最近ウルトラマンもこの手のムック本が増えてきました。正直、価格の割に内容が薄かったり特に目新しい記事が無いものも意外と多く、結構当たり外れが激しい印象があります。
しかし、この『ぴあMOOK ウルトラマンタイガ&ニュージェネレーション超大全』は大当たり。本屋で見つけてパラパラとページをめくった後、気が付いたときにはレジに持っていて鞄から財布を取り出している自分がいました。トライスクワッドとトレギアの巻頭グラビアもかっこいいし、何よりスタッフ・キャストのインタビューがたっぷりで読み応えあります。これは立ち読みで済ますわけにはいかない。
新しいウルトラマンが出てくる度に、それが「ニュージェネ」という括りでどんどん仲間になっていく感じがいいですよね。インタビューを読んでいるとキャストの皆さんにも仲間意識があって、それぞれの思いがつながってウルトラマンは続いていくんだなと一人で感動。ニュージェネ好きな人はみんなこれ読もう。
ウルトラマンへの道のり
「いざ決まってみると最初はピンとこなかったですね。ウルトラマンの歴史の深さを知って、責任の重さがだんだんプレッシャーになったんですけど、撮影スケジュールが詰まっていたので、それを考える余裕もありませんでした」
(ウルトラマンギンガ/礼堂ヒカル役 根岸拓哉)
興味深かったのは、各作品の主演俳優がいかにしてウルトラマンの主役の座を掴み取ったかという経緯の部分。『ジード』の濱田龍臣くん以外はみんなオーディションだったんですね。それぞれが「ウルトラマン」というものを最初にどう捉えていったか、そのスタンスの違いが面白くて。
特にニュージェネレーションヒーローズ第1号となったギンガの主人公、礼堂ヒカル役の根岸拓哉さんのインタビューでは、一人の若者が先の見えない暗闇に手を伸ばしながら必死に演じていたことが垣間見える部分もあり…。それが、シリーズの継続すら保障されていない中でなんとか新しいものを見せていった当時のウルトラシリーズの状況とも重なって感じられて凄くグッと来ました。
それと彼らの「ヒーローになった実感」として多く語られていたのが、各地で行われていたヒーローショーなどのイベント。僕もリクやレイト、湊兄弟を生で見たときはテンション上がりましたけど、演者の側も同じようにファンとの触れ合いに感じるものがあったというのは嬉しい。
デザイナー・後藤正行の世界
「『ウルトラマンに見える』っていうのが最低条件です。ただ、僕はウルトラマンゼロからデザインしているんですけど、その頃から比べるとデザインの幅は広がっていて、自由度はかなり増えているような気がします」
(ウルトラマンシリーズ キャラクターデザイナー 後藤正行)
『ギンガ』から『ルーブ』に登場したウルトラマンたちと各種小道具のデザイン画が掲載されているのも大きなポイント。特に『オーブ』と『ジード』は、アーケードゲーム限定で登場したフュージョンのバリエーションも網羅されており、資料としての価値も非常に高いです。
僕、ゼロからニュージェネ全般にかけてデザインを手掛けている後藤正行さんのイラストが大好きなんですよ。この間行ったウルフェスでは、こんなタペストリーまで購入してしまいました。後藤イラストには、実物のスーツとはまた違う生物としてのウルトラマンの魅力がダイレクトに表現されている気がします。なんかこう、「生きている」感じが凄く出ていて。
「ウルトラマンに見える」この最低条件をクリアしながら、今までのウルトラには無かったデザインの要素をどんどん付け足していく。
ティガ以降のウルトラマンたちが、ウルトラの本来持つイメージを崩さぬようまるで綱渡りをするかのような繊細な線で描かれていた印象があるのに対して、後藤ウルトラマンのイメージは一言で言うと大胆。デザインの自由度が広がっていく中、次はどんな手で来るんだろうと毎年ワクワクさせられます。
「背負う」重みを感じながら
「『カツ兄が!』ってそういう風に言ってくれるのは凄く嬉しくて、自分はそのままずっとそれを背負っていくんだろうなという感じがありますね」
(ウルトラマンロッソ/湊カツミ役 平田雄也)
この「背負う」という表現が、ウルトラマンをずっと見てきたファンの一人としてとても嬉しく思います。俳優さんにとって、一つの役のイメージで固定されてしまうのは本当は嫌な場面もあるはず。にも拘わらず「背負う」とまで言ってくれるのは…
平田雄也さんに限らず、どのキャストの方も自分の出演した作品に対して並々ならぬ愛情を持ち続けてくれているのがインタビューから伝わってきて、本当に応援してきて良かったな、と。放送が終わっても愛され続けるウルトラシリーズの魅力ここにあり、です。
ちなみにクレナイ・ガイ役、石黒英雄さんのインタビューでは『オーブ』の衝撃的な裏設定に関して言及されていたりして(いいのかこれ)、「一家に一冊!」と軽いノリでおすすめするにはちょっとディープな内容も含まれています。オーブファンは心して読もう(笑)。