講談社より発刊された『ウルトラ特撮マガジン2020』、無事に入手出来ました。
発刊に先駆けてテレビマガジンのTwitter公式アカウントでは、AとB2つの案から好きな表紙を選ぶ人気投票が行われ、僕の投票した明るくポップな印象のB案が選ばれたことで「これは買わねば」と使命感に駆られていたところでした。
で、発売日に近所の本屋を数件回ったのですが、これがどこにも置いていない。それどころか、割と大きい本屋のホビー誌のコーナーが以前の1/3くらいに縮小されていて、結構ショックを受けてしまいました。僕が中学生、高校生くらいの頃は、『宇宙船』や『ハイパーホビー』といった派手な表紙のホビー誌が並ぶあの棚を眺めるだけでその日の疲れが癒されたというのに…。
と、文句を言いつつ、当の僕も「本屋で本を買おう」としたこと自体がいつぶりだったんだろうという感じで。そりゃあ、僕みたいなのがそんな調子じゃホビー誌のコーナーがいつの間にか縮小されてしまうのも無理ないですね。
いやでも、本はなるべく本屋で買いたい。身勝手な消費者のエゴだと分かってはいるのですが。
『ウルトラマンAGE』の記憶
円谷プロの専門誌と言えば、その昔、辰巳出版から『ウルトラマンAGE』という雑誌が出ていました。
ちょうどテレビでは『ウルトラマンコスモス』が放送されていた頃。当時中学生の僕をいわゆる「ウルトラ沼」に引きずり込んだ雑誌と言ってもいいかもしれません。
当時はSNSも存在しませんでしたし、インターネットも情報収集のツールとして今ほど一般的ではありませんでした。今から思えば、好きなジャンルに関する細かな情報を定期的に得られる手段として、雑誌が重宝されていた最後の時代だったと思います。
『ウルトラマンAGE』は、キャスト・スタッフのインタビューを中心に最新作の貴重な情報や、過去のマニアックな作品の特集も頻繁に組まれ、円谷好きにはなかなか読み応えのある雑誌でした。最初に本屋で見つけたときは、「こんな夢みたいな雑誌があるのか」と狂喜乱舞したことをよく覚えています。
今みたいに、スマホ片手にTwitterを開けばリアルタイムで情報が飛び込んでくる…なんて便利な時代ではありませんでした。だからこそ、『ウルトラマンAGE』を読んでいる時間、本を買って家に帰るまでの時間も含めて、好きなものに無心で浸ることが出来たあの充実感は、やはり僕の中で相当美しい記憶として残っています。あれ、僕、今おじいちゃんみたいなこと言ってます?
奇妙な休日の過ごし方
今回の『ウルトラ特撮マガジン』は、結局Amazonで購入しました。
でも僕は、発売を楽しみにしていた本だからこそ、出来れば本屋で買いたかったです。正確に言うと、「買いたかった」というより「本屋の棚に並んでいるのを見たかった」な、と。
おもちゃ売場とかもそうなんですけど、不特定多数の人たちの目に触れる場所に自分の好きなものがズラリと並んでいると、それだけでテンション上がりませんか?
特に今、ウルトラマンなんか『Z』が絶好調で乗りに乗っているところじゃないですか。このムーブメントを、僕たちオタクだけじゃなくて普段特撮を見ない人たちにも感じ取ってもらって、あわよくば「最近のウルトラマン、なんか面白そうだから見てみようかな」っていう流れになって欲しい。
本屋の棚に新しいウルトラマンの表紙がズラリと並んでいる、おもちゃ売場の一角に見慣れないウルトラマンのおもちゃが山積みされている…そんな光景を眺めながら「ウルトラマン、がんばれ!」と、心の中でこっそりつぶやく。そんな(傍から見ると少し奇妙な)特撮オタクの休日の過ごし方があってもいいじゃないかと、そう思うわけです。
独特の誌面を是非一度!
さて、ここで肝心の『ウルトラ特撮マガジン』を一通り読んだ感想を少し。
「円谷プロダクション その誕生と成長」というテーマで、最新作の『ウルトラマンZ』はもちろん、40周年を迎えた『ウルトラマン80』の特集、ウルトラ以外にも『トリプルファイター』や『怪奇大作戦』といった初期の円谷作品まで満遍なく取り上げている印象。
正直、じっくりと読むようなところはあまり無くて、読み応えという部分では値段の割にやや物足りなさが残りました。ただ何と言いますか、好きな人たちが作った雑誌ならではの「熱」が伝わってくる誌面にはかなり圧倒されました。「そこのあなた、こんなの!好きでしょ!!ねっ!!!」ってどんどん近づいて来られるような感じ。
まず、どの特集も写真のセンスがいいです。狙いを外さない。円谷ファン歴の長い僕でも見たことの無い写真までいくつか掲載されていました。
あと、その写真にでかでかと挿入されているキャッチフレーズの言葉選びも独特で面白い。スーパーメカ特集で、マットアロー1号の写真の下に「物語を盛り上げることも多い!」って書いてありましたもんね。初めて見ましたこんな誌面(笑)。「なんか特撮浴びたい気分だな~」って時にパラパラめくると至福の時間が送れそう。
そして、僕以上にこの雑誌に食いついてきたのが我が息子。
これだけ大きくウルトラマンや怪獣の写真が、しかも沢山載っているとなると、ウルトラ好きの5歳児にとって相当魅力的な誌面だったのだろうと思います。さすがテレビマガジン特別編集。
ただ、『コセイドン』や『アステカイザー』の写真を指差して「これ何なん?!」と訊かれても、「いやー、パパもよく知らんねん…」としか答えようがないというもので(笑)。
『ウルトラ特撮マガジン』、今のところ次号の予告が見当たらないのが気になるところ。その辺は今回の売れ行き次第というところなのでしょうか。かつての『ウルトラマンAGE』のように、多感な若者をウルトラ沼に引きずり込む雑誌として出来るだけ長く続いて欲しいのですが…。そして願わくば、本屋のホビー誌のコーナーに並ぶその勇姿を、息子と一緒に発見したいものです。
素晴らしい本こそ、本屋で出会いたい。またウルトラマンが、僕の青春時代の思い出を掘り起こしてくれました。