ふと思い立って映画『ULTRAMAN』を一人で見ていたら、案の定、息子が食いついてきました。
従来のウルトラシリーズに比べて対象年齢が高めに設定されているこの作品。
実際、子供が見たら怖がるだろうなと感じるシーンも多いのですが、息子は全然平気みたいで。
僕が公開当時に買って未開封のままにしていたザ・ネクストのソフビもずっと大事そうに持っています。シルバーのアンファンスから赤いラインの入ったジュネッスへ形態変化していく様子が面白いらしい。君、分かってるねえ。
僕はふと思いました。息子とウルトラマンを一緒に見始めてもうかれこれ2年近く経つけれど、彼が大人になってもずっと記憶に残り続けるような、ウルトラシリーズにおける「トラウマ」ってこれまであったのだろうか。息子のこれまでを思い出しつつ、少し考えてみようと思います。
僕のトラウマはダダとケロニア
ちなみに自分が子供の頃はどうだったのかと言うと、ウルトラシリーズに植え付けられた「トラウマ」は相当ありますよ。中でもダダとケロニアは今でもちょっと怖い。

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この2人の何が怖いって、人間と同じ大きさで室内をウロウロしていたじゃないですか。それでいて造形にも妙なリアルさがあって。何かしらの気配を感じたときにはもう事態が進行している。パッと後ろを振り返ると、そこには見たこともない宇宙人!この怖さ。
僕、霊感とかは全然ないんですけど、例えばお風呂で頭を洗っていると後ろに誰かいる気がする、みたいなことは昔からありました。そういう身近に感じたことのあるちょっとした恐怖感が、ダダやケロニアが人間の前にヌッと現れるシーンと結びついてしまったんですね。身長50mの怪獣も実際に出てきたら怖いんでしょうけど、トラウマになる怖さとはまた別の怖さなんです。
僕、ダダの回(第28話『人間標本5・6』)はテレビの前に座っていられなくて泣きながら隠れてましたもんね。ケロッとしている友達が信じられなかったですもん。
強調される「親しみやすさ」
現在放送中の『ウルトラマンタイガ』は「宇宙人が潜伏している地球」を舞台にしており、毎回何かしらの形で宇宙人が登場しています。僕のトラウマ、ダダは昨年の『ルーブ』に登場していました。
これも時代の流れなのか、僕が子供の頃に感じたような恐怖感を強調するような演出はほとんど無くて、みんな当然のように日本語を喋って人間たちと簡単に意思の疎通ができる。怖さ、得体の知れなさよりも、どちらかと言うと親しみやすさを感じさせる設定になっているのがポイントです。
息子に「怖い怪獣とか宇宙人はいる?」と訊いてみても、「怪獣も宇宙人も全部めっちゃ好きやで」という答えが返ってくる。
「昔のほうが良かった」などと声高に叫ぶつもりはないのですが、あの背筋がゾクッとするような怖さはウルトラシリーズ独特のもので、そこに魅力を感じたファンの一人としては少し寂しい気もしています。「トラウマあってこそのウルトラだろう」という思いもやはりあるのでね。
どこにトラウマを感じるか
ただ息子を見ていると、作り手側が「子供にトラウマを植え付けてやろう」と意図して作ったものって、意外と当てはまらないのかもと思うことが多々あって。
冒頭で触れた『ULTRAMAN』もそうですし、『ネクサス』に出てくるペドレオンという怪獣。あれ大人の目線で見たらめちゃくちゃ怖くてグロいけど、息子は全然ビクともしない。むしろ人を捕食するシーンを見て「おー!」って手叩いてますもんね。子供の頃の僕に比べたら相当度胸あります。
思えば、僕のトラウマであるダダとケロニアも、当時のスタッフたちがそう意識して撮っていたなんて話は聞いたことがない。僕が泣いていた横で友達がケロッと平気だったように、「トラウマになる基準」なんて人によってかなり違いがあるのでしょうね。もしかしたら息子も言わないだけで、僕と一緒に楽しく見ていた映像の中に小さなトラウマを抱えてしまっている可能性だってあるかもしれない。
そう考えると、ますます息子がウルトラマンを楽しむ姿から目が離せなくなってくる。うちの母親が、ダダを見て大泣きする僕を笑っていたように、大人の目から見ると何でもないようなところに息子が意外な反応を見せてくれるかもしれません。
そうだ、試しにダダとケロニアの回を息子に見せてみましょうか。僕がトラウマを克服できていれば、の話ですが……(笑)。