僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

感想『グリッドマン ユニバース』 / 僕らのユニバース、その答え

 

 映画『グリッドマン ユニバース』を見てきました。

 

 まず、前提として――。

 

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 僕は『SSSS.GRIDMAN』(以下『GRIDMAN』)シリーズの原作である、1993年に放送された『電光超人グリッドマン』(以下『グリッドマン』)のリアルタイム直撃世代です。個人的な思い入れで言えば、もしかしたらウルトラシリーズよりも『グリッドマン』のほうが強いかもしれない。そんなレベルで『グリッドマン』が好きです。

 

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 そしてその『グリッドマン』にスポットライトを当てアニメ作品として再構築したTRIGGERによる『SSSS.』シリーズ。それらの集大成として製作された今回の『グリッドマン ユニバース』。

 2023年に『グリッドマン ユニバース』なんてタイトルの映画が世に出ているなんて、このアニメに出会う前の僕に言ったって絶対に信じない、と思う。特撮ファンの間でも知る人ぞ知るマイナーな作品だった『グリッドマン』の存在を一気にメジャーへ押し上げたその功績は、我々リアタイ世代にとっては筆舌に尽くしがたいものがあります。

 だから、『グリッドマン ユニバース』は僕にとって、その存在そのものが100点で。映画館の座席に着いた時点で、はい100点。見る前からもう100点。


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 この予告編で一気にハートを鷲掴みにされました。

 絶対、面白いものが見られると。だからある意味、鑑賞前のドキドキ、ソワソワはいつもの映画に比べると弱かったかもしれません。だって絶対面白いんだから。

 

 

 

 

※以下、重大なネタバレを含む箇所があります。

 

 で、実際に見てどうだったかというお話。

 

 

 最・高!!!120点満点!!!

 

 

 ……いや、もうこんなのもはや感想でもなんでもないんですけども。

 でも「どうだった?」って訊かれて、一言目は本当にこんな感じ。上映が終わって、段々と明るくなっていく映画館で思いっきり拍手しちゃいましたもんね。良すぎる。良かった、グリッドマンのファンで良かった。俺は30年前からグリッドマン、全部リアタイしてるんだぜ、なんて幸せな男なんだ。子供の頃からグリッドマンを追いかけてきた一ファンとして見たかったもの、全部見せてくれた。多幸感で頭がどうにかなりそうな映画でした。

 

 冒頭、六花と内海が学祭で自身の「グリッドマン体験」をベースに演劇の台本を作ろうとするが……というのが今回の物語のベース。ここでさらりと『GRIDMAN』の簡単なあらすじを裕太に朗読させていて、初っ端から見せ方が上手いなと思いました。

 一方で『SSSS.DYNAZENON』(以下『DYNAZENON』)の解説は実にあっさりと。この辺りの取捨選択に笑いのポイントを入れてくるセンスも良かったです。「偶然蘇ったミイラとロボットで戦ってたら蓬に彼女ができたって話」って、確かにそうなんだけれども(笑)。

 『GRIDMAN』の世界に続々と入り込んでくる『DYNAZENON』のメンバーたち。このクロスオーバー、想像以上にテンションの上がっている自分がいてびっくりしました。裕太と蓬、六花と夢芽。こんなに「夢の共演」感があるものなのかと。だってほら、共演するのは事前に分かってるわけじゃないですか。なのに何故かこう、そこにきちんと驚きと化学反応があって見ていくうちにどんどん気持ちが上がっていくんですね。

 『GRIDMAN』と『DYNAZENON』。2つの異なる世界観をどのように繋げてくるのか楽しみでしたが、まずは「帰ってきた新世紀中学生」を狂言回しにして「ビッグバン」ならぬ「ビッグクランチ」とは何かを一旦説明させつつ、実はグリッドマンから生まれた平行世界が重なり始めているという種明かしも巧みでした。この辺りはもうあと何回か見て頭の中を整理させたいところです。

 

 

 

