僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな7歳の息子とのウルトラ備忘録です。

〜悔し涙に見た「勝負の世界」〜ウルトラマンゼットに憧れる息子、初めての空手大会に挑む。

 

 息子、初めての空手大会。

 

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 『ウルトラマンZ』の主人公・ハルキの影響で保育園最後の年に始めた空手。

 子供の頃から格闘技に全く縁のない人生を送ってきた僕としては、息子の「強くなりたい」というまっすぐな願望には言い様もない尊さを感じます。

 大会と言っても、僕はてっきり空手の「型」を披露するものだと思っていまして。彼がこれまで家でやっていたのも、僕が見た限りでは型の練習だけ。だから大会の前日に、対戦相手と拳を突き合わせる「組手」の試合をするということを知り少し焦りました。息子は同学年の子に比べても体が小さいほうだし、正直「大丈夫か?」と。

 大会当日。

 僕の不安をよそに、息子は朝からビシッと着こなした道着姿で試合のイメージトレーニングに余念がありません。ひとしきりイメトレをし終えた後に、堂々と肩で風を切る息子の背中は実に男らしい。しかし、それを見てますます増大する僕の不安。

 一体どこからそんな自信が湧いてくるのだろうと不思議でならなかったんです。だってあんた、組手の練習なんかそんなにしてへんやろ?(笑)。

 

 

 

 

 試合開始前。

 選手の整列も終わり対戦の組み合わせが続々と発表される中、体育館の二階の客席にいる僕と嫁さんをキョロキョロと探す息子。こういう時の集中力は、あまり無いタイプです。保育園の運動会のときから全然変わっていない……可愛いんですけどね。で、やっと僕らを見つけて手を振ろうとした頃には既に試合が始まろうとしていたという。

 もうね、客席から下に降りて一発注意してやりたかったですよ本当に。「前向いてじっとしとけ!」この一言が届かない物理的な距離感。もどかしさ。

 ただ、彼が偉いのは気持ちの切り替え。ここが割としっかりしているところです。

 防具を身につけ、帯をギュッと締め直す。審判員を見つめ、合図が出る瞬間をじっと待つ。この時のキリリとした息子の目は、さっきまで僕らを探していた真ん丸な目とはまるで別人のようでした。初めての大会という緊張感。そして何より、目の前の相手に勝ちたい。そんな感情がふつふつと彼の中に湧き上がっているのが遠目にも伝わってきました。

 

 試合は、残念ながら負けてしまいました。

 今度はちゃんと組手の練習を意識的にさせてからじゃないとね……というのが親の反省点。なんかその辺は先生との相談やレッスンの時間帯とか、色々と事情があるみたいなのですが。

 体格で圧倒的に勝る相手の子に対して逃げずに立ち向かっていった……これは息子を大いに褒めてあげたかったポイント。身長で言ったら10cmくらいは差があったのかな。その子から何度蹴りを入れられても、臆せず前へ前へと足を動かすことができた。前のめりになって試合に臨めた。親バカかもしれませんが、小学二年生がなかなか出来ることじゃないです。

 試合後、息子は悔しさからか目に涙をいっぱい浮かべていて。

 こういう涙が流せる息子を、僕は心底羨ましいと思いました。

 小学生の頃の自分は、スポーツでいくら負けようがそもそも悔しいとなどと思ったことがほとんどありませんでしたから。スポーツにそこまで思い入れも無かったですし、それよりも絵を描いたり物を作ったりすることのほうに力を入れていました。

 でも特に小学生の頃なんて、図画や工作は勝ち負けの論理では成り立っていなかったでしょう?いくら絵を上手に描けたからといって、それはあなたの個性であり、誰々に勝った負けたという話ではない……そういう価値観が敷かれた空間で過ごす時間のほうがずっと長かった。だから勝負の世界における「悔しさ」を理屈では分かっていても、経験としてあまり語れる気がしなくて。「勝負の世界」に飛び込んだ息子が、僕の知らない世界を見せてくれました。

 

 息子の涙には、「本気」が見えました。本気で勝ちたいと思ったからこそ、それが成し遂げられなかったときに現実とのギャップを思い知らされる。彼は凄くいい経験をしたなと思います。

 それでも、悔し涙を流してしばらくすると体育館のロビーで友達と笑顔で走り回って先生に怒鳴られて……と、ここでもあまりの切り替えの早さに「おいっ」とツッコミを入れたくはなってしまったのですが(笑)。

 この経験を得た息子が、次の空手の練習にどういう姿勢で取り組むのかは父親としてちょっと見ものだなと思っています。

 まあしかし、やはりそう簡単には埋められないのが体格差という大きなハンデ。

 息子の朝食の準備をしながら、「今日から牛乳をいっぱい飲めよ」と。僕もほんの少し「勝負の世界」に仲間入りさせてもらった気分で日々を過ごそうと、決意を新たにしているところです。