『ウルトラマントリガー エピソードZ』を息子と見てきました。
この『エピソードZ』は従来の松竹の配給による劇場版ではなく、円谷プロの公式サブスク「TSUBURAYA IMAGINATION(以下ツブイマ)」のオリジナル映画として制作された特別編。
当然ツブイマでの配信も既にスタートしていて、劇場で公開されるその日に家でサブスクを介して鑑賞が可能という、僕ら90年代のビデオテープ世代にはにわかに信じ難い新たな試みがなされた作品でもありました。昔は、ビデオやDVDの発売を1年くらい待つのが当たり前だったのにねえ…。
1年ほど前に円谷プロの公式サブスクができると聞いた時もそりゃあびっくりしたものですが、まさかこんなに早く現行シリーズの「オリジナル映画」が作られるまでになるとは想像もしていませんでした。この試みが商業的な成功を収めれば、今後は劇場版のみならずツブイマ限定の長編スピンオフなんかが作られたりもするのでしょうか。なんと夢のあるお話…!
今回は『エピソードZ』の感想と、ツブイマが提供してくれた「新しい映画体験」について少しお話してみようと思います。
『トリガー』の集大成として
テレビシリーズで描かれた、人類とメガロゾーアの最終決戦から2年が経過した地球を舞台にした本作品。最終話でエタニティコアへ消えていった主人公・マナカケンゴの帰還と、『トリガー』の原点である『ウルトラマンティガ』に登場した宿敵「イーヴィルティガ」をオマージュした新キャラクター、「イーヴィルトリガー」とは何者か…というのが大きな見所です。
まずは映画の感想を、ネタバレを避けつつ少しばかり。
全体的に凄くバランスのとれた作品だったと感じました。テレビの後日談でありながらそこに番外編的な空気は全く無く、『トリガー』がこれまで描いてきたテーマや本筋のストーリーをきちんと追っていく内容だったので、最終話を見終わった後のあの高揚感そのままに見ることができたという印象です。
特に嬉しかったのは、「ケンゴが人間として転生した理由」を劇中で明言してくれたことです。ここを物語の核としたことで、イーヴィルトリガーの存在理由やGUTS-SELECTの団結をスムーズかつドラマチックに描くことに成功していました。またそのお陰で、僕もテレビシリーズから抱えていたモヤモヤの何割かが晴れた気がしています。『トリガー』の世界に愛着を持っている方なら、まず間違いなく楽しめる映画です。
GUTS-SELECTにトキオカ新隊長を迎えることで、劇中での2年という時間の経過も違和感なくすんなり受け入れることが出来ました。ネタバレにならぬよう、アキトの口癖「ウザい」がますます好きになったことだけ書いておきますね(笑)。
従来の現行シリーズの劇場版に比べると映画としてはやや地味な出来で、同じ武居監督の『R/B』の劇場版で見られたような映像的に「おっ」と身を乗り出すような箇所が無かったのは率直に残念でした。やはりツブイマオリジナル映画ということで、予算的には相当厳しくなっていることが想像できます。
ただその分ドラマ部分での堅実な作りは際立っていて、見終えた後、ケンゴ君のまぶしい笑顔よろしく優しい清涼感が残りました。また映画館に見に行きたい。
隣の隣の隣の街まで…
さて、公開初日に映画館に足を運んで鑑賞した身からすると、やはり避けて通れない話題がこの映画の「上映館数の少なさ」です。
これは最初に触れた「ツブイマオリジナル映画」という新たな試みが大いに関係している部分なのでしょう。普通の映画とは違い、映画館に行かなくても見られる手段があるという点でここに関してはカバーされていると思うのですが、やっぱり映画…特にウルトラマンや怪獣が出てくる映画はなるべく大きなスクリーンで見たいというのが特撮ファンの性というもの。
実際に僕も映画館で見た後、家に帰ってツブイマでもう一度見返してみました。
その中で、特に序盤のガッツファルコンがパゴスを相手に活躍するシーンや、トリガーとイーヴィルトリガーの最終決戦など、劇場のスクリーンと家のタブレットでは映像から受ける印象が全く異なる箇所がいくつかありまして…。なんかこう、迫る力と言いますか…つまり「迫力」がやはりタブレットではかなり物足りなく映ってしまったんですね。
僕の住んでいる県、そんなに田舎でもないはずなのに上映館数「0」でしたからね。学校から帰ってきた息子と一緒に、隣の隣の隣の街(笑)まで車を走らせるのも確かに楽しくはあったのですが。この環境だと映画館で見たいのに見られないという方が相当いらっしゃるのではないかと…そこはやはり今後改善してもらいたいポイントです。
新たな“映画体験”として
1年半以上前の『ウルトラマンタイガ』の劇場版以来、久しぶりのウルトラマン映画を首を長ーくして待ちわびていた息子。
YouTubeで予告編を見たときからイーヴィルトリガーのデザインがバチバチにツボだったらしく、映画館でもイーヴィルトリガーが登場するところで隣の僕の腕を引っ張り、わざわざ顔をこっちに向けて「キタ━(゚∀゚)━!」的な表情を見せてくれました。かわいいやつ(笑)。
息子も次の4月から小学2年生。
特にここ最近は語彙力がぐんぐんとアップしてきていて、そんな彼のウルトラマンに対する感想を聞くのが僕もちょっとした楽しみになっています。帰りの車でも、「ユザレが戦ってたときにさあ、○○も色々頑張ってたりしたんやなあ」とポツリ。単に「かっこいい!凄い!」だけじゃなくて、ちゃんと物語を理解しながら尚且つそれを自分の言葉として出力できるようになっている。
そういう息子の成長ぶりも、やはり「映画館に一緒に見に行く」ことでしか確認できない部分があったりして。また一つ、ウルトラマンのおかげで思い出が増えました。
ちなみにこちら、映画館の隣のゲーセンでトリガーのフィギュアをゲットした息子の図。
あ、いやまあゲットしたのは僕なんですけど。上の記事の一件以来、すっかりクレーンゲーマーになっちゃってます僕。あんまり調子に乗るとそろそろ痛い目見そうなので、ゲーセンとは適度な距離感を保っておきたいものですが…。
それにしても、何度も言いますが映画館に見に行った映画を家に帰ってからまたすぐ見られるって、本当に凄い時代です。
息子、今朝僕がウルクロZをリアルタイムで見ている横で、タブレット持って『エピソードZ』見てましたからね(笑)。「新世代が新世代たる所以」を、休日の朝からこうも見せつけられてしまうのかと。これぞまさに新しい“映画体験”。円谷プロのあくなき挑戦を、まだまだ親子で追いかけていきたいと思います。