 『グリッドマン ユニバース』ならではの魅力というところでは、「響裕太がめちゃくちゃヒーローしてた」のが本当に良くて。

 裕太にテレビシリーズの出来事の記憶が無いのって、言ったらグリッドマンのせいなわけじゃないですか。グリッドマン自身もそこに申し訳なさを感じていて。高校生の2ヶ月間の記憶って結構大事ですよ。でも裕太はそれを全部許してる。それどころか「グリッドマンにとって俺の代わりだったあの2ヶ月間は楽しかったんでしょ」と言えてしまうこの精神。物語の構造上、テレビではほとんどスポットが当たらなかった「響裕太」という人物の内面。そこがしっかりと描かれていたのは、この映画のとても意義深いポイントだったのではと思います。

 

 現実を遥かに凌駕する虚構の世界での壮絶なバトルと、それを終えた若者たちが取り戻した日常との対比も効いていました。一見、水と油のようにも思える要素が不思議とがっちり噛み合うのもこの『SSSS.』シリーズの真骨頂。「人間は虚構を信じられる唯一の生命体である」というメッセージには、この映画に対するスタッフの強烈な愛と絶大な自信を感じました。

 あと、裕太の告白シーンがねえ、良かったんですよ。何が良いって2人の「間」が良いんですね。この映画、六花がずーっと可愛いんです。だから最後の「うん、遅い」の一言が活きる。

 

 以下、良かったポイント箇条書き。

  • 特に前半のバトルシーンが好きでした。『SSSS.』シリーズで確立した「アニメ特撮」とも呼ぶべき映像の魅力が炸裂。画的な自由度の高いアニメでわざわざ円谷式特撮を再現する試みはテレビシリーズ以上に映画館でこそ映える。
  • よもゆめの2人、やはりエモ過ぎる。裕太と六花に「あれまだ付き合ってないらしいよw」って上から目線なのも笑った。そんで蓬、カニきっかけでちゃっかりプロポーズしちゃって、もう(笑)。
  • ガウマ、この映画があって本当に良かったね……。
  • 約束と愛と賞味期限。
  • 夢芽の「よもぎぃ〜」で白飯3杯イケる。その後のいちゃこらも含めてドラマ的にはあそこが一番グッときたかも。グリッドマンのピンチに駆けつけるダイナゼノン。見たかった画をしっかり見せてくれる安心感、信頼感。
  • 2代目ちゃんのぐんぐんカット笑った。
  • 最初の「TRIGGER」のロゴに一瞬映った目、まさか新条アカネの目だったとは。そして実写パートを使ってあの世界の「神様」である新条アカネを再登場させるとは……!
  • 『電光超人グリッドマン』関連の小ネタ多数(パンフの雨宮監督のコメントによると39個あるらしい)。学祭のときの聞き覚えのあるBGMでちょっと泣きそうになった。まさかこの歳になって「金田有希雄」の選挙カーを、しかも映画館で見ることになるとは思わなんだ。小尾さんも出てました。
  • 「ギリちょんセーフだね」
  • ラストバトルはメンバー総動員のお祭り騒ぎ。集大成に相応しい大団円。オーイシマサヨシの主題歌3連発。アガる。「誰もがみな、ヒーローになれる」原作の主題歌を思わせる展開も熱い。あまりの怒涛のバトルに僕の横で息子がぴょんぴょん跳ねてました。
  • 内海、グリッドマンになれて良かったね……。
  • 裕太、この映画があって本当に良かったね……。

 

 『グリッドマン ユニバース』。自分がどうしてこんなにグリッドマンのことを好きでいられるのか。全編を通して、その答え合わせを一つひとつ丁寧にしてくれているような映画でした。

 僕らの応援次第ではまた次なる展開があり得るかも……ということなので、新たなユニバースに思いを馳せつつ、微力ながら応援し続けたいと思います。いやぁ、本当に駄目なところ一つも無かったなあ。素晴らしい映画体験をさせてもらって、勝手に僕の人生が完結しちゃうとこでした。危ない危ない。