「選挙の日ってウチじゃ何故か、投票行って外食するんだ」
選挙の時期がやって来るたびに思い出すこの歌詞。これを女性アイドルに歌わせようと考えたつんくさんは本当に天才だなとしみじみ感じます。ちなみに僕は今日、家族で映画を観に行ったあと投票行って外食してきました。モーニング娘。が2001年にリリースした『ザ☆ピース』、もう15年以上前の曲なんだなあ。
あ、すみません、今日はモー娘。の話じゃなくて投票の前に観に行ったポケモンの新しい映画についてです。その名も『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』。
何を隠そう僕は元祖ポケモン世代。小学3年生のときに始まったアニメにどっぷりハマり、例の「ポリゴンショック」から中断期間を置いての奇跡の復活までリアルタイムで体験しております。今回の映画の原作でもある『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』も、もちろん映画館へ足を運びました。『ピカチュウのなつやすみ』も懐かしいなあ。
僕にとって約20年ぶりの『ミュウツーの逆襲』。主人公・サトシ役の松本梨香さんが唄う「めざせポケモンマスター」のイントロが流れた瞬間、ポケモンが好きで好きでたまらなかったあの頃の思い出が走馬灯のように頭の中を駆け巡る。「これはブログに書かなきゃ!」そう思い立って今キーボードをカタカタと叩いています。
ポケモンの忠実な立体化
まず、『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』とはどんな映画なのかというお話。
今も続くポケモンの劇場用映画の記念すべき第1作が『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』。ファンの間でも非常に人気の高い作品で、現在に至るまでポケモン映画史上No.1の観客動員数記録を維持し続けています。『EVOLUTION』は、その『ミュウツーの逆襲』の完全リメイク。大まかなストーリーはそのままに、最新の3DCGを駆使してこれまでのアニメ作品とは異なるポケモンの新たな質感を表現した実験作でもあります。
ポケモンの映画と言えばハリウッド製作の『名探偵ピカチュウ』も少し前に話題になりましたね。こちらも3DCGでポケモンを表現することに挑戦していましたが、こちらが「実写化する上でのリアリティの追求」とするならば、今回の『EVOLUTION』は「アニメ版の忠実な立体化」とでも言いましょうか。
とにかく、出てくるポケモンの肌の質感や表情が素晴らしくて。ピカチュウやニャースの体毛の表現とか、ドンファンやイワークといった岩ポケモンのゴツゴツ感。セル画のアニメではまず表現しきれないであろう部分はCGの特性を活かして細かく描写しつつ、表情やアクションはセル画特有の可愛らしさをそのまま持ってきて、「生物なんだけど架空のキャラクター」であるポケモンの本来持っている魅力を浮かび上がらせていました。この映像は劇場で見る価値ありだと思います。
幻のポケモンを追え
あと、個人的には自分がハマっていた頃の初期のポケモンしか出てこないのがもの凄く安心感あって。正直、金・銀以降の新しいポケモンってほとんど知らないんですよ(笑)。
世界に一匹しかいないと言われている幻のポケモン・ミュウと、そのミュウの遺伝子から生まれた最強のポケモン・ミュウツー。エスパーポケモンの特性を存分に生かしたミュウツーの強さの表現は相変わらず男の子のツボを心得ているし、同世代の方でゲームボーイをプレイしていた方なら共感してもらえると思うんですけど、ミュウって僕らにとっても手の届かなかった文字通り「幻のポケモン」で。
ツチノコ騒動じゃないですけど、「どうやら151匹目のミュウってやつがいるらしい」ってクラスの中でも噂だけ先行して毎日大騒ぎしていた記憶ありますもん。当時のソフトには特定のコマンドでミュウが出現するバグもあったりしましたよね。
そういう思い出も込みで、僕にとってミュウは特別な存在。作品の中でも同じように、神秘的かつミュウツーとも張り合える強さを持った特別なポケモンとして描かれていたのには感慨深さがありました。
単なるノスタルジーだけではない感情
『ミュウツーの逆襲』がどんな物語かは、20年前とはいえ僕も多少は覚えていたので今回のリメイクにそこまで感動することはないだろうと思っていたのですが、これが大きな間違いで。
「ポケモンと人間の絆」や「生きることの意味を問う」といった原作に込められていたメッセージが、実在感の増した3DCGのポケモンとクレイアニメのような質感の主人公・サトシたちによってより真に迫るものへと進化していました。
ピカチュウが、石化してしまったサトシをなんとか生き返らせようと必死にでんきショックを送ったり、リザードンやフシギバナがそれぞれのコピーポケモンたちと「わざ」を使わずに互いを傷つけ合う場面なんかは、この3DCGの表現だからこそ僕もここまで感情移入出来たのかなと。RPGの主人公になったような気分で、手に汗握って画面に見入ってしまいました。
サトシたちがミュウツーのいるポケモン城へ辿り着いた辺りから、別に感動するようなシーンじゃなくてもいちいち泣けたのはやはり僕がポケモン世代だからでしょうか。ゼニゼニ言ってるゼニガメはだまらなく愛おしいし、人間の言葉でニャーニャー喋るニャースは家で飼いたい。あの緊迫した状況でも表情ひとつ変えないコダックとか、本来は笑うシーンなはずなのに何故か泣けました。
繰り返しになりますけど松本梨香さんの「めざせポケモンマスター」、どうしてあんなに泣けるんだろう。単なるノスタルジーだけじゃないと思うんですよこの感情。「うわー、泣けるわー、なんでだろうー」って考えてるうちに映画は終わってしまいましたけど。エンディングテーマはこれも原作と同じ「風といっしょに」。ここで僕はもうダメでした。涙腺崩壊。
あれから20年経って、その間に僕も大人になったけど、ポケモンはずっと僕の大好きだったポケモンであり続ける。そう思えたから泣けたのかなあ。