」という僕のような人のために「はじめての米津玄師」なんてプレイリストが既に用意されていたりする。他にも色々なアーティストの「はじめてプレイリスト」が沢山あって、これも聴きたいあれも聴きたいって目移りするからつい最初の目的を忘れそうになってしまいます。

 TSUTAYAで借りてきたCDをMDにいちいちコピーして聴いていた僕の学生時代とは隔世の感がありますねえ。自分に合う曲だけでオリジナルのMDアルバムを作る作業、あれはあれで楽しかったですけど。

 なので、今はこの「はじめての米津玄師」を繰り返し繰り返し聴いているところです。本当にいい曲ばっかり。「流行ってるからなんとなく聴かねぇぞ」みたいなのはほんと駄目ですね。勿体ないぜ、あの頃の自分。

直さにハッとさせられる

春雷

春雷

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 「Lemon」や「パプリカ」といったメガヒットした曲も当然いいんですが、僕のお気に入りはこの「春雷」という曲。

 基本的に音楽は移動や作業の際のBGMにしているからか、特にアップテンポな曲は耳を通して体内に染み込みやすい感覚があります。肩でリズムをとったりなんかしていると作業も捗っているような気がしてくる。

 で、キッチンで食器を洗いながらノリノリでこの「春雷」を聴いていると、リビングにパッと入ってきた嫁さんが「あ、その曲めっちゃ好きやねん〜」と言う。なんかこう、サラッと言うんですね。いかにも直感的に出てきた言葉という感じで。僕にはない、好きなものへの素直さ、まっすぐさ。ここにハッとさせられる。

 僕がそっちの立場だったら「なんでまた急に米津なんか聴いてるん」みたいなことをボソッとつぶやいて、その場を変な空気にさせていそうなものです。こういうところでも無意識のうちに天邪鬼が発動してしまう。

 好きなものは好き――。嫁さんのこの素直さは見習わねばと思いますし、好きなところです。

 

 

 

 

 ちなみにこの「春雷」。どういう曲かというと、人が恋をしたときに「ビビッ」と来るあの感覚と、それに翻弄されてしまうもどかしい気持ちを歌った一曲で。

言葉にするのも 形にするのも そのどれもが覚束なくって
ただ目を見つめた するとあなたはふっと優しく笑ったんだ
嗄れた心も さざめく秘密も 気がづけば粉々になって
刹那の間に 痛みに似た恋が体を走ったんだ

 僕が嫁さんの素直さに未だにハッとさせられるのは、実はこういうことだったりして……なんてね。いやいや、いかんです。30も中盤になってこんな思春期みたいなことを言っているようでは。

 でも、米津玄師は僕より2つも年下だけど、その辺の男心や男女の機微までぜーんぶお見通しだったりするのでしょうか?「M八七」のときに感じた米津玄師への尊敬の念が、今度はちょっと怖さに変わってきています。

 「春雷」、メロディも歌詞も頭から離れない。「痛みに似た恋」とは実にストレートで分かりやすい表現です。そっか、僕は嫁さんにハッとさせられたのと同時に、「痛みに似た恋」がまさに体を走っていた。雷に打たれた後の僕にこの曲が刺さりまくるのも当然、というわけか……!

 人一倍照れ屋の僕にこんなことを言わせるとは、改めて米津玄師、恐るべき表現者です。これから更に時間をかけてじっくり聴かせていただく所存であります。