「パパ頼む!もう1回(3回)だけ引かせて!」
「1回」と言うとるのに「(3回)」とはこれ如何に。自分でも書いてて訳が分からん。
先日、僕がふらっと立ち寄った近所のコンビニでたまたま見つけたウルトラマンティガ・ダイナ・ガイアの一番くじ。「どうせ当たるわけないし」という無欲が見事にA賞を引き当てた話は前回の記事にもある通りです。
結局あの後どうなったかと言いますと、学校から帰ってきた息子には正直に「すまん、パパ先に一番くじ引いてティガ当ててもうたわ」と白状した後、2人で息子の分のくじを同じコンビニに引きに行ったのでした。しかしその時は残念ながらフィギュアを当てることはできず。
僕も3回、息子も3回。お互いに同じ回数のくじを引いて、当たったねー当たらなかったねー、でもタンブラーとかタオルも案外嬉しいよねー、はいちゃんちゃん。これで我が家の「TDG一番くじ騒動」は終結したはずだったんですが……
「俺もティガ欲しかったな~」
ぜんっぜん息子、諦めきれてない。
一応、僕の部屋に飾ってあるティガのフィギュアを「ふたりの」とすることで合意納得したはずなんですけど、もうめちゃくちゃに未練タラッタラで。
例のコンビニの前を2人で通るたびに、僕に聞こえるか聞こえないかくらいのか細い声量で「欲しかったな……」と呟いてくる。あまりにもしつこいので何回か、「もう買いません!」って一喝してやりましたよ。親が子を叱るときは誰もが自然と野原みさえみたいな口調になるのだなと内心思ったものです。
まあ、僕も息子とは長い付き合い(?)なので、彼の本気度というか、なんでも欲しい欲しいと言う中でどれが心の底からの「欲しい」なのかはなんとなく分かるつもりではいて。
ウルトラマンの中でもティガ・ダイナ・ガイアのいわゆる平成三部作は、平成以降のウルトラマンに馴染みのある人間にとってちょっと特別感があるのも同じ特撮ファンとしてとてもよく分かる。そして何と言っても、そのTDG一番くじでパパがティガを当ててしまっているというのがもう……息子にとっては「欲しい!」のトーンが更に一段階上がるポイントだったようです。そりゃあそうか、僕の部屋に飾っておいて「ふたりの」って言ったって子供が本気で納得するわけはありませんね。
で、本当はその日は梅田のロフトで開催中のシン・仮面ライダーのショップを見に行くのが目的だったんですけど、帰りにウルトラマンショップに寄ったら例によって例の如くTDG一番くじが設置されていて、なんと息子の目の前で最後の1個だったティガのフィギュアが持って行かれてしまうという不運……。そんなの見たら息子ももう抑えていた気持ちが我慢出来なくなっちゃって、店内で涙目になって「一番くじ、他にやってるところないん……?」と。
とりわけ息子の涙には弱い僕。近場でTDG一番くじをやってるところはないか、スマホで必死に探しました。ちょうど近くに一番くじの公式ショップなるものがあったので、「よし、ここなら絶対あるはずや!」って言って土曜日の梅田の人混みの中を2人でスタスタ歩きましたよ。無事に発見したときどれだけ安堵したことか。
息子の「もう1回だけ引かせて」の言葉通り、僕が1回分の800円を用意していたら、彼ははなんと店員さんに「ウルトラマンのくじ、3回お願いします!」と勝手に申告。このTDG一番くじに関しては息子の中で「1回(3回)引く」というのが暗黙のルールだったようで(笑)。ちょっと納得いかんなあと思いつつも、さっきの彼の涙を思い出し2,400円を財布から取り出す僕。さあ息子、念願のフィギュアを当てることができるのか。
1枚目、E賞。2枚目、E賞。さて、運命の3枚目……
見事、B賞(ウルトラマンダイナのフィギュア)をゲット!おめでとう!!
いやあ、良かった。本当に良かった。
息子は元々こういうくじ運は持っている方ですが、E賞が連続したときはさすがに「やっぱりダメか……」というムードを背中から漂わせていました。しかしまあ、「持って」ますなあこの男は。
これで僕も、変に後ろめたさを感じることなく堂々とティガのフィギュアを眺めることができます。それに息子がダイナで僕がティガっていうのも、光を受け継いだウルトラマン同士の共演を親子で実現させられた特別な喜びみたいなものがある。ほら、ティガとダイナ、並べるとこんなにかっこいい。
帰り道。嬉しさのあまりダイナのフィギュアが入っている袋をずーっと覗き込んでいた息子。
「危なかったわ〜、ほんま」と、やたら「危なかった」を連呼していたのが傍から見ていると可笑しくて仕方なかったです。「危なかった」って、くじを引いてから当たるまでのドキドキを思いっきり堪能できた人間からしか出ない台詞だと思うので……「危ない」って思います普通?(笑)
僕みたいに謙虚だ無欲だと変に構えるのではなくてね。「欲しい!」その気持ちを隠すことなく見事に当ててくれて僕も嬉しく思いました。息子が本当に涙を流して実現したまさに「泣きの3回」、かっこいいフィギュアはもちろんですが、喜怒哀楽の詰まった彩り豊かな一日に2,400円も随分と安く感じたものです。