あなたが人生で初めて買ったCDは何ですか?
先日、実家の物置からこんなものを見つけてしまいました。僕が小学5年生の頃、人生で初めて買ったCD。今の若い子、知ってるかなぁポケットビスケッツ。
今でこそCDはシングルもアルバムも直径12㎝サイズがスタンダードですが、90年代まではシングルCDに限って8㎝サイズが主流でした。レンタル屋に細長のジャケットがずらりと並んでいた光景が懐かしい。値段も今と違ってシングルは500円前後でしたね。子供でも、駄菓子屋へ行くのを何回か我慢すれば手が届きました。
今日は「初めて買ったCD」の話題からその人の人生を少しだけ覗き見できるかも、がテーマ。あれ、でも2000年代以降生まれのティーンエイジャーたちはCDって買ったことあるのか?両親のレコードの思い出を小馬鹿にしていた僕も、いよいよ小馬鹿にされるほうになるというのか…
金曜日の午後8時を楽しみにしていた頃
僕が人生で初めて買ったCDは、ポケットビスケッツの『Power』。
ポケットビスケッツとは、90年代後半の人気バラエティ番組『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』から誕生した音楽ユニット。僕と同世代の人たちに知らない人はいないんじゃないかというくらい、当時の人気は凄かった。
小学生の頃の僕は典型的なテレビっ子で、学校から帰ってきては一日中テレビばっかり見ていた記憶があります。アニメも好きでしたが、とにかくバラエティ番組が大好きだった。特にこの『ウリナリ』は毎週ビデオテープ(これもまた今の若い子は知らない)に録画して擦り切れるくらい見返していました。金曜日の午後8時が楽しみで楽しみで。
当時習っていたピアノ教室が毎週金曜日の午後6時からだったんですよね。だから「これを頑張れば家でウリナリが見られるんだ!」と思いながら必死に鍵盤とにらめっこしてたなぁ(笑)。
「CDを買う」ことが大人への一歩だった
僕は周りの友達に比べると、CDを初めて買ったのは小学5年生とやや遅めでした。
SPEED、GLAY、ラルク、浜崎あゆみ…既にクラスの誰かしらが彼らのファンで、CDはもちろん下敷きやカードといったグッズを教室で見せ合うのが大流行。ミニ四駆とポケモン、コロコロコミックしか知らなかった僕には、アーティストにのめり込んだり音楽を聴いて楽しむ行為そのものがとても大人びて感じられたことをよく覚えています。
親に「CDが欲しい」とねだるのも、なんだか照れ臭かった。ポケビのCDはずっと欲しいと思っていたけど、急にそういう背伸びをしようとする自分(今思えば大した背伸びでもないのですが)を見せるのが恥ずかしかったというか。
ほんの少しの時間旅行
『Power』は、『ウリナリ』の100万人署名企画から生まれた楽曲でした。
ナンチャン率いるブラックビスケッツとの対決に敗れ新曲をリリース出来なくなったポケビが、ファン100万人の署名を集めて見事発売にこぎつけるというストーリーで。今考えるといかにも日テレのバラエティだなぁと思ってもしまうのですが、当時の僕は本当に真剣に見ていましたし、近所のCDショップで用紙が配布されていたので署名もちゃんとしましたよ。
100万人の署名が実現した瞬間、ただテレビを見ているだけの僕までとてつもない達成感でした。もう曲がどうとか関係なくて、「このイベントに参加できた自分は次に出るシングルを買わなきゃいけない!」と、そんな使命感に駆られていました。
500円玉を握りしめてCDを買いに行ったこと、家族への照れも忘れて、自分の買ったCDをコンポで再生したときのあの喜び。今でも、ウッチャンのキーボード(本人が弾いているかどうかは知らない)によるイントロが流れた瞬間、ふっと20年前のあの頃に戻れる気がします。
ちなみに嫁さんにもインタビューを敢行。嫁さんの初めて買ったCDはZONEの『secret base~君がくれたもの~』。
この曲を聴いていた頃の10年後なんて、遠い遠い未来のお話だったけど、気が付けば20年経とうとしているという…。嫁さんはZONEの解散ライブに行けなかったのを今でも悔やんでいるとか。お金や時間を自由に使える大人になった今、モー娘。にのめり込んでいるのは多分その時の反動なのでしょうね。
僕としては、初めて買ったCDがマキシシングルだというだけで「おぉ、新世代!」などと思ったりするわけですが(笑)。
息子が初めて買うCDは何だろう。父親としてはそんな想像も楽しくて。そもそも彼が音楽へ興味を持ち始める頃には、音楽をCDで聴く文化自体が完全に失われているかもしれない。CD世代としてそれは少し寂しいけど、僕や嫁さんが「人生で初めて買ったCD」の話題であの頃の自分を思い出せるのと同じように、息子にも人生において大切な一曲を温めておいて欲しいですね。そして彼が大人になったときに一緒に話ができたら。息子の時間旅行に、僕も連れて行って欲しい。そんな風に思います。