2021年9月7日。円谷プロの公式サブスク「TSUBURAYA IMAGINATION」にて『ウルトラマンティガ』の配信がスタートしました。
いやあ…...何なんでしょう、この高揚感。VHSの時代を一瞬で終わらせたDVDすらも過去の遺物になりつつあるこの時代に、誰もが知る「大人の事情」によりネット上で楽しむことが許されていなかった『ティガ』。
特撮ファンには有名な「ウルトラセブン第12話問題」ではありませんが、特にここ最近は半ば封印作品のような扱いだったことを考えると、ティガファンにとって、これは解禁というよりももはや「解放」という言葉の方が適切なのでは、という気がしてきます。
しかも番組の放送開始からちょうど25年が経ったタイミングでのサプライズ発表。当日の夕方まではなんの音沙汰も無く、「思わせぶっただけかよ~」と正直ちょっと拗ねていたところだったので余計に嬉しくて(笑)。円谷プロもまあ粋なことをしてくれたな、と。
今日はお祝いの気持ちも込めて、我が家の『ティガ』に関するあれこれを少し語ってみようかと。第28話『うたかたの…』のダイゴよろしく、「ティガ―ッ!」と叫びたい気持ちを抑えつつ…...
「好き」の原点
僕、『ティガ』はリアルタイムで見ていたわけではなくて、放送から5年ほど経った頃にレンタルビデオで見返してハマった口でして。
ちょうど中学に上がってすぐの時期だったでしょうか。子供の頃にテレビでウルトラマンの新作が放送されておらず、たまに再放送か何かで見かける海外産の『グレート』や『パワード』に思いを馳せていた世代です。
『ティガ』はこれまでのウルトラワールドとは切り離された独自の世界観で、明確に「新しい世代に向けた全く新しいウルトラマン」であることを打ち出していました。
ビデオで後から追いかけた僕ですら「これは正真正銘、僕たちのためのウルトラマンだ!」と思えたのですから、当時リアルタイムで番組を追いかけていた視聴者の興奮度合いは簡単に想像がつくというもの。だって、ウルトラマンなのにM78星雲出身の宇宙人じゃないんですよ。初めて目にする「未知の存在」としてのウルトラマン。それがティガでした。
そして作品としての『ティガ』は、僕の人生において「何かを好きになること」の最初の体験だったと言っていいかもしれません。
もっと言うと、『ティガ』のおかげで「自分の好きを追求する時間」を初めて持つことができたという実感があって。台詞をソラで言えるようになるまでビデオを何度も見返し、ムック本を読み漁って作品が生まれた背景やその時代の知識を蓄積させる。そんな時間を中学生という多感な時期に持てたことは、確実に大人になった今の僕の血肉になっています。
中学時代に毎日のように読み込んだ、切通理作さんの『地球はウルトラマンの星』。僕の人生のバイブルです。
サブスクで一緒に見よう
ティガのサブスク解禁があまりにも嬉しくて、その日仕事から帰ってきた嫁さんに「聞いてくれ!遂にウルトラサブスクでティガの配信が始まったで!これは歴史的な出来事やで!」と前のめりに報告してみました。すると嫁さん、
「え、『ご飯炊いといて』って言ったやん」
と、あまりにも冷静過ぎる一言(笑)。ティガも大事だけど、その日の家族の晩ご飯がそれ以上に大事なのは言うまでもありませんでした。
……えーっと、ご飯の話はさておいて。
ウルトラサブスク限定とは言え、配信が解禁されて何が一番嬉しいかというと、圧倒的に「他人におすすめしやすくなった」という点です。
これまでにも、例えば僕が嫁さんに『ティガ』の良さを熱弁して、その横で息子がうんうんと頷く、みたいな場面が我が家には何度もあったんですけどね。いかんせん、わざわざBlu-rayボックスを引っ張り出してきてディスクを入れて……という能動的なアクションは、作品への興味がまだ薄い人にとってはとてつもなく高いハードルだったりするわけです。
それがスマホやタブレットで見られるとなれば、僕の布教活動にも一層身が入るというもの。特に『ティガ』は主演がV6の長野博さんですから、他のシリーズと比べても嫁さんにプレゼンする際の入り口が格段に広いです。さあ、一緒に見ようぜウルトラマンティガ。
ファースト・ウルトラマン
ニュージェネ世代の息子も大好きなティガ。
彼はティガのことを「最初のウルトラマン」と言っていて、一瞬「え?」と思ったんですけど、多分あれです。最初に買ってもらったソフビがティガだったんですね。息子が半分赤ちゃんの頃から今の今までずーっと遊んでいるやつ。見てくださいこのボロボロ具合。今にも光となって蘇りそうな(劇場版『ティガ&ダイナ』参照)歴戦の勇者感が凄い。
「NEW GENERATION TIGA」の副題を冠した『トリガー』にリアルタイムでハマる現在6歳の息子が、生まれて初めて手に取ったウルトラマンのソフビが実はティガだったなんて、手前味噌ですが何だか胸が熱くなってしまう話です。買ったのは確か、まだオープンしてすぐの大阪のウルトラマンショップだったかな。あの頃はまさかこんなに足繁く通うことになるとは思っていませんでしたが。
僕にとっても、息子にとっても、まさに「好き」の原点と言えるティガの存在。
息子の言った「最初のウルトラマン」、改めて聞くと凄く味わい深い表現です。放送開始から四半世紀が経った今も続くティガ人気は、ティガが多くの人たちにとって「最初のウルトラマン」であったこともその要因の一つなのでしょうね。
これからもますます遊ばれて、ボロボロ具合が加速しそうな勢いの息子のティガソフビ。息子が大人になって、僕が爺さんになっても、これだけは絶対に捨てられないなあ。
それでは早速、ウルトラサブスクで第1話『光を継ぐもの』から見ていきましょうか。おお……僕のスマホの画面に正真正銘のダイゴが映っておるぞ……!!