僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

高校時代の冬の思い出を彩ってくれた「草フットサル」の話

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今週のお題「冬のスポーツ」

 

 「冬のスポーツ」と聞いて僕の頭に真っ先に浮かんだのは高校生の頃。冬になると必ずみんなでやっていた「草フットサル」ですね。

 

 高校の3年間はハンドボール部に所属しておりまして、ハンドボールというのは本来室内で行う競技なんですけれども、僕の住む地域ではその存在があまりにもマイナー過ぎたため(ハンドボール部が無い学校の方が多かった)どこの学校もグラウンドの隅っこで細々と活動していました。

 成人男性が片手でギリギリ掴めるかどうかという大きさのボールを扱うハンドボール。握力を補うために手に松脂を塗ったりもするのですが、冬になると外でボールを握るのが大変辛くなる上に、突き指等の怪我につながるリスクも大きくなります。

 そのような理由から、僕の所属していたハンド部では冬になるとハンドボールの練習を一旦休止し、「体力づくり」の名目で普段使用しているコートをそのまま流用したフットサルに精を出していた、というわけです。

 もうあれから15年以上経った今でも、喉に突き刺さるようなあの寒気がやってくる度に、楽しくて楽しくて仕方がなかったあの頃の草フットサルを思い出してしまう…というのが今日のお話。

 

い文句は「即レギュラー」

 まず、運動音痴の僕が何故わざわざハンドボール部に所属していたのか…という話から。

 実は僕、高校に入って最初の2、3ヵ月は帰宅部だったんです。当時の担任の先生には「とりあえずどこかの部には入部しろ」と言われていました。でも、行きたい部活が無いのに無理矢理入らせれるのが嫌でずっと拒否していました。

 中学時代にバスケットボールをやっていたので、そのままバスケ部に入部する選択肢も無くは無かったのですが、先輩との上下関係や後ろ向きなレギュラー争いには中学の時点で既に嫌気がさしていました。

 上下関係は言わずもがな。レギュラー争いにしても、みんな「補欠」ってあだ名をつけられるのが嫌で必死にレギュラーを目指すわけです。今で言う「スクールカースト」に近い感覚で、学校における地位を獲得するために練習を頑張るのが億劫で仕方ありませんでした。

 僕が通っていた高校のハンドボール部は当時、対外試合を行うための部員集めに苦労していました。マイナースポーツに部員が集まらないのは今でもよく見かける光景ですよね。当然、帰宅部で一応元バスケ部だった僕は熱烈な勧誘を受けることに。謳い文句は「入部後即レギュラー!」。

ラスのストローク

 体験入部の空気感で断るに断れず、僕はそのままやったこともないハンドボール部に正式に入部しました。もちろん部員が足りていない状態だったので即レギュラーです。

 これは入部してから知ったことなのですが、僕も含めてハンド部の同級生にはハンドボール経験者が一人もいませんでした。元野球部、元バレー部、元水泳部…みんな僕と同じような理由で元々やっていたスポーツを一度やめ、結果的にハンドボールに流れ着いた人間ばかりだったのです。

 正直、中学の頃のバスケ部に比べるととても居心地が良かったことを思い出します。毎日の放課後の練習が楽しみでした。

 部員がみんなレギュラーだったので、対外試合となると必ず試合に出場しなければなりません。その上、ハンドボールというマイナースポーツの性質上、それなりに結果を出さないと学校では全く目立つことが出来ない。そんな環境で、自然とそれぞれが高いモチベーションと責任感に突き動かされていた気がします。「俺たちでこのハンド部をなんとか良い部活にしていこうぜ」そういうプラスのストロークを全員が持っていたんですね。

 メニューを自分たちで考えながら、「ああでもないこうでもない」と試行錯誤を繰り返す練習。非効率でもみんなが真剣でした。真剣さ故のぶつかり合いも、今となっていはいい思い出です。

「俺、今日ジダンになるから」

 冬。バスケ部時代の記憶から、てっきり地味な筋トレばかりやらされるのかと思っていたら、突然1学年上の部長が「今日からハンドボール部は、フットサル部になります!」と(笑)。

 ハンドボールの練習はギスギスした雰囲気こそ無かったものの、やはり部員が少ないので心休まる時間というものがあまり無く、精神的なしんどさを感じることも多かったんですね。

 その日から始まった「草フットサル」は、いつもの本気でぶつかり合う練習とは違い終始リラックスムード。まさに「ダラダラしない息抜き」という感じで、人と人の上下を決めるわけでもない、何の邪念も存在しない、ただただ楽しむためだけのスポーツがそこにはありました。フットサルを上手な人も、下手な人も、みんながそのコート上で自分の存在意義を感じられる。

 当時はW杯の時期でもあったので、「俺、今日ジダンになるから」とか言って日が暮れるまでPKの名シーン再現したりね。ああいうことしてる時が一番楽しいんですよ、人生って(笑)。

 ピリッとした緊張感に満ちていたハンドボールの練習とのギャップと、そのメリハリの付け具合に僕は「大人」を感じていました。あのチームに自分がいたことがとても誇らしかったですもんね。

 当時のハンド部のメンバーとは、今でも交流がありまして。集まってひとしきりハンドボールの思い出を話した後に、「じゃあ、フットサル部の話でもしますか…」と必ず誰かが火をつける。あの「ハンドボール部なのにフットサルに全力!」って話をみんなで思い出すだけでもゲラゲラ笑い合えるんだから不思議なものです。

 僕、基本的に寒いのは苦手なんですけどね。自分の息が白くなっているのを見ると、あの楽しかった冬を思い出して少しほっこりするんです。そしてまた、みんなに会いたくなる。

 毎年必ずやってくる冬の季節に人生の彩りを与えてくれた「草フットサル」。運動音痴の僕がたまにこうしてスポーツへの感謝を綴ってみるのも、そう悪いことではなかったようです。