僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

守るべきは「自分の『好き』をさらけ出せる環境」である。

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 家族で晩ご飯を食べた後。

 リビングで遊ぶ息子の姿を眺めながら嫁さんと2人で紅茶なんかを飲んでいると、いつの間にか子育てに関するミーティングがスタートしています。

 

 息子の習い事をどうしていくか、これから始まる保育園生活最後の1年を家族でどう過ごすか、夫婦それぞれの子供時代の思い出話等々…。かしこまって「~について話そう」というわけではないけど、2人共が自然に“語り合えるモード”に入れるあの時間はこれからも大切にしていきたいと思います。

 で、我々は夫婦揃ってそこそこ立派な「オタク」でして。僕は特撮、嫁さんはアイドル。最近の晩ご飯後のミーティングでよく議題に上がるのはズバリ「息子とオタクについて」です。

 僕も嫁さんも、子供の頃から純粋に好きなものをちゃんと好きでいられる環境にあったわけでは、実はなかったりして。幼少期に好きなものに関して両親から受けたトラウマがあったり、思春期ならではの反発心から自分に正直でいられない時期がありました。

 そしてお互いの過去を語り合う中で毎回辿り着く結論は、「息子には、好きなものを好きでいられる環境を僕らが作ってあげよう」ということ。わかり易く言い換えると「ポジティブなオタクに育てよう」と(笑)。

 

 

 

 

「好きなもの」への自信

 僕、今でも両親に自分の好きなものを積極的に語る気にはなれないんです。

 仲は悪くないですよ。でも、自分の「好き」を語る対象では絶対になくて。それは、ちょうど僕が中学生くらいの頃に好きで聴いていた「Mr.Children」や「スピッツ」といった人気アーティストを両親にボロカス言われた苦い経験が、今もずっと脳裏に焼き付いているからです。

 僕の両親は大の洋楽好きで、父も母も邦楽を好んで聴くということを全くと言っていいほどしない人でした。それだけなら別に何の問題も無いのですが、特に父親は、洋楽好きの反動からか邦楽を必要以上にけちょんけちょんにけなして僕や妹に対してマウントを取りに来る悪い癖があったんですね。

 もう本当に、父親のその言動は思春期の僕にとってナイフのようなものでした。容赦なく刺さる刺さる。特に音楽なんて、自分がいいと思ったものは一度は他人に聴かせてみたりしたいものじゃないですか普通。それが家族でドライブ中、ミスチルをかけたら「洋楽かぶれの偽物」と言われ、スピッツをかけたら「全部同じに聴こえる」と言われる。サザンなんて怖くてかけられなかったです。音楽に関してはただひたすらに「お前はセンスが無い」と嘲笑され、それを黙って聞いているしかない環境でした。

 僕は結構な大人になるまでそのことがある種のトラウマになっていて、音楽以外でも自分の好きなものに対してなかなか自信を持てない時期が長く続きました。何を見るにしても、聴くにしても、なるべく人目に触れないようにすることばかりを考えるようになって。

「好き」の好循環

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 嫁さんは、昨年ブレイクしたドラマ『トクサツガガガ』に共感しっ放しでした。主人公の仲村叶と同じように、幼少期に戦隊ものやポケモンのおもちゃを捨てられたり買ってもらえなかったりした苦い記憶が今のオタク化に繋がっているとか。

 昨年の『ルパパト』ブームから今に繋がるモーニング娘。へのハマりっぷりは、嫁さんのオタク人生の中でもなかなかに大きなムーブメントだったようです。僕もモロに影響受けて一緒にモー娘。の握手会やコンサートに行ってますしね。逆に嫁さんも、息子と一緒に見たウルトラマンの話を僕にしてくれたりします。そこからまた、息子の僕には見せない意外な一面が垣間見えたりするから面白い。

 似たトラウマを持つ者同士で結婚し一緒に暮らしていて心底幸せに感じるのは、この「自分の『好き』をさらけ出せる環境」です。

 特撮のDVDをリビングで堂々と見たり、自室のスピーカーでフジファブリックを聴きながら歌ったり、昔の僕には考えられないことでした。そして自分の「好き」が認められていくことで、どんどん周りの人の「好き」にも興味が湧いてきて、また楽しみが上乗せされていく。この好循環は、確実に僕たち家族の生活を豊かにしてくれています。僕が仕事から家に帰ってきたら、モー娘。のライブDVDがじゃんじゃん流れるテレビの前で息子がウルトラマンごっこを繰り広げている…楽しそうでしょ(笑)。

識して作る「空気」

 昔、自分が嫌な思いをしたからこそ今度は僕が息子の「好き」を頭ごなしに否定してはいけないと、強く思います。

 ウルトラマンやポケモンに関しては僕も大好きなので否定どころかむしろ一緒に楽しんでいますが、半年くらい前に息子が人気YouTuberのヒカキンにハマりだしたときは正直ちょっと「え?」ってなったんですよ。何が面白いのか分からなくて、息子の趣味趣向が既に自分の理解の及ばないところに来ていることを実感させられました。でもよく考えてみると、これは息子にとって立派な成長だし、そもそも僕が彼の趣味を押さえつける権利など無いよな、と。

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 ヒカキン、試しに見てみたら意外と面白かったという発見もありました(笑)。

 例えば、思春期を迎えた息子が父親の僕に好きなものを一切言ってくれなくなったらそれは凄く寂しい話で。だから我が家では、それぞれが自分の「好き」をさらけ出せる空気を意識して作っておこうと思うのです。悩み事や、家族に言いにくいことを無理にさらけ出す必要は無いけど、せめて好きなものくらいは互いに尊重し合えるのがいいよね、と。

 こういうことを真剣に語り合える(オタクの)嫁さんで良かったなあと、ブログを書きながら改めて思いました。明日の夜も、結局同じことを話題にしてそうですが、それはそれでまた楽しみなのです。