僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

~君の勇気、それは未来~我が家のルーブな半年間を振り返る

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 半年間、家族で見てきた『ウルトラマンR/B(ルーブ)』が終わりました。

 放送期間が半年や1年単位の特撮ドラマを追いかけていると、年月の過ぎていくスピードを実感する機会が増えます。『ジード』のあの最終回に感動していたのがもう1年前という事実。こうして年を取っていくんだなとしみじみしてしまうのと同時に、来年の今頃には放送が終わるであろう、まだ見ぬウルトラマンへ思いを馳せるのです。その頃には自分も妻も一つ年を重ね、息子はもっともっと大きくなっている。そんな当たり前のことにちょっとだけ心を動かされたりする。大人になってもウルトラマンを好きでいられる理由の一つかもしれません。

 『ルーブ』は、前作の『ジード』に続き息子がハマったウルトラマンとして、これから僕の記憶にずっと残り続けるであろう大切な作品になりました。今回は、最終回を見終えた直後の僕の『ルーブ』に対する率直な感想と、家族の絆をテーマにした『ルーブ』を、まさしく家族で追いかけてきた僕たち一家の半年間を振り返ります。さあ君も一緒に―。俺色に染め上げろ!

 

※以下、ネタバレを含む箇所があります。

『ルーブ』が伝えようとしていたこと

 最終回で、僕を含め視聴者の多くが注目していたのは、湊アサヒとは一体何者なのか?という部分だったと思います。その答えは、「アサヒはクリスタル」というものでした。

 正直、答えになっていない気がしなくもなかったのですが、最後にウシオが語った「クリスタルは人を思いやる気持ちの結晶」という結論には何故か合点がいってしまいました。僕はずっと、クリスタルとは一体何なのか、SF的な根拠や考証が語られないことに不満を持っていました。主人公の母親である湊ミオの失踪を中心にした縦軸で物語を進めていくのなら、その部分の説明がないとお話にならないでしょ、と。でもこれ、見る側にそう思わすことが作り手の意思だったのかなと感じるようになってきて。

 広げた風呂敷をどれだけ上手にたたむことが出来るか。『ルーブ』では確信犯的に、特撮ファンの間でいつの間にか出来上がっていた作品への評価軸からズラした表現をしていたように思うのです。それを分かりやすくキャラクターとして形にしていたのが前半に出てきた愛染マコトでした。

 特撮マニアが新しいウルトラマンを批評するときによく使う文言。「デザインはシンプルに」「喋ると神秘性がなくなる」を、そっくりそのまま、オーブダークに変身した愛染が湊兄弟へ言い放つ様は、同じようなことを言っていた特撮ファンの一人としてちょっと気まずくもあり、爽快でもあり。「お前らいつまで同じこと言い続けるつもりなんだ?」と、作り手から楔を打たれる。これまで特撮ヒーローを見てきた中では感じたことの無かった非常に新しい感覚でした。

 理屈を求める前に、目の前で繰り広げられている物語を見て想像して欲しいというメッセージだったのかな、と。クリスタルが何なのか、どうして湊兄弟がウルトラマンへ変身することになったのか、最初から説明などするつもりは無かったんだと思います。それを理解した上で見ると、「ハッピーで明るい未来を信じていた。私が忘れていたもの」とアサヒのことを語ったミオの言葉に不思議と重みが生まれてきました。

驚きと家族愛

ryo-nf3000.hatenablog.com

 最終回直前のエントリーで僕は、「『ルーブ』には色々言いたいことはあるけど息子が夢中になっているならそれでオールオッケー」的な趣旨のことを書きました。

 最終回は息子と嫁さんと3人で見ていたのですが、息子は「アサヒってクリスタルやったんやー!凄いなあ」と何も引っかかることなくただただ驚いていました。4歳になったばかりの子どもをこれだけ驚かせることが出来たのなら、番組としてそれは成功なのだと思います。アサヒが明るい未来を信じ、遠い昔に星から来た兄弟が誰かを思いやる気持ちをクリスタルとして地球に残した。そこに理屈は必要ないということなのでしょう。

 感涙ものだったのは、カツミとイサミの息の合った戦いぶり。1話のあのすっとこどっこいな戦闘シーンから見てきた身としては、あそこで主題歌『Hands』を流されてしまうともう、ダメでした。

Hands

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 嫁さんは「『ルーブ』は家族がテーマというだけで推せる」と言っていました。確かに、『ルーブ』を家族で見た後ってなんとなく家の中が明るくなっていたような気がします。一番笑ったのは、コマ姐が出てきた回かな。あの後みんなで何回あっちむいてホイ対決しただろう(笑)。クワトロMのTシャツネタでも散々笑わせてもらいました。家族をテーマにした作品って、実際に家族で見ると変な照れくささが残って子どもが離れていったりもするんですけどね。『ルーブ』はその点、カラッとしていて見やすかったです。

 それと書いておかなければいけないのはクリスタルの玩具について。『ジード』のウルトラカプセルで散財した経験から、今年はもう買わないでおこうと妻と言っていたのですが…。

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 やっぱり無理でした(笑)。

 個人的には2つのカプセルを組み合わせて遊べるジードのほうが楽しかったのですが、息子はこのクリスタルという形がお気に入りだったようで、いつも上にかざして宝石を眺めるようにしていましたね。ちなみに息子のお気に入りはティガクリスタル。ブルウインドが一番好きだそうです。

湊家の物語をまたいつか、どこかで。

 ルーゴサイトを倒すためにクリスタルへ変身したアサヒは、再び湊家へ戻ってきました(ここでも何故戻ってきたのかとか何の説明もない。徹底してます)。

 いつかの仮面ライダーでそんな展開があったように、最終決戦後のみんなの日常をまたいつか、どこかで見てみたい。相変わらず変なTシャツを作り続けているお父さん、すっかり普通の大学生なイサミ、あめちゃんでハッピーなアサヒ、帰ってきたお母さん。店の手伝いをしているカツミがみんなを見送る。ああいう何でもない日常のシーンが響くのは、これまで『ルーブ』が描いてきた家族の物語にきちんと意味があったことの証明だと思います。ニュージェネは全てリアルタイムで見てきましたが、一番「終わって欲しくない」と感じたのは『ルーブ』だったかもしれません。

 でも、湊家の物語がもう見られないとしても、例えば僕と嫁さん、そして息子の家族3人の物語(と言えるほどのものかはさておき)は続いていきます。ローンに追われ、受験だなんだって…そんな何気ない日常が続いていくことこそが愛すべき未来である。「家族を描くウルトラマン」という『ルーブ』の挑戦はここに結実しました。

 「明るい未来、希望。例えそれが存在しないものであっても」

そして湊ミオのこの台詞。僕たちが住む現実世界の、キャラクターとしてのウルトラマンのことを指しているようにも聞こえたのは僕だけでしょうか。実際にはウルトラマンなど存在しません。でも、それを信じたり応援したりする気持ちに嘘はない。『ルーブ』という作品は、子どもたちはもちろん、それを見守るお父さんやお母さんへの贈り物でもあったのかも。半年間、家族で楽しませてもらいました。ありがとう、ウルトラマンルーブ。ありがとう、湊家のみんな。お疲れさまでした。

 

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