僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

『ドンブラ』きっかけで「井上敏樹」に興味を持った妹に次は何をすすめるべきか

 

 2歳下のうちの妹が『ドンブラザーズ』にどハマりしておりまして。

 

 これまで特撮とはあまり縁のなかった妹ですが、何やら友達にとんでもないスーパー戦隊オタクがいるらしく、その人の影響で『ドンブラ』を見始めて、見事にハマり今に至る……という感じだそうです。

 妹は僕と同じく大阪に近い関西地方の在住にも関わらず、わざわざ和歌山までドンブラのショーを見に行ったり、それこそスーパー戦隊ファンの聖地であるシアターGロッソにも何度も足を運んでいるんだとか。

 

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(ちなみに妹にはブログのヘッダーやプロフィール画像を作ってもらっています。改めて感謝)

 

 僕、普段は別に妹と頻繁に連絡を取り合ったりしてるわけじゃないんですけどね。なんか唐突にLINEで送られてくるんですよ、妹が満面の笑みでドンモモタロウとツーショット撮ってる写真が。

 それを見て、なんて返せばいいのか一瞬迷ってしまうんですけど。「おおー!ドンモモやんけ!」とか、「お前もいよいよこっち側の人間に近づいてきたか……」とか、特撮を愛する兄としての適切な振る舞いをその都度模索しているところです。

 で、『ドンブラザーズ』もいよいよ大詰めを迎えてきているこの時期に、妹からひとつ質問をされましてね。それが、

 

「敏樹の作品で次に面白いのはなに?」

 

と、こうきたわけです。

 「敏樹」というのは往年の特撮ファンには言わずと知れた井上敏樹大先生のことで、『ドンブラザーズ』のメインライターを務める有名脚本家。つい1年前までは特撮にほとんど興味のなかった妹が、その井上敏樹大先生のことを「敏樹」と、愛をこめて呼び捨てするまでになっている……恐ろし過ぎるぜドンブラザーズ。

 僕も全部ではないですが、井上敏樹脚本の作品は何作か見ているので、「ドンブラザーズの次、妹に何をおすすめするべきか」でちょっと悩んでいる、というのが今日のお話。

 

 

 

 

 

 真っ先に浮かんだのは、同じスーパー戦隊シリーズから1991年に放送された『鳥人戦隊ジェットマン』。

 

 スーパー戦隊シリーズの歴史を語る上で外せないある意味「転換期」にあたる時期の作品で、「戦うトレンディドラマ」と呼ばれたその奇抜な作風はファンの間でも有名ですよね。

 僕は『ジェットマン』、大人になってから全話をしっかり見返したわけではないんですが、最終回のあまりにも衝撃的な結末はもちろん知っていますし、何よりリアルタイム世代ど真ん中なんですよ。

鳥人戦隊ジェットマン

鳥人戦隊ジェットマン

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  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 「♪ジェット、ジェット、ジェットマン~」っていうあの主題歌と、オープニングのかっこいいミニチュア特撮が子供の頃から大好きで。3歳くらいの頃の僕がジェットマンの主題歌を熱唱する姿が当時のホームビデオにも残っているくらいですから。なんなら、今でもカラオケに行くと必ずと言っていいほど歌う大切な一曲です。

 なので、「『ジェットマン』とかどう?敏樹に興味があるなら絶対ハマると思うよ」と妹に提案してみたところ、「いや、『ジェットマン』は今見てるところだから」というまさかの返答。「そこまで足突っ込んでるならもう俺に聞く必要ないやろ」と正直思ったんですが、せっかく妹と特撮の話ができる機会をここで手放してしまうのも惜しい。ということで方向転換。

 

 

 

 敏樹と言えば……で、次に思いついたのが『仮面ライダーアギト』でした。

 

