ちょうど1年くらい前から家族でポケモンカードにハマっていることは以前記事にも書いた通りです。
この1年の間に、僕は「シティリーグ」という公式大会に参戦するほど“ガチ対戦”の魅力にどっぷりと浸かってしまいました。コレクター気質の嫁さんは拡張パックの開封の楽しさに憑りつかれ、子供の頃に集めていた懐かしいカードも引っ張りだしてきて自分だけのマイ・コレクションファイル作成に余念が無い。
始めた頃はここまで長く遊び続けることになるとは正直思っておらず、改めてポケモンの持つパワーを感じている次第です。
そして当時5歳にして本格的にカードゲームに取り組むこととなった息子は、というと。
最初の方は、カードに書かれているポケモンの技や効果を読むことに悪戦苦闘。一文字ずつ指を差しながらようやく読めた時には「やったー!読めたで!」とぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでいた彼が、今や自分一人でデッキを作ってみようという段階に来ています。
息子が作る世界でただ一つのオリジナルデッキには、対戦で勝つことを念頭にポケカをプレイしていた僕がいつの間にか忘れてしまっていた、「あの頃のポケカ」の楽しさが詰まっていた―。というのが今日のお話。
ポケカとデッキ
カードゲームの対戦で使用するデッキ。
デッキと一口に言ってもその目的は様々で、僕のように大会に出て勝つことを第一の目的に組むガチデッキもあれば、ポケカの場合は自分の好きなポケモンを活躍させることに特化したものや、相性のいいカードを組み合わせて思わぬ効果を生み出すコンボデッキなんていうのも存在します。
息子がこれまで使っていたデッキは、「れんげきウーラオスVMAX」や「アルセウス&ディアルガ&パルキアGX」といった彼のお気に入りのポケモンかつ大会でもよく見かける強力なカードを中心に、大枠は僕が組んであげたものでした。
今はネット上にトッププレイヤーのデッキレシピが無数に転がっていて、早い話がカードさえ持っていればそこそこ戦えるデッキっていつでも誰でも作れてしまう環境なんですね。
僕もせっかくやるからにはレベルの高い対戦をと思い、それこそそのまま大会にも持って行けそうなデッキを息子には渡していました。実際、僕がシティリーグに出てそれなりに勝負出来たのも、息子がガチの対戦相手になってくれたことが大きかったのです。
ただ、この遊び方を続けていると、僕も息子もポケカに対する視野がどんどん狭まっていくのではという気がしていて…
息子のポケカ・マイルール
パックを開けても、デッキに採用されそうな汎用性の高いカードや強いポケモンしか目に入らなくなってしまうんですよね、どうしても。
せっかく好きなポケモンのカードが当たって、何も知らなかった1年前なら「やったー!」と大喜び出来ていたのに、今はテキストが読まれる前からそのカードは部屋の隅っこに追いやられてしまう運命で。ある意味、僕らのカードを見る目が肥えてきたとも言えるのですが、「この二度と使われないであろうカードたちの存在意義って…」と、どこか釈然としない気持ちが拭えませんでした。
息子もその辺りは僕に近い気持ちを抱いていたのか、彼は自分がこれから作るデッキに「3つのマイルール」を課しました。それがこちら。
1. V、GXポケモンはデッキに入れてはいけない。
2. 大会で見かける強いトレーナーズはあまり入れないようにする。
3. 必ず自分の好きなポケモンを使うべし。
「V、GX」とは、通常のポケモンに比べてHPが高く、強力なワザや特性を持ったカードのこと。今のポケモンカードはこのV、GXポケモン無くしては語れませんが、それをデッキに入れるなというわけです。
「トレーナーズ」とは、プレイヤーがポケモンを補助したりゲームを有利に進めるために使うカードのこと。遊戯王で言う魔法カードや罠カードの部類ですね。これも強いカードとそうでないカードの差が非常に激しく、汎用性の高いトレーナーズはどんなデッキにも採用される傾向にあります。
3つ目は言わずもがな。「好きなポケモンを使ってこそポケモントレーナーだろ!」という息子の心の叫び。
「あの頃」のポケカを思う
自分に課した「マイルール」を元に、我が家のポケカストレージボックスにあるカードから息子が独自にセレクトして構築したデッキがこちら。
多分これ、世界で一つとして同じ構築が存在しない真のオンリーワンだと思います(笑)。
…いやいや、笑っちゃいけませんね。息子の好きなポケモンがもりもり入った凄く楽しいデッキ。何より作った本人の満足気な表情を見ると、ちゃんと完成させたことを目一杯褒めてあげたい気持ちです。
で、このデッキに対して僕が普段使っている「それなりのデッキ」を持ってきちゃうのも野暮でしかないので、息子の課したマイルールを元に僕もストレージボックスを漁って一つデッキを作ってみました。
僕の推しポケモンであるルカリオを中心に、息子との対戦がなるべく盛り上がるよう、コイントスが必要なトレーナーズや効果が不確定な特性を持ったポケモンを多めに入れてみました。定番カード「クイックボール」は、息子のマイルールその2に抵触するので「スーパーボール」で代用。
この2つのデッキで対戦してみると、やはりガチデッキ同士のスリリングさには欠けるものの、お互いにお気に入りのポケモンをじっくり育てながらの戦いには、僕が小学生の頃にハマった「あの頃のポケモンカード」を思い出さずにはいられませんでした。
息子が課した「マイルール」は、HPやワザのダメージが全体的にインフレを起こして高速化した現代のポケカを、最初期の、僕にとっては懐かしい「あの頃のポケカ」に戻してくれていたのです。
こうなると大幅に広がるのがデッキを組む際の選択肢。これまで部屋の隅に追いやられてきたカードたちも、このルール下だと思わぬ活躍を見せることが多々あって。パックを開けたときに、僕と息子で1枚1枚カードのテキストをじっくりと読むようにもなりました。
で、僕が「そう言えば、昔のポケモンカードってこんな感じだったなあ」としみじみしていると、息子の育てたマルヤクデが急に強いワザを出してきたりしてびっくりするんですけど(笑)。
対戦が終わるごとにカードを引っ張り出してきてデッキ構築を再考する息子の姿には、つい昔の自分を重ね合わせてしまいます。「デッキ構築に正解は無い」とは言っても、「限りなく正解に近いもの」は確実に存在していて。それに何とか近付こうと足りない頭を捻っていた20年前の僕。あの頃の僕が作ったのも、確かに世界でただ一つのデッキだった。
頭ごなしに「昔は良かった」などと言うつもりはないんですけどね。これから息子がどんなデッキを作って僕に挑んでくるかを想像するだけで、ポケカのこと、家に帰ってからのことを考えるのが楽しくなってくるんです。
息子の課した「マイルール」、実は結構な発明だと思うのですがどうでしょう?