僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

~客演の醍醐味が凝縮された快作~ウルトラマンX『イージス 光る時』を語る

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 ウルトラマンゼロ10周年のTwitter公式アカウントにて開催された企画、「あなたが選ぶMost Valuable ZERO」に僕も投稿してきました。

 「ゼロの名場面」というとパッと思いつくだけでも数えきれないほどありまして、『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』の初登場シーンはもちろん、『ウルトラゼロファイト』でのウルティメイトフォースゼロとの絆、『ジード』のゼロビヨンド登場編などなど一つに絞るのがなかなか難しいレベルでした。迷いに迷った挙句、『ウルトラマンX』の第5話『イージス 光る時』から、宇宙空間でゼロとエックスが会話するシーンを選んでみました。

イージス 光る時

イージス 光る時

  • メディア: Prime Video
 

 エックスのピンチに、ウルティメイトイージスを装着し颯爽と現れるゼロ。『イージス 光る時』は、坂本浩一監督のケレン味溢れる演出がバシバシ決まる痛快さがたまらない1本で、主役を食う勢いと存在感を発揮するゼロの魅力が坂本監督お得意のナパームと共に大爆発しています。

 僕が名場面に選んだシーンは、冒頭から続くアクションの連続の中で一瞬だけ訪れる「静」の時間。それはまるで、人間が本来見ることの出来ない「ウルトラマンだけの世界」を覗き見しているような…

 

 

 

 

『ウルトラマンX』 客演回の素晴らしさ

 ゼロに限らず、『X』の客演回はゲストのウルトラマンに対する気配りが利いているといいますか、かなり注意深く作られている印象があって。

 例えばウルトラマンマックスが登場した『狙われたX』では、原作のラストと矛盾が起きないようにDASHの制服を着たトウマ・カイトは実はマックスが変身した仮の姿という展開でした。そのことが視聴者には最後の最後に分かる仕掛けになっていたのも実にドラマチックで。ネクサスの『絆-Unite-』でも、女性の副隊長がデュナミストに選ばれる点や、新宿を舞台に繰り広げられるウルトラマンとビーストとの戦いが原作のファンのツボを刺激しまくったのは記憶に新しいところです。

 ゲストのウルトラマンがどこからともなく現れて、主役と一緒に敵を倒して終わり…という単純な流れで終わらせない。原作のファンも唸らせつつ、分かる人には分かるお遊びも含めて客演そのものにドラマ性を持たせる工夫が『X』では大成功していました。そしてそれは、ゼロの客演回も例外ではなく。

「俺様キャラ」をどう際立たせるか

 「ゼロ推し」を公言し続ける僕が考えるゼロの最大の魅力。それはやはり、ウルトラマンの一般的なイメージからはかけ離れた「俺様キャラ」ではないかと思っていて。

 エックスとの会話一つ取っても、もうめちゃくちゃ上から目線で痺れます。

ゼロ:お前らが、この星のウルトラマンか?

エックス:あなたは一体誰なんだ?

ゼロ:俺は、宇宙警備隊のゼロ。

エックス:やつを追ってこの地球に来たのか?

ゼロ:バンデロは今、惑星ギレルモにいる。あんたの友達の電波で分かった。礼を言うぜ。

大地:待ってくれ!ルイを…友達を助けたいんだ。一緒に連れていってくれ。

ゼロ:二万年早いぜ、お前らにはな。俺に任せな。

 ここ、エックスはゼロに対して「あなたは―」と礼儀正しいのに、ゼロはほぼ初対面にも関わらず「お前ら」ですからね(笑)。

 優等生的なエックスとのコンビが、ゼロの「俺様」感を余計に際立たせていて凄くいいんです。それと、バンデロに苦戦していたエックスを見て「お前らにはまだ早い」と断ずるゼロの、戦士としての目線が入っているのも密かに熱いですね。

 見る側としてはこの時点でもう先の展開が読めてはいるのですが、この共演を盛り上げるためのレールにちゃっかりと乗せられ、最終的に「展開が読めている」が故の安心感の方が勝ってしまう。キャラクターの魅力を熟知した、ゼロの生みの親でもある坂本監督さすがの演出です。

 あと、これは個人的なこだわりで、助けを求める大地の声にゼロが振り向く「あの一瞬」がもう好きで好きでたまらないんですよ。ウルトラマンのマスクに表情の変化は無いはずなのに、スーツの上からでもゼロの感情の動きが伝わってくる。あそこだけ声優さんの声が無くてもちゃんと「お芝居」として成立しているんですね。何度も繰り返して見てしまう、僕にとってまさしく「Most Valuable ZERO」なシーン。当ブログではこの意見に同意してくださる方を募っています(笑)。

「客演」の醍醐味

 エックスとゼロの共闘への流れも、スムーズかつポイントを押さえた粋な演出で。

 「二万年も待ってられないんでね」とゼロの決め台詞を引用しつつ、左手でウルティメイトイージスをがっちりと掴むエックスの凛々しさですよ。中村悠一さんの落ち着きのある声に、「主役の座は俺のものだ」と言わんばかりの強い主張を感じさせる。これが、30分の枠の中でしっかりとドラマを積み重ねた成果の象徴なのだと思います。

 この時、横にいるゼロの「今回ばかりは主役を譲ってやるよ」みたいな仕草もいいですよね。なんでこう、一つひとつの動きがツボにハマってくるんだろうかゼロ様は。

 この回は、息子と見返した回数もニュージェネの中では恐らくナンバーワンです。イージスを装着したエックスが登場したときのゼロの小ボケ(「それ俺の~…」)も含めて、ウルトラマンのかっこ良さとキャラクターの魅力が凝縮された30分間に、僕も息子も目が釘付けになってしまって。あんまりハマり過ぎて、一時は「ゼロ見ようか~」の一言でお互いにこの回を見ることが以心伝心していたほど。

 「喋るウルトラマン」が許せない人、ヒーロー同士の安易な共演に納得できない人にこそ見て欲しい。頭の中を空っぽにして、ヒーローが並び立つ「客演」の醍醐味を味わって欲しいと思います。そこのあなたも、騙されたと思って是非。おすすめです。