 『アギト』は2001年に放送された平成仮面ライダーシリーズの第2作。

 「すでに仮面ライダーである男」津上翔一、「仮面ライダーになってしまった男」葦原涼、「仮面ライダーになろうとする男」氷川誠の3人のライダーが織り成す群像劇が魅力。ラジオパーソナリティで、大の特撮ファンでも知られるラップグループ・RHYMESTERの宇多丸さんが、「全特撮ヒーローの中で『アギト』が一番好き」と自身の番組で公言したりもしていました。確かに『アギト』は面白い。僕も続きが気になりすぎて中学生の頃にレンタルビデオで一気見した記憶があります。

 『アギト』って、主役格の3人がお互い仮面ライダーであることを知らないまま物語が進んでいくんですよね。唯一、氷川誠だけは警視庁のアンノウン対策課の一員でG3の装着員だと知られていますが、主人公の津上翔一なんて最初は記憶喪失で自分のことすら全然知らない。自分がアギトであることも誰にも知らせていない。ギルスの葦原も、自分が変身する能力を持ってしまったことで周りの人たちがどんどん離れていき孤独になっていく。

 3人それぞれに仮面ライダー(劇中にこの呼称は出てきませんが)としてどう生きていくかというドラマがあり、回が進むにつれてそれらが一つに収斂していく。番組全体を覆う「アンノウン」という敵の謎解き要素もあって、毎回ドキドキハラハラしながら見ていました。

 思えば『ドンブラザーズ』も『アギト』に近い感じ、あるのかなあと。

 例えば犬塚翼がイヌブラザーだって他のメンバーが知ったの、つい最近だったりするじゃないですか。特にチーム感を重視するスーパー戦隊で、素性を知らないまま同じ「ドンブラザーズ」を名乗る関係性ってめちゃくちゃ革新的ですよね。『ドンブラ』のそういう部分を面白がれるなら、『アギト』もきっと楽しめるだろうなと思うんです。

 

 

 

 あと、もう一つ迷ったのが『仮面ライダー555(ファイズ)』。

 

 『555』は2003年に放送された平成仮面ライダーシリーズの第4作。これはもう単純に、今年20周年を迎える作品で色々とプッシュされることは間違いないだろうから、見ておいて損はないだろうという算段で。

 『555』も『アギト』と同じく、主人公の乾巧が色々と謎めいた人物で、その謎が徐々に明かされていく過程が実にスリリングなんですが、僕が妹に是非見てもらいたいと思っているのは「草加雅人」という「井上敏樹み」が凝縮された名(迷?)キャラクター。

 こいつを語らずして井上敏樹を語れるか、というレベルだと個人的には思っておりまして……。まあ、ここであえて説明するまでもなく、という感じではあるので、ご存知ない方は是非『555』見てください。もう「草加雅人」についてディープに語り合えるようになれば、妹も「特撮沼」から脱出できなくなることは確定したも同然でしょう。

 

 

 

 ……と、まあ、こうして考えを巡らした挙句、『555』は他の作品に比べると内容が暗めで、ビギナーが離れてしまう危険性を若干感じたので、津上くんや氷川くんが時たま笑わせてくれる『アギト』を妹には一番おすすめしておきました。『ドンブラ』が好きなんだったら、『アギト』みたいなすれ違い群像劇は絶対楽しめるはず。

 

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 さて、今まさしく「リアル・トクサツガガガ」状態にある妹。一体次はどの作品にハマるのでしょうか。

 ここで順当に次の戦隊シリーズ『キングオージャー』にはいかなさそうなのがまた何とも言えないところではあるのですが……それだけ「井上敏樹」という人の影響力、届かせる力が凄いってことなんでしょうね。ほんと、他の誰にも書けないような個性的でキャッチーな脚本ばっかり書いてるもんなあのひと。それはもう、円谷派の僕も素直に認めざるを得ないところです。

 もし他に「『敏樹』の作品でこんなすげえのあるよ」という方、是非僕に教えてください。そのまま「敏樹ッズ」候補生の妹に横流ししますので。