僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな9歳の息子とのウルトラ備忘録です。

痒いところにきっちり手が届く 『ウルトラマンZ』への信頼感を語る

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 第3話を終えた時点での『ウルトラマンZ』への印象を一言で言い表すとすれば、「信頼感」もしくは「安心感」といったところでしょうか。

 一つひとつの設定、場面、描写をそれぞれ振り返ってみても、見事なまでに「痒いところにきっちり手が行き届いて」いて。視聴者への配慮がこれまでのニュージェネと比べてもワンランク上のように思います。

 それを特に感じたのは第2話の、ハルキが腰につけているメダルホルダーに関する2人のやり取り。

ハルキ:「ところで、これって目立ちすぎじゃありません?いや、みんなにバレちゃうっていうか…」

ゼット:「大丈夫。それは地球人には見えない物質で出来ている」

 別にメダルホルダーがどんな物質で出来ていようが、この回のストーリーに直接影響はないんですけどね。こういう、「細かいけど気になるところ」に具体的な説明がちゃんとあるか無いかって、この手の番組にとって凄く大事なことだと思うんですよ。普通は、あんなに大きなホルダーを身に着けている人が目の前にいたら「それ何?」と疑問に思ってもおかしくなさそうなものですが、ストレイジの面々はそこに関してはノーリアクションでしたからね。

 多くの視聴者が恐らく持つであろう、特撮ヒーロー番組への小さな違和感。そこから目を背けない姿勢と言いますか、特撮というジャンル特有のお約束には巻き込まれていかない空気を感じ、僕の中の『Z』への信頼度は急上昇。こんなに安心して、身を委ねながら楽しめるウルトラマンは久しぶりかもしれません。

 

『ウルトラマン』へのツッコミ

 『Z』には、怪獣を主人公に据えたシンプルな物語の中に、ウルトラシリーズそのものを一歩引いたところから見つめる視点が常にあるのがいいなと思っていて。

 第3話では、クリヤマ長官が「お前たちは何かを壊さないと怪獣を倒せないのか!」とストレイジのメンバーを前に怒り狂っていましたね。これ、今までにありそうで無かった『ウルトラマン』への鋭い指摘だと思いました。

 と、言うのも、僕が特撮ファンではない友人なんかにウルトラマンの話をすると、決まって言われることがありまして…「ウルトラマンって地球守るとか言いつつ戦いながら街壊してね?w」という例のやつ。

 心の中で「ウルトラマンをバカにするな!」と反抗しつつも、冷静に考えてみると確かにそうだと納得してしまう部分もあり。ウルトラマンの決死の戦いも、普段から特撮を見ていない人の目にはそんな風に映っているんだとハッとさせられたりもして。

 今回、街の一部を壊してしまったのはウルトラマンではなくセブンガーでしたが、ウルトラシリーズの基本構造へのツッコミをこうして劇中の人物に言わせてしまうことで、作品全体のリアリティを担保していく手法は上手いと思いました。これなら僕も、堂々と『Z』を他人に勧められます。ツッコまれる前に画面の中の長官がツッコんでくれていますからね。

語を楽しむための土台

 あと、これは個人的に「おっ」と思ったことで、怪獣登場時に出てくるテロップ、二つ名のところに「コダイカイジュウ」とか片仮名でルビを振ってあるのがいいですよね。

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 本当はこういうテロップってあまり好みではないのですが、書体も斜めでちょっとかっこいい感じですし、同じルビでも平仮名だと幼稚っぽくなってしまうところが、片仮名だと何となくSFっぽい雰囲気が醸し出されている気がします。こういう、いくらでも手を抜けそうな部分にもしっかり気を配ってくれているのは嬉しい。

 整備班にもレギュラーメンバーがいたり、セブンガーが市街地に着地する際の丁寧なアナウンス、怪獣出現を市民に警告するスマホのアラートなど、『Z』の画面全体から漂う「それっぽさ」はウルトラマンと怪獣のいる世界に堅苦しくならないレベルの絶妙なリアリティを与えてくれています。

 子供の頃、宿題をきちんと片付けた後の遊びってめちゃくちゃ楽しくなかったですか?「何も考えずに後は遊ぶだけだー!」って。

 『Z』の1~3話への印象はその感覚に少し似ていて、ウルトラマンを新しいステージへ進めていくための宿題を着実に片付けている印象を受けました。これから紡がれていく物語を目一杯楽しむための土台をしっかりと作って、後は自由に遊ぶだけ!みたいな感じ。

き良き怪獣映画の香り

 最後に、気になる息子の『Z』への反応。

 先週のネロンガに続き、初代ウルトラマンに登場したゴモラやギガスといった名怪獣たちの再演にヒートアップしています。新怪獣ももちろん楽しみにしていますが、怪獣図鑑やら何やらで自分が既に知っている怪獣が画面に出てくるのが嬉しいみたいですね。確かに、ウルトラマンの新作に今更ギガスが出てくるなんて誰も思わない(笑)。

 息子は元々ヒーローよりも怪獣が好きで特撮にハマった経緯があり、少し前には東宝の『サンダ対ガイラ』や『モスラ対ゴジラ』にもハマっていました。毎週出てくる怪獣が人間に散々迷惑をかけ、何だかんだで最後は倒されていく。息子は、そういった古き良き怪獣映画の香りを『Z』から感じ取っているのかもしれません。ネロンガのソフビ片手にぶつぶつ言いながら一人で“怪獣映画”やってるもんなあ。

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 『Z』は僕にとって、小学校に上がる前の息子と一緒に楽しむ最後のウルトラマンです。コロナの影響でイベントの類は無くなってしまいましたが、きっと今まで以上の素晴らしい思い出を作ってくれることでしょう。お世辞でも何でもなく、『Z』にはもうそれくらいの信頼感。これから半年間、テレビの前でご唱和させていただきます。