僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

感想『ウルトラマンデッカー』最終回 / ヒーロー番組に求めていた「努力の天才」の背中がまぶしい

 

 『ウルトラマンデッカー』最終回。実に爽やかなフィナーレでした。

 

 特に印象的だったのは、主人公のカナタがムラホシ隊長から「努力の天才」だと認められるシーン。

 リュウモンは「見つめる天才」。イチカは「まっすぐの天才」。

 GUTS-SELECTの隊員たちには、シリーズの序盤にそれぞれ主役回が用意されていて分かりやすい形で個性の「見える化」がなされていました。そのウルトラシリーズの基本とも言えるフォーマットに忠実な作りは視聴者に一定の安心感をもたらしましたが、「主役のカナタは何の天才なんだろう?」というクエスチョンはずっと残されたままだったんですよね。

 だから最後の最後に凄く納得感のある答えを出してくれて、カイザキ副隊長の言葉じゃないですが「良いチームに成長しましたね」と。確かに、せんべい屋からGUTS-SELECTの隊員にまでのし上がったカナタは「努力の天才」で間違いない。

 小学2年生の息子と一緒に見ている身としては、「なんちゅう理想的な子供番組なんだ……」と膝を打ってしまいました。ヒーロー番組に求めているものがその一点に凝縮されていました。

 

 今日は『ウルトラマンデッカー』について、作品への感想や息子との思い出話を交えつつざっくりとした総括をしていこうと思います。

 

 

 

 

くも悪くもの「堅実さ」

 

 『ウルトラマンデッカー』への感想を一言で表すとするならば「堅実」。これに尽きます。最初から最後まで、説明不足を感じさせない実に手堅い作りの作品でした。

 

 前作『トリガー』の反省を生かした部分も多分にあるのでしょう。「NEW GENERATION DYNA」と銘打たれてこそいなかったものの、『ウルトラマンダイナ』のエッセンスの引き継ぎ方には随所に工夫が見られました。

 特に「スフィアバリア」の設定は巧みだったと思います。

 『ダイナ』では「人類の宇宙開拓」を通して描かれたネオフロンティアスピリッツを、宇宙との交信が断絶された地球を舞台に描くという試み。人間が「人類」として困難を乗り越える構図を再現しつつ、『トリガー』の続編としても違和感がなく、かつ「未来を夢見る」前向きさを作品に内包させる。宇宙と地球の断絶に関してはコロナ禍の世相を反映させた部分もあるのかもしれません。いずれも、「2022年に『ダイナ』の精神を引き継ぐウルトラマン」として非常に上手く機能していました。

 

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 ただ一方で、前作の『トリガー』では時折見られたドライブ感のようなもの、「想像以上のものを見ている」という興奮の度合いはかなり薄かったような気がしています。

 これは「堅実さ」と相反する要素でもあるので酷な要求にはなってしまうのですが、10年前の『ギンガ』から続くニュージェレーションシリーズの「臭み」とでも言うのでしょうか。そういったものが抜けそうで抜けきらないジレンマを抱えたまま終わってしまったのかな、と。

 アサカゲ博士が実はアガムスというヴィラン的存在だった裏切りも、カナタの精神的な成長がダイナミックタイプの出現につながるドラマチックな展開も、決してつまらなくはなかったものの、やはりもうひとつ盛り上がりに欠けた感がありました。一定以上のものを見せてくれる安心感と引き換えに「真の驚き」にはあまり巡り会えなかった。そんな印象が残りました。

 

 あと、カナタって最初はてっきり『ダイナ』のアスカ・シンみたいな猪突猛進キャラかと思っていたんですけど、全体を通して見ると良くも悪くも割と「普通の人」でしたよね。極めて一般的、常識的な感覚を持った「普通の人」。だからこそ「努力の天才」というワードがしっくり来たのでしょう。最後の感情を爆発させた変身シーンが感動的だったのも、カナタが「普通の人」だったからなのかな、なんてことを思いました。

 

 

 

学生とウルトラマン

 一緒に最終回を見終えた息子。腕を前で組みながら一言。

 

 「いや〜、めっちゃ良かったと思うで『デッカー』は」

 

 君、その妙な落ち着きは一体なんやねん、と(笑)。小学2年生にしてすっかりオタクっぽくなってきちゃいました。良かったみたいですよ、『デッカー』。

 

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 『デッカー』の放送直前にはこんな記事も書いてますね。

 彼が期待していた『デッカー』の新怪獣たち。スフィアザウルスにスフィアゴモラにスフィアジオモスに……と、スフィア関連でボリューム感のある怪獣が沢山登場してその度にソフビをガチャガチャやって遊んでましたねえ。そういう意味では期待通りのウルトラマンが見られたということでしょうか。

 

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 DXテラフェイザーを自分のお小遣いで買うためにお手伝いをめちゃくちゃ頑張っていたことも思い出されます。結局この記事を書いて2週間くらいした後に買えたのかな。目標金額に到達したときはなんだか僕まで「やったぜ〜!」っていう達成感がありました。テラフェイザー、最終回もちゃんと活躍してて良かったな。

 

 さて、息子も今年の4月には小学3年生。ちなみに周りの友達はもうほとんど、ウルトラマンは卒業しちゃってるみたいです。

 本人曰く、「まだウルトラマンなんか見てんのかよ」みたいなことを言われたのも一度や二度ではないとのこと。まあ、小2くらいになるとそうなりますかねえ。僕も小2となるとちょうどポケモンの台頭もあってウルトラマンはもう見ていなかった。

 息子は言われたら「かっこええからええねん」って、ぼそっと反論してるんですって。それを聞いてなんかこう、胸がキュッとなりましたよ。息子は息子の世界で戦っているんだなあ、みたいな。やっぱりそこは父親としてちゃんと守ってやらなきゃいけないというか。

 それが一緒に番組を見たりイベントに行ったり、ということなのかは分からないですけどね。僕は僕で一ファンとしてウルトラマン大好きなので、そりゃあ息子が一緒に見てくれたほうが嬉しいです。だからこそ、変に押し付けがましくならないように気をつけたりもしていて。

 

 ただ『デッカー』に関しては特に、僕も息子に対して「お前もカナタみたいになれよ」ってポンと背中を押せる……そういう良さがあったと思います。人の頑張りをまっすぐに感じられる番組でした。

 


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 来月に公開される最終章も楽しみですね。ツブイマオリジナル作品が定着してくれて何よりです。