僕が僕であること(仮)

ジードとルーブが大好きな4歳の息子とのウルトラ備忘録です。

~好きなものを語る~男はつらいよ編

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 好きなものを語るシリーズ。今回は映画『男はつらいよ』シリーズについてです。

 いやぁ大好きなんです、寅さん。どれくらい好きかと言いますと、大学生のときに就活のふりして柴又の帝釈天と寅さん記念館を観光してきたくらい(笑)。一番ハマっていた頃はほぼ毎日のように見ていました。今でも、ちょっとまったりした時間を過ごしたい休日なんかにDVDを引っ張り出してきています。シリーズ終了から20年以上が経ち、そもそも寅さんが何なのかを知らないという若い世代の方も結構いるのではないでしょうか。今回はそんなあなたに!僕が寅さんの面白さをあつかましく紹介いたします。

 

寅さんってなに?

 寅さんとは、映画『男はつらいよ』シリーズに登場する主人公・車寅次郎の愛称。映画そのものを指す場合もあります。『男はつらいよ』とは、1969年の第1作から1995年まで実に全48作品が公開された国民的映画シリーズ。世界最長の映画シリーズとしてギネスブックにも認定されています。あのゴジラでも『シン・ゴジラ』を含めて全部で29作品ですから、48作がいかに膨大な数であるかはお分かり頂けると思います。

 主人公・車寅次郎を演じるのは渥美清。また全48作品中46作品で山田洋次監督がメガホンを取っています。基本的なストーリーの流れは、旅先で出会ったマドンナに惚れた寅次郎が柴又に帰ってきて人情喜劇を繰り広げるも、結局はフラれてまた渡世人に戻るというもの。共演者たちからは「寅のアリア」と呼ばれた渥美清の名調子による一人芝居、ファンにとってはお馴染みの「とらや」の面々と寅次郎のやり取りは笑いあり涙あり、時には見る人の人生観にも迫るような深いテーマが内包されており、映画の大きな見所の一つとなっています。

寅が愛したマドンナたち

 48作もある映画を今からわざわざ見ようというにはきっかけが要りますよね。かくいう僕も、第1作から順番に見始めたわけではありません。最初は作品ごとに登場するマドンナの方々がお目当てで、好きな女優が出てくる回だけを選んで見ていました。

 個人的に一番好きなマドンナは、第32作『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』に登場する竹下景子演じる朋子。シリーズの中では異色のマドンナで、恋をした寅次郎がフラれるいつものパターンではなく、朋子の方から寅次郎に思いを寄せていくというのがとても斬新でした。若き日の竹下景子の可愛らしさもポイント。またこの回では、ひょんなことから寺の和尚の代理を頼まれた寅次郎がでたらめな説法をしている場面に、妹のさくらたち家族が偶然出くわすというシーンがあります。これが今思い出しても笑えるくらい可笑しい。何ならこのシーンだけでもいいから見て欲しい(笑)。

 第17作『寅次郎夕焼け小焼け』の太地喜和子演じるぼたんも良かった。寅さん好きの間でも特に人気の高い回で、「播磨の小京都」と称される兵庫県は龍野市(現・たつの市龍野地区)を舞台に芸者であるぼたんと寅次郎の珍道中が描かれます。僕もロケ地巡りへ出かけたことがあるほど、この回はお気に入り。映画が公開されたのは1976年なのでもう40年以上前になりますが、龍野には今も当時とほとんど変わらぬ美しい風景が残っています。

 寅さんを語る上で外せない代表的なマドンナが、浅丘ルリ子演じる松岡リリー。全マドンナの中で最多登場回数(4回)を誇り、最終作となった第48作『寅次郎紅の花』でもマドンナを務めました。リリーの特徴は、何と言ってもその境遇。ドサ回りの売れない三流歌手で、風の吹くままに旅を続ける様はまさに女版・車寅次郎と言ったところです。リリー2度目の登場となった第15作『寅次郎相合い傘』はシリーズ最高傑作の呼び声も高く、寅さんを代表する名シーン「メロン騒動」もこの作品から。個人的には、第25作『寅次郎ハイビスカスの花』で一度離れ離れになった寅次郎とリリーが再会するラスト。カラッとした2人の会話からほのかに感じられる切なさ、リリーのキュートな表情も相まって大好きなシーンです。寅さんで何から見ようか迷ったら、とりあえずリリーが出ている回を押さえておくのがいいと思います。

