僕が僕であること(仮)

ウルトラマンが大好きな5歳の息子とのウルトラ備忘録です。

ウルトラマンダイナ『少年宇宙人』に、あの頃の自分を重ね合わせる。

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「君の未来は、誰にも分からない。何故だか分かるかい?それは、君がつくっていくからなんだ」

 

『ウルトラマンダイナ』第20話「少年宇宙人」より

 僕、映画やドラマを見て感動して涙を流す…ということを、昔からほとんどしてこなかった人生なんですけどね。『ウルトラマンダイナ』の『少年宇宙人』。これだけはもう、何回見ても泣けてしまうんです。30歳を過ぎると涙腺が緩み始めるというのは本当なんだな、と(笑)。

 この回は、ウルトラシリーズのファンの間でも今なお傑作として語り継がれている作品であり、現在は「STAY At HOME with ULTRAMAN」の一環としてYouTubeの円谷公式チャンネルでも配信されています。

 ここであらすじを簡単に。

 ある日、自分が惑星ラセスタの宇宙人であることを知らされた少年・悟。その日の放課後、悟は2人の親友・たっちゃんとみのっちに、自分がラセスタ星人であること、明日の夜には宇宙へ旅立たなければならないことを告白する。最初はさすがに戸惑いを隠せなかったたっちゃんとみのっちも、やがてその事実を受け入れ、悟の寂しさと覚悟を知り彼の旅立ちを全力で後押しするのだが…。

 

校の思い出

 宇宙人というフィルターを通して描かれる子供たちの別離。この回を見て、僕の頭にまず浮かんだのは、自分が小学2年生の頃に経験した転校の記憶です。

 車だと30分もかからないような近い距離の、引っ越しに伴う転校で。大人になった今では、僕自身も「ああ、よくある話ですね」とあっさり片づけてしまいそうになるのですが、当時8歳の僕にとっては住む世界が180度変わってしまう大事件でした。

 それこそ、自分がいきなり宇宙人だと知らされて、真っ暗闇の宇宙へ放り出されるような感覚。転校先の学校へ初めて登校した日は、子供ながらに初めて「孤独」というものを強く意識したことを思い出します。

 2年間過ごした学校を離れる日に、当時仲良しだった友達からもらったプレゼントの数々は、今でも実家で大切に保管してあります。寄せ書き(的なもの)には、「また一緒に遊ぼう」や「会いに行くね」といったクラスメイトの温かいメッセージが残されていて、僕も「絶対にまた会える」と何の疑いもなく思っていたのでしょうね、最後にみんなで撮った記念写真なんかを見てもめちゃくちゃ笑顔だったりする。

 でも結局、その時の友達とは一度も再会することなく今に至ります。特に小学生の頃なんて、過去のことを振り返ったり、あまりしませんよね。新しい学校で新しい友達が出来て、会わなくなった昔の友達の記憶は徐々に薄れていきました。

 転校そのものが苦い記憶として残っているわけではないのですが、あんなに仲良しだったのにパタリと会わなくなってしまったあの頃の友達のことを、今でもたまに思い出してはほろ苦い気持ちになっています。

っちゃんとみのっちの変化

 『少年宇宙人』は、ウルトラマンダイナが直接手を差し伸べることなくラセスタ星人を導くクライマックスが、「君の未来は―」から始まる台詞の力強さも相まって名シーンとして語り継がれていますが、僕にはもう一つ大好きなシーンがありまして。

 残されたたっちゃんとみのっちが、最後に星空を見上げながらこう言うんです。

たっちゃん:「決めた、俺の未来は宇宙飛行士。宇宙飛行士になって、悟に会いに行く!」

みのっち:「それじゃあ、僕は科学者になる。それで、たっちゃんの乗る宇宙船をつくる!」

 物語の冒頭では、「ぼくの未来」という課題で提出する作文に可愛げもなく「まだ決まってません」としか書けなかったたっちゃんが、悟との別れを経験してこんなにも立派な未来を語れるようになっているんですね。30分のドラマの中で、どこにでもいる普通の男の子が、地に足のついた一人の人間として歩き出すまでの過程が極々自然に描かれている。

 初回放送から20年以上が経過した今、劇中の彼らは宇宙飛行士や科学者となって悟との再会を果たせているでしょうか。「ま、現実ってそんなに甘くないよね」とつい余計なことを考えてしまうのは、僕が薄汚れた大人になってしまったからで(笑)。

 でも、もし夢が叶っていなかったとしても、たっちゃんとみのっちは悟のことを忘れてはいないでしょうし、別にそれで十分じゃないかと思うんです。

 僕がこの2人のやりとりについ涙してしまうのは、転校して離れ離れになってもいつかは会える、何の根拠もなくずっと友達でいられると信じられた小学2年生の頃の自分の純粋さを、無意識のうちにたっちゃんやみのっちの真っ直ぐな眼差しと重ね合わせているからなのでしょうか。

くの未来

 この回にはウルトラマンと怪獣が戦う戦闘シーンは無く、作品のメッセージ自体は子供たちに向けられつつも、物語としては完全に大人向けに作られている印象があります。

 実際、息子はこの回にほとんど興味を示してくれませんでした。ノリノリでオープニングテーマを歌った後、しばらくして怪獣が出てこないことを察知したのか途中でタブレットからサーッと離れていく。まあ、そんなもんなのかなあと思います。友達との別れを経験したり、自分の未来について考えるなんてことは、5歳の息子にとっては全部これから先の話ですからね。

 でも例えば5年後、10年後。彼が自分の未来について今よりも少し真剣に考えるべきときが来たら、さり気なくこの回を見せてみようかなとも思ったりしていて。

 「君の未来は誰にもわからない、それは君がつくっていくからなんだ」なんて、思春期の子供に聞かせたい台詞No.1じゃないですか。ただそれを、いつもはリビングでゴロゴロしている父親の僕が代わりに言っても説得力が全く無いと思うので、ここは是非ウルトラマンの力をお借りしようと(笑)。

  まだ未見という特撮ファンの方、そもそもウルトラマンなんか見ねぇよという方、小さなお子さんをお持ちのお母様方…とにかく騙されたつもりでこの『少年宇宙人』、一度見てみてください。何かしら感じることがあると思いますので。