誰にでも、人生の中で「成長を自覚した瞬間」って多かれ少なかれあると思います。
どうしていきなりこんなことを書くかというと、僕が父親としての日々を過ごす中で、我が息子の成長を実感するシーンが確実に増えているからです。
本当に大げさではなく、昨日の息子と今日の息子が別人なんじゃないかと思えるほど日に日にたくましくなっている。一番大きな成長は、やはり言葉を覚えるスピード。特に最近は生意気さにより磨きがかかってきていて、自分のことを「おれ」と言ってみたり、会話の中で僕の言いまちがいに気づいてしつこく指摘してきたり。ついのこの間まで抱っこ抱っこ言ってたくせにって感じです(笑)。
本人には、自分が成長している自覚などまだ無いと思うのですが。そこで少し考えてみたいのが、大人なら誰にでもあるであろう「自分の成長を自覚した瞬間」についてです。「成長を自覚」なんていうと何か人生を左右したターニングポイントのことでも連想してしまいそうですが、ここで掘り下げるのはもっとミクロな話。
僕が「デザイン」を意識し始めた頃
数あるウルトラ戦士の中でも初代ウルトラマンが一番好きだという子どもって、今も昔も意外と少ないのではないでしょうか。僕が子どもの頃に親に買ってもらったフィギュアを見ても、初代マンはほとんど見当たりません。多いのはやっぱりタロウとセブン、あとレオ。特にタロウのソフビは、どこへ出かけるにも握りしめていたので塗装が剥げてボロボロになっていました。
初代マン、昔はシンプル過ぎて地味なイメージが凄く強かったんですよね。やっぱりタロウとかレオとかウルトラの父のように、分かりやすい装飾で力強さが表現されているデザインのほうが子どもの頃の僕の目には魅力的に映っていました。ジードがお気に入りの息子も、オーソドックスなフォルムのプリミティブよりゴテゴテしたソリッドバーニングやマグニフィセントが好きなようです。その辺りの血筋はしっかり受け継がれています。
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初代ウルトラマンの美しさ、カッコ良さに気がついたとき。それが、僕の「成長を自覚した瞬間」です。
僕が、一度は卒業した特撮の世界へ戻ってきたのは中学生の頃。そこで初めて、子どもの頃はただただ夢中になって見るだけだったウルトラマンやゴジラが、実は色々な人たちの思いが込められて作られていた作品だったことを知りました。
中でも、成田亨さんによる初代ウルトラマンのデザインが全く違った見え方をしたのは衝撃的でしたね。余計なものを徹底的にそぎ落していくことで生まれた唯一無二のフォルム。アルカイックスマイルをヒントにした口元と、見る角度や陰影によって違う表情を表現することができるマスク。人間の筋肉をシンプルに表現したと言われる体の赤い模様。
昔は単に地味だと思っていた初代ウルトラマンが実は偉大な芸術であったことを知り、そのことを周りの人たちに広めたくて仕方がなかった。思えば、これが僕の中のオタク魂がうずいた初めての経験だったかもしれません。今こうして書いているブログも、あの頃の情熱の延長線上にあるものと言えます。
バックボーンを知ることで、作品の面白さや魅力が何倍にも膨らむ。それからというもの、僕は何でもいちいち調べなきゃ気が済まなくなりました。新しいウルトラマンや仮面ライダー、怪獣たちが登場するたびに、デザイナーは誰だろう、メインで脚本書いてる人は誰だろうみたいな。…あれ、これって「成長を自覚」というよりは単に自分の中にある特オタの素養が芽を出し始めたってだけの話か(笑)。
小さな「気づき」の記憶
僕はたまたま初代ウルトラマンで、自分の目線や物の見え方が子どもの頃とは大きく変わりつつあることを自覚したわけですが、例えば息子にとってのその瞬間がいつどんな形でやってくるのかはとても興味深いところです。特撮とは全然関係のないところでやってくるかもしれません。
嫁さんは「SMAPの歌がそれほど上手でもないと気付いたときに、大人に近づいたのかもと思った」と言っていました(笑)。でもちょっと分かるかも。周りの大人たちの言っていることが何となく理解できるようになって、物事を見るときの目線の高さが同じくらいになってきた感じというか。誰かに話すほどでもないけど、自分の心の中に何故かずっと残っていることってありますよね。
息子がもっと大きくなったときに、そんな「気づき」の記憶について語り合えるような親子の関係であれたらなと思います。そしてそれが、今一緒に見ているウルトラマンに関することだったら嬉しい。