僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

なぜ我が家にはエリマキテレスドンが2匹いるのか

 

 「あれ?!ない!エリマキテレスドンがない!」

 

 買い物帰りの車中で息子(小2)が叫ぶ。

 さっき買ってもらったばかりのエリマキテレスドン、のソフビがないと。息子がソフビをなくすの、実はこれが初めてではない。前もウルトラマンレイガだったかな?買ってもらったその日になくした。

 「ま~たなくしたんかい、しかもさっき買ったばっかりのを……」僕が不意についたため息から心の声が伝わってしまったのか、助手席の息子がまあ慌てる慌てる。車を停めて一緒にエリマキテレスドンを探すも、やはりどこにも見当たらない。みるみる青ざめていく息子の顔。

 

 ふたりで、ソフビを買ってからの行動を思い出してみる。イオンのJoshinでソフビを買った後、「帰ったらお菓子パーティするぞ~」と駄菓子屋に寄った。えーっと、その後ゲームセンターでウルトラマン・フュージョンファイトをプレイしたな。

 そのとき、エリマキテレスドンはどこにあった?

 あっ、ゲームの台の上……!あそこに置き忘れたんだ……!

 息子と僕、ソッコーで引き返す。さあ、見つかるかエリマキテレスドン。

 

 

 

 

 イオンに着いて、まずはゲームセンターから確認。さっき息子がプレイしていた台にもうソフビの影は無い。もしかしたら誰かが落とし物としてサービスカウンターに届けてくれたのかも……

 

 ちょっと可哀想かなあと思いつつ、あたふた焦る息子に対して「『自分のケツは自分で拭け』と、突き放してみるいい機会かも」という思いが頭をよぎる。大事なものをすぐになくす癖が彼につくのもあれだし、まあ見つからなかったら僕がまた買ってやるから、まずは自分で探してみろ、とね。

 ゲームセンターの係の人、レジの店員さん、サービスカウンターの担当者さん。聞けそうな人にひたすら声をかけまくる息子。僕はそれをちょっと離れたところから見守る。息子、エリマキテレスドンの特徴を言葉を選びながら必死に大人たちに伝える。

 

 「エリマキがついた怪獣で……茶色くてこれくらいの大きさで……テレスドンっていうねんけど……」

 

 「いや、『テレスドン』って言って一体何人に伝わるんだ」と内心ツッコミを入れつつ(笑)、息子のなんとか見つけねばという気持ちが伝わってくる。しかし、結局落とし物の届けはどこにもなかったようで、「もし見つかればこちらに……」とサービスカウンターに僕の電話番号だけ伝えて、その日はふたりで肩を落としつつ帰りました。

 

 翌日。朝から自分の財布を覗き込んで所持金を確認する息子。

 

 「お金ギリギリあるから、エリマキテレスドン買いに行かせて!」

 

 正直、昨日の感じだとなくしたソフビが戻ってくる可能性は僕もかなり低そうだと思った。自分のお小遣いでもう一度買い直す。確かにそれも、「自分で自分のケツを拭く」方法のひとつではある。よし分かった。エリマキテレスドン、もっかい買いに行こう。

 昨日と同じJoshinに到着。昨日は2個置いてあったエリマキテレスドンが1個になっている。その1個を息子が手に取る。買ってもらったものをなくした焦りとおそらく自分へのがっかり感でどんよりしていた息子の表情が、だんだん晴れやかになっていくのが僕にも分かる。良かったな、今度はなくすなよ。

 すったもんだの挙句、ようやく手に入れたエリマキテレスドンにご満悦の息子。そのテンションのまま今日も昨日と同じ駄菓子屋へ。車の中で食べたいうまい棒やその他もろもろを購入。さあ、家に帰ろう。

 

 

 

 帰りの車中。うまい棒(コーンポタージュ味)をムシャムシャ頬張った息子が、足元のゴミ袋に手をやる。息子、「あれ?」という顔で僕のほうを見る。

 

 

 「俺、とんでもないことに気付いてしまったかもしれん……」

 

 

 ん、どうしたどうした。え……?あ……!もしかして!

 

 はい、なくしたと思ってたエリマキテレスドン、車のゴミ袋の中に入ってました。何かの拍子にポロッと落として入っちゃってたんですね。結局そういうオチかい。昨日と今日のドタバタは一体何だったんだよ!

 しかし、車中での僕と息子、なぜか大笑い。

 同じソフビを2つ買うことなんて普通はない。ないはずなのに今、息子は右手にエリマキテレスドン、左手にも同じエリマキテレスドンを持っている。なんかもう、その状況が可笑しくてたまらなくって。脱力感もあったのかな、ふたりでひたすら大爆笑。昔ウルフルズにそんな歌ありましたよね。「♪ガハハと笑えたら~」まさにそんな感じ。とりあえずわろとけ、みたいな。

 

 1個目のエリマキテレスドンを買うときに、実は隣に並んでいたギガスのソフビとどちらを買うか悩んでいた息子。両手にエリマキテレスドンを持って、運転中の僕に一言。

 

 「これやったら今日ギガス買えば良かったわwww」

 

 いやその前になくすんじゃねーよ!(笑)

 寝ても覚めても、我が家にはエリマキテレスドンが2匹いる。昨日のこと、今日のこと、2匹のエリマキテレスドンを見ればすぐに思い出せる。ふたりでガハハと笑ったこと、今思い出してまた笑ってます。