後世に伝えたい、寅さんの名言集

人生に、寅さんを。 ~『男はつらいよ』名言集~

人生に、寅さんを。 ~『男はつらいよ』名言集~

 

 一人の登場人物の名言だけで一冊の本が出来てしまう。よく考えてみたら凄いことですね。寅さんの言葉には、誰にでもどの時代にでも当てはまる普遍性と説得力があります。ここではそのほんの一部を引用しながら紹介。

寅「いいかい、自分の気に入った作品は人に渡したくない、ましてや気に入らない作品を売るわけがない、だから全然金が入らない。これが芸術家よ、わかるか、さくら。」

さくら「そうねぇ、私は芸術家じゃないからよく分からないけど、でもとっても気に入ったスーツ縫い上げた時なんか、ちょっとお客さんに渡したくないような時があるわね。」

寅「さくら、お前、芸術家だよ。」

 

第12作『男はつらいよ 私の寅さん』より

  画家のりつ子(岸恵子)に恋をして、急に芸術を語り出す。でも的を得ているのが凄い。寅さんもまた、芸術家の気質があるのかも。

満男「人間は何のために生きてんのかな。」

寅「難しいこと聞くな、お前は。…何と言うかな、あー生まれてきて良かった、そう思うことが何べんかあるだろ。そのために生きてんじゃねぇか。」

 

第39作『男はつらいよ 寅次郎物語』より

  寅次郎の甥っ子である満男の成長もシリーズの見所のひとつ。特に第40作以降は実質的に満男が主人公のストーリーが多くなり、寅次郎は満男の人生の指南役としての役割も果たしていくことになります。

「さっきから1時間も待ってるのに、時計はまだ5分も経ってないんだもんなぁ」

 

第24作『男はつらいよ 寅次郎春の夢』より

  マドンナの圭子(香川京子)がとらやにやってくるのは夜なのに、昼間から待ち続ける寅次郎。滑稽なシーンだけど、この台詞を言いたい気持ちはよく分かる。

「お前と俺は別の人間なんだぞ。早ぇ話がだ、俺が芋食って、お前の尻からブッと屁が出るか?」

 

第1作『男はつらいよ』より

  第1作目からこの切れ味。寅次郎は物事を屁で例えるのが得意です。

「でも、だけどね、レントゲンだってね、ニッコリ笑って写したほうがいいの。だって明るく撮れるもの、その方が。」

 

第32作『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』 より

  意味不明だけど何故か説得力が感じられるのも寅さんの名言の特徴ですね。

寅さんと旅に出よう!

 実は僕、大学生の頃に寅さん好きが高じて寅さんをテーマにした冊子を作ったりもしていました。

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 冊子と言っても、単にロケ地巡りのレポを印刷していただけなんですけどね。さすがに中身は恥ずかしいので表紙の一部を…。ロゴも文字もイラストも全部手書きという(笑)。

 『男はつらいよ』シリーズは、作品毎に舞台となる場所が異なるのも魅力。寅次郎の旅を追いかけながら、日本の美しい名所の数々や風景を楽しむことができます。中には、今ではもう見られなくなってしまった景色もあり、48作を通して見るとまるでその間に日本が歩んできた歴史を追体験しているかのよう。これらの風景は、映画を通してこれからもフィルムの中に生き続けます。

 また久しぶりに寅さんのロケ地巡りをしたくなってきました。今度東京へ行ったときには柴又にも顔を出さないと。皆さんも秋の夜長を、ゆったりとした時間の流れる寅さんを見て過ごしてみてはいかがでしょうか。きっと、お気に入りの作品に出会えると思います。そしてその時は、友人や家族から不思議な視線を浴びつつ独りで寅さんを楽しんでいる僕と語らいましょう(笑)。