僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

シーボーズははぐれもの〜私の好きなウルトラ怪獣〜

 

 

 「Ryoさんはなんで悪者が好きなんですか?」

 

 

 この間、職場の同僚の方から突然こんな質問をいただきましてね。「悪者」とは、一体なんの話かと思ったらウルトラ怪獣のことでした。

 今の職場ではデスクにガチャガチャの怪獣まちぼうけシリーズを何体か飾ったり、パソコンの壁紙をゴジラにしたりして、自分が「怪獣好き」であることをかなりオープンにしています。僕は全然、怪獣が悪者だなんて1ミリも思ったことがなかったので、質問に対しては一瞬「ん?」となってしまいその場は微妙な空気が流れました。

 僕にとっては、バルタン星人もレッドキングも、ギャンゴもウーもツインテールも、悪者という言葉で一括りにするにはあまりにも惜しい可愛くてたまらない子たちです。でもなんですかね、こうやって世間一般ではそれぞれの事情に関係なく一言「悪者」呼ばわりされてしまうところに、ウルトラ怪獣がウルトラ怪獣たる所以があるのかもしれません。

 

kazurex1215.hatenablog.jp

 同じ関西の特撮の民として日頃から大変仲良くさせていただいているかずひろさんのブログに先日このような記事がアップされておりまして。

 これ、語りだしたら止まらないやつ。7体なんてそんな遠慮せずに、と思いましたが僕もいざ自分が書くとなると「いくら時間があっても足りねぇ……!」となったので、今回は子供の頃からずっと一番大好きな怪獣、シーボーズについて少々お話をしようかと。

 

 

 

 

 

 ずっと前から好きなんです、シーボーズ。

 

 亡霊怪獣なのに愛らしさを感じさせるデザインもいいですし、この指人形みたいに後ろで腕を組んで片脚あげて「ちぇっ」っていじけてるところとかも最高。

 僕がシーボーズの何が一番好きかというと、さっき「ウルトラ怪獣たる所以」というフレーズを出しましたけど、その定義を子供の頃の僕に植え付けてくれた怪獣なんですよね。一言で言うならウルトラ怪獣は「はぐれもの」だから良いんだという部分。

 

 シーボーズって本当に何も悪いことしてないのにめちゃくちゃ可哀想な子なんですよ。ただただ怪獣墓場という自分の居場所に帰りたいだけの迷い子で。なのにうっかり地球に来てしまったばっかりに人間たちからは邪魔者扱いされてしまう。宇宙に帰りたいからって高層ビルに自力でよじ登ってジャンプするんですよ?もちろん地上は大混乱ですが、テレビ越しに「なんて健気なやつなんだ……!」って涙が出ました僕は。

 で、科特隊もなんとなくシーボーズの事情を汲み取って宇宙に帰してやろうと策を練るも上手くいかず。

 

 「怪獣たちが心から落ち着いていられる場所は墓場だけに違いないわ」

 

と、過去にウルトラマンに倒された怪獣たちを回想しながらフジ・アキコ隊員が言うわけですけど、シーボーズを見た後だとあれだけ好き放題暴れ回っていたゴモラやゴルドンまでなんだか可哀想に思えてくる。科特隊の面々や視聴者にとって、シーボーズの存在が怪獣という異形のものに感情移入するきっかけを作ってくれているんですね。

 墓場にしか居場所がないなんて、辛いというか悲しいというか……。うちで良ければ引き取るよって言ってあげたいんですけどねえ。そういうわけにもいかないところがまた怪獣の難しいところです。

 

 僕もこれまでの人生を振り返ってみると「居場所のなさ」を感じた瞬間は結構沢山あったなあと思います。

 転校してすぐの教室とか、苦手な体育の授業とかね。「早く家帰りたいな〜」みたいな。いじめまがいのことだって経験がありますし、大人になってからも職場でこう色々理不尽なことがあったりするじゃないですか。「俺なんにも悪くないのに」とか。だからシーボーズのあの悲鳴にも似た鳴き声を聴いているとなんだか他人とは思えなくなってくるときがあって。

 ウルトラ怪獣の一番の魅力はそこだと思うんです。この地球上に彼らの居場所はない。ないからこそ、同じ「はぐれもの」としては強烈なシンパシーを感じざるを得なくて。シーボーズが夕焼けの荒野でビートルの攻撃を受けるシーンなんか見ていて本当にたまらなくなってきます。悪者だなんてとんでもない話ですよ。シーボーズは僕の人生に横たわり続けてくれている同志みたいな存在なんですから。

 

 ……と、僕はウルトラ怪獣に関してこのように割と面倒くさいこだわりを持っているので、例えば怪獣がどこかの島に収容されて人間に管理されているとか、ピカチュウみたいにホイホイ人間の言うことを聞いちゃうゴモラとかははっきり言って認めていません。

 まあ、あの辺はポケモンの影響が大きいんだろうなあと思うんですけど。

 生粋の怪獣優生思想としては「貴様らにウルトラ怪獣の矜持はないのか!」と過激なツッコミを入れたくなる。そんなだからいつまで経っても「はぐれもの」なんでしょうけどね、いいんです。僕には大好きなシーボーズがいてくれるので。