僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

『仮面ライダークウガ』五代雄介は僕の中にずっといる。

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 「本当は、綺麗事が良いんだもん」

 これを見て「あ、五代のセリフ!」とつぶやいたそこのあなた。相当熱心な仮面ライダーのファンですね。…って、有名過ぎますかこのセリフは。大変失礼いたしました。

 Amazonプライムビデオで無料配信中の『仮面ライダークウガ』。時間があるときにちょくちょく見ては、『クウガ』を初めて見たときの中学生だった頃の自分を思い出しています。ちなみに僕が平成ライダーをリアルタイムで追いかけ始めたのは『龍騎』からで、『クウガ』はレンタルビデオで後追いでした。前年の『燃えろ!ロボコン』は毎朝楽しみに見てたのに、実に惜しいことをしました。

 大人になってから…って、まず大人とは何ぞやという話なんですけど。僕が本当の意味で大人になれているかは別として、世間一般でいう大人、ここでは「社会人になってから」という意味でお話したいと思います。今回は、僕にしては珍しく仮面ライダーについてちょっと熱く。

 

 

 

 

は五代雄介になりたかった

 中学生、高校生くらいの多感な頃って、ドラマや映画の登場人物に恥ずかしいくらい影響受けちゃったりしませんか?大人になるかならないかの微妙な時期。物語と、その物語が示す意味を何となく理解出来るようになったけど、まだ自分のアイデンティティが確立されていないが故にフィクションの中の人物に自分を重ね合わせ過ぎてしまう。

 僕にとって、『仮面ライダークウガ』の主人公・五代雄介がまさにそれでした。

 未確認生命体という未知なる敵に対して文字通り生死をかけた戦いを繰り広げているのに、いざ変身が解かれるとびっくりするくらい飄々とした表情で日常を過ごす。誰とも分け隔てなく明るく接する態度、他者に対する温かい目線。物事の本質を瞬時に捉える頭の回転の速さ。ヒーローとしてと言うより、中学生だった自分にとって「こんな風になりたい」と本気で思える理想の大人の姿だった気がします。

 でね、今考えるとすっごく恥ずかしい話なんですけど、例えば部活動で後輩君を指導するときなんかにそっくりそのまま真似するわけですよ、五代のセリフを。「納得いかないときは、とことん悩んでいいんだよ」みたいな(笑)。

さの意味を知る

 まあ、セリフの真似だけだったらやろうと思えば誰にだって出来ます。

 例えば、五代雄介が困難に直面したときに見せる芯の強さとか、周囲への気づかい、優しさ。敵に真正面から立ち向かえる強さ。そういうところをちゃんと真似しようと思って過ごしている時期が確かにありました。でも、これが想像していたより何倍も難しかった。あんなに誰にでも優しく、しかも笑顔でい続けるって並大抵の根性がないと出来ません。セリフも真似すれば真似するほど、周囲の自分へのハードルが上がっていくようで怖くなったので止めました。

 僕はそこで初めて、ああ五代雄介も生まれつきあんな感じだったわけじゃないんだ、人生の中で色んな苦しいこと悲しいことに直面しそれを乗り越えてきたからこそのあのキャラクターなんだと気が付いたのです。中学生の男子が何となく憧れた強さの本当の意味が、そこでやっと分かったというか。

うしようもない現実に直面したとき

 そんな僕も大人になり、社会人になり、遂に五代雄介の年齢も追い越してしまいました。

 今でもふと、あの頃に真似していた五代雄介のセリフを思い出すことがあって。特に社会に出ると、何をするにしても自分の思い通りにいかないことのほうが圧倒的に多いし、どうしようもない理不尽や矛盾にぶち当たる回数がぐんと増えます。そんなとき、一番最初に書いた「本当は、綺麗事が良いんだもん」だったり、サムズアップで「大丈夫!」と笑顔を見せる五代のシーンがパパパッと頭の中を駆け巡る。

 だからと言って、目の前の困難がそれによってすぐに解決するわけではないのですが、今この瞬間の苦しんでいる自分にもちゃんと価値があることを気付かせてくれるし、乗り越えた先のちょっとだけ強くなった自分を想像すると凄く勇気をもらえるんですよね。

 中学生の頃の僕にとって五代雄介って、とにかく強いし優しいしかっこいいから真似してみたい、そういう認識でした。それがいざ大人になってみると、例えば自分が家族を守るために困難を乗り越えなきゃいけない。そういう現実に直面したときの心構えとして常に心に留めておくべき存在へと昇華していました。僕、『クウガ』って見返した回数で言えば1回とか2回とか、そんなのです。でも、五代雄介は僕の中にずっといる。

 僕は特撮ヒーローでは思い入れも込みでウルトラマンが一番好きだけど、これから特撮を見ようという人に最初におすすめする作品となると、それは『仮面ライダークウガ』かもしれません。まだ未見の方でAmazonプライム会員の方は是非この機会に!