僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

息子の手作りポケカ、パワーバランスがきっちり調整されていて面白い件

 

 先週の土日、阪神タイガースの春季キャンプを見に沖縄まで旅行に行っておりました。

 

 息子(小2)、僕がいない間、ポケモンカードの対戦相手がいなくて退屈していたらしい。良かったあ、「別になんともなかったで」なんて言われたら寂しくて泣いてたかもしれない。

 

 

 「パパがいなくて退屈……でもポケカがしたい!」

 

 対戦相手がいないなら自分でカードを作ってやれ。息子の思いが爆発して生まれたのがこちらの特製手作りポケカ。

 

 うわ~、僕も子供の頃に同じようなの、描いた描いた。

 本物のトレーディングカードを学校に持っていくわけにはいかないからと、身の回りにある厚紙をはひたすらかき集めて、サイズ合わせて切り取って、ね。休み時間に友達と対戦するために結構がっつりデッキまで作ってましたよ。カードの効果を自分で考えて、イラストも自分で描いて……と、今思うとなかなかクリエイティブな遊びをしていたなあと思います。まあ、やがてはそれらも担任の先生に目をつけられて学校への持ち込みが禁止されていくわけですが。

 20数年の時を経て、ポケカにハマる息子が僕と同じようにオリジナルのカード作りに行き着いているのはなんだか感慨深いものがありますね。血は争えない。

 

 

 

 

 見ていてなるほどと思わされたのは、オリジナルカードなんだからワザのダメージもコストも自分で好きなように決められるはずなのに、性能は本物のポケカよろしく絶妙なバランスで調整がなされていることですね。例えば、息子作の「エンテイV」。

 

エンテイV HP230
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ワザ / 炎1 ほのお

(炎エネルギーを3枚このポケモンにつける)

ワザ / 炎3 ブリザードファイヤー 210

(次の番、ワザを打てない)

 

 1つ目のワザ「ほのお」で自分自身に炎エネルギーを加速し、次のターンには2つ目の強力ワザ「ブリザードファイヤー」が打てるという仕様。「ブリザードファイヤー」は3エネで210と高いダメージが出せる代わりに、次の番ワザが使えなくなるという反動付き。

 

 いや、めちゃくちゃ実際にありそうだよこのカード。HP、ワザを打つためのコスト、ワザのダメージと効果。ほぼほぼ妥当なところに落ち着いている。

 言ってしまえば「ブリザードファイヤー」のダメージ、400とか500とか、別に書けてしまうわけじゃないですか。息子まだ小学2年生ですよ。そんなデタラメ書いたって全然許される。HPだって「そんな230なんて控え目なこと言わなくても」と思わなくもないし。

 でもそうじゃなくて、「もしかしたら本当にこんなカードがあるかもしれない」というラインを自分なりに考えて絶妙についているところに、息子のクリエイティブな部分のセンスを感じます。「ワザのダメージ、210にするか220にするか、それとも……」みたいに悩んだんだろうな、と想像するだけで微笑ましい。

 ついでに言うと「ブリザードファイヤー」っていうワザ名もいいですよね。なんかこう、小学生の男子が考えうるかっこいい語感の単語を羅列した感じ。そのいかにもな青臭さが味わい深くて。多分、僕も少年時代、そういう口に出して言いたいかっちょいいワザ名を一生懸命考えてた。

 

 僕が小学生の頃はね、周りの友達にいたんですよ。もうめちゃくちゃな効果を持つカードを手作りしてくるヤツが。究極、「このカードを出したプレイヤーが勝者となる」みたいなの。「それじゃゲームにならんだろ」と子供心に思ったもんです。

 で、最終的には同じ志(パワーバランスを考慮しつついかに面白い効果のカードを考えるか)を持つ者たちだけで集まって対戦するようになっていった記憶。お互い、「このコストだったらこれくらいの効果までなら許されるだろう」というギリギリを常に攻めるわけです。そしてそれが手作りカード同士の実際の対戦で使えるのか、それとも禁止カードにすべきかをみんなで考え合う。

 さっきも書いた通り、手作りカードの持ち込みすらもすぐに学校で禁止されてしまったのでそういう遊びをしていた期間自体はかなり短かったと思うのですが、僕にとっては未だに忘れられない少年時代の濃密な思い出です。「これだ!」っていうカードが作れたときのあのワクワク感。みんなに見せたくて学校まで走って行ってましたもんね。

 

 息子の描いた手作りポケカを見て、自分の少年時代の思い出がよみがえってきたのと同時に、「カードゲームのどこに楽しみを見出すのか」という部分、これが親子で割と近いところにあるような気がして嬉しくなりました。

 効果とコストがちゃんと見合っているのか、1枚の中にどれほどのシナジーがあるか、あとワザ名がかっこいいかどうかというね(笑)。これからもまだまだ一緒にポケカを楽しめそうです。

 ちなみにうちの両親、未だに手作りカードに使えそうな厚紙があるとニヤリと笑って僕に「これ、要るやろ?」とか言って差し出してくる。僕が子供の頃に必死にカードを手作りしてたの、相当可笑しかったんでしょうね。

 今度実家に帰ったら、昔の僕が描いた手作りカードがまだ残っていないか探してみよう。「うわ、パパも同じことしてる!」って、息子もきっと驚くでしょうから。