僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

感想『シン・仮面ライダー』 / 一文字隼人の「変身ポーズ」は世代を超えるか

 

 映画『シン・仮面ライダー』、息子と見てきました。

 

※以下、重大なネタバレを含む箇所があります。

 

 こちらはその帰り道でのひとコマ。

 

 息子、スマホのカメラを向けると思わず変身ポーズをとってしまう肉体にいつの間にか改造されてしまったようで……。ばっちり決まったポーズもさることながら、フードを仮面に見立てるところなんかもなりきり方が既に「解って」いる。

 普段は特撮と言えば専らウルトラマンの彼も、「シン」と付くだけでこうして仮面ライダーに染まってしまうのだから分からないものです。

 ちなみに息子が一番アガったのはダブルライダーの対決シーンで、「空中でバシバシ蹴り合うのがめっちゃかっこ良かった」とのこと。あと、やっぱり本郷猛の最初の変身シーン。空力を受けてサイクロン号が変形していくのと同時に仮面ライダーの姿になっていくところはまんまと「俺は今、最高にかっこいいものを見ている……」という顔をしていました。もうね、一緒に映画館に行くと息子の表情ばっかり気になっちゃう。

 

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 特撮映画には珍しくPG12指定で、血の描写など割と攻めた表現もありましたが、『チェンソーマン』が愛読書の息子にはどこ吹く風。とは言え、映画を見る前に血の話をしたら「え、どんな感じなん……?」ってちょっとビビッてたのが可笑しかったんですけど。映画館を出る頃には「余裕やったわ」と(笑)。

 何はともあれ『シン・仮面ライダー』、息子は存分に楽しんだようです。

 

 

 

 

「仮面ライダー」を知っているか

 

 で、ここからは僕の『シン・仮面ライダー』への感想を少々。

 

 正直なところ、いまひとつのめり込めなかったです。

 

 同じ「シン」シリーズでも、『シン・ゴジラ』や『シン・ウルトラマン』を見たときほどの興奮は『シン・仮面ライダー』にはありませんでした。ただ、これは映画の出来云々の話ではなく、僕が歩んできてた「特撮オタクとしての人生」に起因するものだと思っていて。

 同じ「特撮」というジャンルの中でも、ゴジラやウルトラマンは繰り返し見てそれなりに愛着も持っている中、仮面ライダーにはそういった思い入れがほとんど無く。とりわけ初代の『仮面ライダー』や、石ノ森章太郎の原作に関する予備知識をほとんど持たない状態で鑑賞に臨んだのが今思えば間違いだったなと感じています。

 僕も見ながらなんとなくは分かるんですよ。「あ、ここは往年のライダーファンのツボを押さえに来ているところだな」って。例えば本郷猛の意志を次いだ一文字隼人のマスクが新1号のそれだったりするのは、やっぱりライダーファンからしたらたまらないわけでしょう?これめちゃくちゃ熱い演出だなって薄っすら分かっているのに、それに完全に乗っかれないのが凄く悔しくて。

 「仮面ライダーの何たるか」をよく分かっていない僕にとっては、緑川イチローの言ってることも「まーた『人類補完計画』かよ」とイチャモンをつけたくなってしまうし、そもそも本郷猛がショッカーと戦う動機にあまり説得力を感じなかったりで、2時間のうち「ん?」と戸惑っている時間帯がかなり長かった気がします。実に惜しいことをしました。

 誰だったか、舞台挨拶のときに「ライダーを知らない方も楽しめます」みたいなことを仰っていましたが、この映画に限ってはそれは間違いだと思います。知らなきゃ楽しめないし、知ってたら何倍も楽しめる箇所がいっぱいある。そういう映画でした。

 

 

 

身ポーズと一文字隼人

 ただ、「仮面ライダーのかっこ良さ」は確かに伝わってきて、そこは明確に良かった点です。

 息子も目を丸くしていた本郷がバイクで走りながら変身するシーンは、それこそゴジラやウルトラマンには無かったメカニカルな魅力が炸裂していました。僕はバイクを持っていないので、自転車で爆走してあれをこっそり再現したい(した気になってみたい)。1号のピンチに2号が駆けつけるカタルシス、本郷と一文字のキャラクターの違い、それらを生かした作劇もなかなかどうして手に汗を握りました。

 

 また、竹野内豊演じる「政府の男」は必ずどこかで出てくるだろうと思っていましたが、まさか神永に浅見まで……と、この辺りは映画館で息子とこっそり「きたな!」とアイコンタクトできたところ。特にサソリオーグは浅見弘子とはあまりにもギャップのあるキャラクターで面食らいました、はい。

 

 しかしまあ、息子が本郷猛じゃなくて一文字隼人の変身ポーズを真似しているのが何だかジワジワとくるものがありますね……。

 というのも、『仮面ライダー』本放送の世代であるうちの親父にとっても、やっぱり主役が一文字に代わってからの印象が強いみたいなんですね。例の「お見せしよう」っていうやつ(初登場時にポーズの段取りを間違えたというあれ)、60過ぎた大人が未だに楽しそうに再現してみせるんですから。それだけ「変身ポーズ」というもののインパクトが強烈だったということなのでしょう。

 息子の『シン・仮面ライダー』熱が残っているうちに、一文字の真似をする彼の姿を親父に見せたいと思っているのですが、どういう反応が返ってくるのか今から楽しみです。そのときは、僕だけ仲間外れになる確率が高そうですね……(笑)。