僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

感想『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』 / 「怪獣新時代」の到来を告げるゴジラの咆哮

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 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』、見てきました。

 僕が見たのは公開初日のレイトショーだったのですが、その日の午前中からTwitterのタイムラインでは「ゴジラ見てきたぞー!」とテンション爆上がりの方々が多数。3年前の『シン・ゴジラ』が特撮ファンのみならず、SNSや口コミで一般層にその魅力がじわじわと広がっていったのに対して、今回の『KOM』はディープなゴジラファン・特撮ファンを、登場怪獣の話題性と圧倒的な映像の力で一気に巻き込んだ印象があります。

 僕の見た回も、レイトショーとは思えないほどの客入り。体感としては7~8割くらいでしょうか。中高生の男子が結構多かったように思います。もしかして、5年前のギャレゴジから『シン・ゴジラ』を経て新しいゴジラ世代が少しずつ育っているとか…?だとしたら、VSシリーズの直撃世代としてこれほど嬉しいことはないぞ。

 今回は、ゴジラを見て育った一特撮ファンとして『KOM』について感じたことをつらつらと。僕らが夢見た怪獣の時代は、すぐそこまで来ている!

 

ってくれたぜ、ドハティ!!

 ※以下、ネタバレを含む箇所があります。

 『KOM』は、予告編から誰もが期待したハリウッド版・怪獣プロレスを思う存分堪能できる傑作に仕上がっていました。132分間、ほぼ怪獣が出ずっぱり。スクリーンからほとばしるマイケル・ドハティ監督の怪獣への愛、リスペクト、畏怖の念が凄まじい。いくらハリウッドだからって少しくらい惜しんだらどうなんだ、と。見終わった後、

「やってくれたぜ、ドハティ!!Thank you!! Yeaaaah!!」

って椅子から飛び上がって叫びたかった(笑)。

 日本のゴジラシリーズへのオマージュの数々はもちろん楽しかったのですが、それ以上に、日本のある意味で独特過ぎる怪獣文化をアメリカ人がこれだけ真っ当に理解して自国の作品に落とし込んでくれたことが嬉しくて。

獣王決定戦 ゴジラ対キングギドラ

 思わずこんな新作映画風の痛い見出しをつけてしまいました…。

 真の怪獣王を決める戦い、ゴジラとキングギドラの決戦を軸に、その脇を固めるモスラとラドン。それぞれの怪獣に割り当てられた役割とパワーバランスが絶妙で素晴らしかった。その美しい姿とは裏腹に戦況を一変させる力を秘めた怪獣女王モスラ、キングの名に相応しい迫力と得体の知れない宇宙生物感が同居したギドラ、そして誰もが認める怪獣王・ゴジラ。ラドンのスネ夫っぷりも含めて、どの怪獣も本当にキャラクターが立っているんですよ。

 特にキングギドラは、デザインのアレンジもよくあるヤマタノオロチ的なドラゴンの亜流になり過ぎず、オリジナルの正統なアップデートで好感が持てました。何より鳴き声がちゃんとキングギドラしてた。

 そもそも主役のゴジラが、日本では作品によって悪役になったり正義の味方だったりその立ち位置が意外と定まっていないキャラクターで。ライバルのキングギドラを立てようとするとゴジラはマイルドになってしまうし、その逆もまた然りというジレンマを抱えていました。

 その点においても『KOM』の見せ方はお見事と言う他なく。ギドラはちゃんと悪役でキモい(褒めてます)し、ゴジラは怪獣王としての威厳を失っていない。キャラクターとしてのポジショニングの上手さと、ゴジラが地球の怪獣たちを従えるように咆哮を見せつけたラストシーンに代表されるビジュアル面の圧倒的なパワー。

 こんなにガチなゴジラとキングギドラのバトルって、日本でも意外とやっていなかったと思います。そういう意味でも、最高のリングで最高のプロレスを見ることが出来た満足感はゴジラ映画史上ナンバーワンだったかもしれません。

信を持って薦めたい

 ストーリー自体は、地球規模の問題に対して人類がどう立ち向かうべきか、怪獣をどう定義していくかという割とスタンダードな内容。その辺りの答えの出ないせめぎ合いは、個人的には『ウルトラマンガイア』の藤宮博也を思い出したり。重厚な人間ドラマというところまでは行ってなかったと思いますが、渡辺謙演じる芹沢博士の最期など見応えは十分でした。

 クライマックスの舞台がボストンのフェンウェイ・パークだったのも、怪獣好きのツボを分かっているなあ、と。やっぱり怪獣はみんなが知っている場所に現れてこそ。フェンウェイ・パークはこれからレッドソックスのファンだけではなく、ゴジラファンにとっても聖地として認識されていくのでしょう。日本のゴジラももっと野球場を襲えばいいのに!

 映像の面では、先述したゴジラのラストシーンや、羽を大きく広げたキングギドラやモスラの神々しい姿、火山から出現した迫力満点のラドンなど、その一つひとつをポスターにして飾りたくなるようなキャッチーなカットが多数。もういちいちカッコ良くて見終えた後の満腹感が凄まじかった。やや怪獣のアップが多過ぎて巨大感を損なっているという気もしましたが、怪獣プロレスを見せきるという映画全体のコンセプトを踏まえるとベストな選択だったと思います。

 『KOM』は『シン・ゴジラ』とはまた別の意味で、自分の周りの人たちに自信を持って薦められる極上のゴジラ映画でした。

 そして更に嬉しいのは、1年後には『GODZILLA VS. KONG』の夢の対決が待っていること。毎年みんなで怪獣映画を見る。かつて日本に確実に存在していた文化としての怪獣が、アメリカから逆輸入された「KAIJU」によって復活を果たすかもしれない。そんな高揚感に包まれたせいか映画館を出るときの僕は恐らく、周りの人たちが見たら気味悪がるくらいには浮き足立っていたことをここに記しておきます。

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