僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

てれびくんのDVDを見ながら考える『ルパパト』の現在地

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 小学館が発行している児童向けのテレビ雑誌『てれびくん』にて発売されたルパパトDVD『ガールフレンズアーミー』。

 届いた商品を見て「あれ、こんなの頼んだっけ?」と僕が呆気に取られていたら、ちょうど帰ってきた嫁さんが「あー!やっと届いたー!」と喜んでおりました。あなただったんですね、と(笑)。今回は、長年『マジレンジャー』推しだった嫁さんのハートをがっちりと掴んだ『ルパパト』についてです。

 一応ご存知でない方のために…『ルパパト』とは、スーパー戦隊シリーズの第42作目『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』の略称。2つの戦隊が主人公として描かれるのはTVシリーズ史上初。快盗と警察という敵対する立場の戦隊が見せるドラマと、ポイントポイントで描かれるW戦隊の熱い共闘が見どころとなっています。

 

事なキャラクター造形

 昨年2月の番組開始時から特撮ファンの間で比較的好評だった『ルパパト』。

 特にパトレン1号・朝加圭一郎を中心に両戦隊の個性的なキャラクター造形が見事で、いつものスーパー戦隊のお約束をなぞるだけではないトリッキーな展開の数々には何度も驚かされました。

 また、戦隊シリーズ恒例の追加戦士は、怪盗と警察両方に変身できる能力を持ち、時には両戦隊の潤滑油として、時には物語を引っ掻き回す謎の戦士として独特な立ち位置を維持しています。彼らが関わり合うたびに起こる化学反応もまたルパパトの大きな魅力ですね。

 しかし、番組も中盤に差し掛かろうとしていた頃。ルパパトの、特にパトレン関連の玩具の売上不振が伝えられると物語上でも強化アイテムが明らかにルパン側に偏るなど、テコ入れと思われる動きに開始当初の盛り上がりがややトーンダウンしてしまった感があります。

 この手の特撮ヒーロー番組にとって、関連玩具の売り上げというのは死活問題。過去にも、そういったいわゆる大人の事情で作品の内容が大きく変更された例は決して少なくありませんし、そういった路線変更によって結果的に視聴率や売り上げが上向き、番組の存続に繋がったことだって珍しくないのです。

 最終回に向けてラストスパートをかけようとしている『ルパパト』が、これからどういった展開を見せてくれるのか。特撮の中でも特にスーパー戦隊を応援している人たちにとっては最大の関心事ではないでしょうか。

わり合いを描くドラマ

 で、てれびくんから届いたDVD『ガールフレンズアーミー』の感想です。

 15分程度のミニドラマで、登場するのは快盗と警察の女性メンバーとゲストの女の子のみ。僕はてれびくんから発売されているDVDを買うのは初めてだったのですが、過去の戦隊でもこんなに思い切った内容のDVDを出したりしていたのでしょうか。それくらい、視聴ターゲットを絞りに絞った内容という印象を受けました。

 元モー娘。のくどぅーこと工藤遥さんが演じる早見初美花を推している嫁さんと、つかさ先輩を猛烈に推している僕にとっては、なかなか満足度の高い作品でした。

 国際警察に学級新聞の取材でやってきた少女・優の大切にしていたぬいぐるみがギャングラーに奪われてしまい、困ったつかさに初美花が協力を申し出るが…というのが大まかなストーリー。夏に公開された劇場版では、魁利と圭一郎のレッド同士のコンビが物語の肝になっていましたが、今回はそのヒロイン版といった趣です。

 警察官としての使命と、敵対する快盗の協力を受けなければ事態を解決できないもどかしさの間で葛藤するつかさ。そんなつかさに、自分の正体を明かせない中で何とか協力する方法を探る初美花。たった15分で、立場の違う2人の極めて真っ当な関わり合い方がしっかりと描かれておりTVシリーズと変わらぬ安定感でした。

 そして大して可愛くもないぬいぐるみにほっぺたすりすりしちゃう相変わらずのつかさ先輩、ギャップ萌えがヤバいです(笑)。

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 また、このDVDには劇中に登場する2人の書いた手紙が特典として封入されています。この特典お目当てに購入した方も多いのでは。DVDを見た後、この手紙がそのまま思い出の品になる。ファン心理をくすぐる上手いやり方です。

雑な構図が誤解を生む?

  さて。僕と嫁さんと息子の家族3人で見たこのDVD。先述した通り僕と嫁さんは大満足だったのですが、息子には不満どころか「面白くない」とはっきり言い放たれてしまいました。

 そもそもこのDVD、『ルパパト』の本来のターゲットである未就学児、特に男の子に対して作られていない。レッドやグリーンといった他の男性メンバーも一切出て来ず、とにかくこのヒロイン2人が好きな人向け、ぶっちゃけて言うと大きなお友達に向けた作品と言えます。

 別にそこを批判しようというわけではありません。むしろ正しいプロモーションの仕方でしょう。『ルパパト』最大の魅力は、個性的なキャラクター同士の関わり合いから生まれる化学反応にこそあると思うからです。ただ、その化学反応を果たして子供たちが純粋に楽しめるのか、なかなかハードルは高いようにも思います。

 「快盗と警察、君はどっちを応援する?」

TVシリーズのOPで毎回入るナレーション。番組開始当初は、この問いかけに「ルパンレンジャー!」と大きな声で答えていた息子が、最近は『ルパパト』を見ながらこんなことを言うようになりました。

「パトレンジャーはルパンレンジャー怒るから嫌い!」

 息子のこの一言を聞いて、僕は寂しさを感じつつも「なるほどなあ」と妙に納得させられてしまいました。大人の視聴者には面白い化学反応だと感じるW戦隊の絡みが、息子にとってはパトレンジャーがルパンレンジャーを邪魔しているように見える。ヒーローが悪者を倒すという従来の構図から脱却したことが、子供に(少なくとも僕の息子には)誤解を生じさせる結果になっていました。

 パトレンの玩具売上不振の原因はひょっとしてこの辺りにあるのかも、と。もちろん、玩具が売れればそれがいい作品だと断言できるわけでもないですし、あくまで作品の人気度を示すひとつの物差しでしかないのですが。

 恐らくこれから最終回までに、パトレンジャーの3人がルパンレンジャーの正体を知り、ギャングラーのラスボスとの戦いの中でまた新しいドラマが生まれるのだろうと思います。僕は番組の一ファンとして今後の『ルパパト』を楽しみにしていますが、同時に父親として、息子のパトレンジャーへの誤解が解かれるような展開を期待しています。

 

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