僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

感想『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』 / デッカーが登場するまでの「タメ」に拍手

 

 『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』を息子と見てきました。

 

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 昨年の『ウルトラマントリガー エピソードZ』から始まった、「TSUBURAYA IMAGINATION(以下ツブイマ)」のオリジナル作品としてテレビシリーズの後日談を描くスタイルを『デッカー』でも踏襲。

 劇場で鑑賞した後に家のテレビでも同じ映画が見られるという体験、やっぱりなかなかに特別感があって楽しい。劇場版とツブイマ版で前後の映像が違ったりもしていて、まさに一粒で二度も三度も美味しいという感じです。小学2年生の息子にもこの円谷のスタイルは完全に定着しているようで、映画館を出てすぐに「帰ったらツブイマでも見ような!」と興奮が収まらない様子でした。

 上映される劇場数が昨年より大幅に増えていたり、僕たちが行った回もデッカーのグリーディング付きだったこともあってか親子連れで大盛況。ウルトラマン人気の高まりを肌で感じられたことも長年のファンとしては嬉しいポイントでした。ちびっ子が「でっか〜!」って思わず声を出しちゃう映画館のあの雰囲気はいいよなあ、と。

 今回は『デッカー最終章』の感想と、それにまつわる諸々についてお話していこうと思います。

 

 

 

 

トレートに熱く、力強いウルトラマン

※以下、重大なネタバレを含む箇所があります。

 映画を見終わって、まず最初に思ったこと。

 

 

 「ウルトラマンデッカー、めちゃくちゃかっこ良かったな……」

 

 

 やっぱり「かっこいいウルトラマン」を見るとそれだけで自然とテンションが上がる。長年オタクをやっているとつい忘れがちになってしまうのですが、結局ヒーローもので一番大事なのってそこだよなという原点を今回の映画から見せてもらったような気がしました。

 

 まず、作品の構成が凄く大胆で驚きました。

 デッカーが登場するのは本編もかなり後半になってから。カナタの変身シーンも一度きりでした。

 ニュージェネレーションシリーズになってからの劇場用作品では、これも子供たちを飽きさせないための工夫なのでしょう、割と前半から惜しげなくウルトラマンの活躍を見せていましたよね。最新ヒーローの最新形態をどう盛り上げるか、そのプロセスが重視されていました。

 しかし、今作品では主役のウルトラマンが登場するまでの「タメ」を久しぶりに感じた気がします。「輝け……輝け……」のあの変身シーンしかり、タメにタメたからこその爆発力がありました。

 今のデッカーにはダイナミックタイプどころか、通常のタイプチェンジも必要ない。颯爽と登場したフラッシュタイプがカナタの叫びと共にギガロガイザを倒し、去っていく。そこに物足りなさを感じさせず、むしろストレートに熱く、力強いウルトラマンの印象を残したのは武居監督の演出の賜物だと思います。

 この大胆な構成を可能にしたのが、ディナスというもう一人のウルトラマンの存在。

 せっかく別のウルトラマンを出すなら、しかも女性が変身するならもっとデッカーとは違うデザインにするとかあるだろと最初は思ったものですが、このディナスが前半から中盤にかけて、デッカーなき後の地球を守るウルトラマンとして存在感を発揮していました。デザインが似ていることにきちんと説得力があったし、ディメンションカードを屈指して戦う姿も、「ああ、こういう見せ方もあるんだ」と意表を突かれた感じで良かったです。

 

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 『デッカー』はテレビシリーズも堅実な作りで、最近よくある「続きは劇場で」的な引っ張りもありませんでした。最終章でも、そういった作品全体から醸し出される「誠実さ」を引き継いで、ストレスなく「かっこいいウルトラマン」を見せてくれた。とにかく好感度の高いシリーズでした。

 

 ……ただ、どうしても言いたいことがひとつだけありましてね。

 「最後なんかよくわからん奇跡が起きてみんなハッピー」っていうパターン、もうそろそろやめませんか?と。

 あれ、最後なんで一度死んだカナタが蘇生できたのか、よく分からなくて未だにモヤモヤしています。「ディナスもデッカーも同じダイナ由来のウルトラマンだからエネルギーを分け与えたり出来ます」ってことなんでしょうか。もしそうだとしたら、デッカーとディナスの出自はもっと明確に描かないといけませんよね。ただでさえ「なんかよくわからん奇跡」はウルトラマンで散々やってきたパターンなだけに、味のしなくなったガムをいつまでも噛んでいるみたいでどうも……。「そこは見ている方のご想像にお任せします」というスタンス、はっきり言ってもう古いと思います。そこだけ少し残念でした。

 

 

 

子の映画の楽しみ方

 

 映画鑑賞前にパンフレットを熟読する息子。そう、昨年の『エピソードZ』はパンフレットが無かったんですよ。やっぱり映画鑑賞とパンフレットはワンセットみたいなところ、ありますからね。

 

 息子も映画はかなり楽しめたようで、終わった後に感想を聞いたら「これまでのウルトラマンの映画では2番目に良かったな……」とのこと。ちなみに1番は『ジード』の劇場版だそうです。

 怪獣好きの彼、新怪獣・ギガロガイザの登場には相当興奮していた様子。確かに、宇宙船と合体してボリュームアップするところなんかは僕も「怪獣脳」が刺激された。

 帰りにソフビを買え買えってうるさいからおもちゃ屋に寄ったら、ギガロガイザはまだソフビ化されていないんですね。ディナスのソフビも発売は来月で、息子は「今買って遊びたいのにぃ」って怒ってました(笑)。おもちゃ屋に行かずとも、映画館のグッズ売り場にその映画にしか出てこない怪獣やヒーローのソフビがずらりと並んでいる光景、僕らが子供の頃は割と当たり前だっただけにまた見たいものです。

 あと余談ですが、カナタたち3人が私服で外出するシーン、横浜がロケ地になっていましたよね。ちょうど昨年の夏に家族で横浜へ旅行に行っていたので、息子は横浜の夜景を見て「この前俺らが行ったところやん……!」って嬉しそうにしていました。自分の行ったことのある場所が映画に出てくると妙にテンション上がる気持ち、めっちゃ分かる。

 

 帰宅してから早速ツブイマ版も親子で鑑賞。

 次回作のチラ見せ映像、なんだかオタクが好きそうないい感じのウルトラマンでしたが、新ヒーローが今年も息子のハートをがっちりと掴むのか、円谷プロのお手並み拝見といったところでしょうか。楽しみです。